新幹線大爆破(1975)のレビュー・感想・評価
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ゼロ系と言えど、筐体はアルミだと思うが。アルミはアセチレンと酸素では切断出来ない。
昔、『ぴあ』という雑誌があって(今でもあるか)、何回もこの映画を見に行こうとして、この雑誌で行く場所を捜していたが、この頃は『ピンク映画』に凝っていて、中野とか北千住で、4本立てとか見まくっていた。今考えると何が面白かったのだろう?鹿沼え○さん(日活)。のファンだった。まぁ、その為、この映画は今日まで見ていなかった。初めて見た初感は長過ぎかなぁ。映画の始まりは『天国と地獄』みたいだが、どうやって終わるのかだけが気になっただけで、あまりにも稚拙な終わり方だったので、反動でがっかりした。また、犯罪の動悸がはっきりしない。仲間の繋がりも適当。計画も全く稚拙な計画。サイドストーリーで、緊迫感を盛り上げるつもりが、逆に話を乱雑にしてしまっている。最後が分かっているだけに、エンドマークが出た時は疲れ切ったという感じ。
アルミはアセチレンと酸素では切断出来ない。また、その技術は大変に難しいと思う(要資格)。そもそも、切断砥石で切れば良いと思う。スピードを合わせて、危険な酸素容器と、大変に危険なアセチレン容器を並走して積み替えるなら、後ろから速度を合わせて、乗り換えるなんて言う方法を、使うのかなぁなんて僕は考えていたが。兎に角、爆弾が何処にあるか探す事最優先。
犯罪者に哀愁は要らない。全共闘崩れがこんな犯罪を企てるなんて言う奴が出てくる。その点(犯罪の動悸)をきちんと表現しなければ、国鉄のプロパガンダ映画になってしまう。もっとも、こんな保安体制では、国鉄は駄目な集団。故に分割民営化になった。なんてね。そっちのプロバガンダ。
追伸 日本のパニック映画の元祖とかのたまう方もいるだろうが、名探偵コナンに似たような話があったと記憶する。まぁ、コナンも悪くないだろうが、この映画はその程度の話。
東映を見直した力作
キアヌ・リーブスの「スピード(1994)」のトリックの原点とも言われた、乗り物爆破のパニック・スリラーでは世界に誇れる傑作です。
鮫は泳いでいないと呼吸が出来ず死んでしまうと聞いたことがあるが世界最速を誇った新幹線に当てはめるとは皮肉ながら凄い発想、乗客の付和雷同ぶりも生々しいし、妊婦を絡めてハラハラさせるあたりは名作駅馬車以来の常套手段、主役が建さんと言うこともあり単純な極悪人には描かない、むしろ人命より犯人逮捕に躍起な無能の警察や役人気質丸出しの国鉄幹部の方に怒りの矛先が向けられるようなプロット。
黒澤明の「天国と地獄(1963)」以来、身代金の受け渡し方法が肝なのだが本作も工夫が伺われるが、柔道部登場は嘘っぽい、同様に喫茶店の火事騒ぎもとってつけたような違和感はありますね。
安全を誇る新幹線の爆破ものだから当然国鉄は猛反発、どうせヤクザ映画の東映が作るキワモノ映画だろうと軽くみられていたようだが公開されて汚名返上。元過激派の闘士・古賀役を断った原田芳雄は映画を観て後悔したそうだ。坂上順プロデューサーは建さん起用と決めていたが岡田社長がギャラが高いと揉めたそうだ、結局、脚本に魅せられた建さんが半額で承知したらしい。
昔、観ていた筈だし2時間半の長尺だが豪華俳優陣とテンポの良さもあり今観ても退屈しない力作でした。ただ、昨今の放火や電車テロ事件など身勝手な犯人の卑劣な犯行には微塵も同情の余地はなく、本作のような犯人像の描き方には異論も出よう。
『スピード』よりも『新感染』よりも速かった!
東京~博多間を走る新幹線に爆弾が仕掛けられた!
時速80キロ以下になると爆発する!
犯人と警察のスリリングな駆け引き、血眼になって事態の対応に奔走する国鉄、乗客の命は…!?
堂々たる日本映画史上屈指の傑作パニック・アクション超大作!
この作品も昔から何度か見ているが、本当に面白い! 主演の高倉健も脚本の面白さに惚れ込んでどんな役でもいいから出演を熱望したとか。
しかしながら当時は興行的には期待外れだったのが信じられない。
が、その後海外でヒットし、多くの作品に影響を。2005年の『交渉人 真下正義』は言うまでもなく、ハリウッドのあの80キロ以下になったらバスが爆発するアクション映画にも影響与えたとか否とか。
面白さは話のシンプルさにあると思う。
本当に分かり易く、要所要所見せ場もたっぷり。
分岐点で他の車両とあわやニアミス! クライマックスになるが走行したまま手動で爆弾を除去しようとするが…。各々で時速を最低限まで落としたり…この手作品お馴染みのピンチを実に面白巧く見せている。
犯人と警察の攻防としても非常に面白い!
犯人は500万ドルを要求。その巧みな現金受け取り方法。
警察も決して先手を取られる訳ではないが、逮捕の失敗続く。
犯人の一人が乗るバイクとパトカーのチェイス、地道な捜査…。
徐々に徐々に犯人に近付いていく様は、何だか“実録・昭和の大事件簿”を見ているようであった。
ネタバレになるが、クライマックス、犯人は金を手に入れ、国鉄は爆弾の図面を手に入れたと思ったら、予想だにしない不測の事態! 最後まで気を抜く暇は無い。
寡黙な漢役が多い高倉健が犯人役とは珍しいキャスティング。でも、犯人であっても哀愁漂う佇まいはやっぱりカッコいい。
一時停止したくなるほどのオールスターキャスト。中でも抜群に光っていたのは、国鉄運転指令長役の宇津井健。事件の解決、何よりも乗客/乗員の無事、判断迫られる板挟みになりながらも時に冷静に、時に熱く体現。名演であった。
佐藤純彌監督が“ミスター超大作”と言われるようになったのは本作から。スケールの大きいアクション、スリリングなサスペンス、深いドラマを見事融合させてその手腕を思う存分発揮。
新幹線が華々しく開通したばかりだったので、国鉄(現JR)が協力を拒否。なので、新幹線走行シーンのほとんどは特撮。爆発シーンも含め、驚くほどの高クオリティー。
とにかくスタッフ/キャスト一丸となって、面白い映画を作ろう!…という熱量が伝わってくる。
パニック・エンターテイメントだけに非ず。先にちと述べてしまったが、ドラマとしても非常に見応えある。
いや寧ろ、ドラマ部分こそ本作を格別なものにしていると言ってもいいくらい。
犯人は3人の男。主犯の元工場経営者・沖田、工員青年の浩、元過激派の古賀。
人生に行き詰まり、社会の底辺で生きる男たち。
もう一度、人生をやり直す。その為に選んだ路線が…。
国鉄運転指令長の倉持もこの事件に携わって路線が狂った。
先にも述べたが、板挟み。倉持は乗客/乗員の無事優先。が、警察は犯人逮捕優先、国鉄は面子優先。
協力し合ってるはものの、時折意見がぶつかり合う。その重責。
簡単に“お客様の命をお守りします”と言うが、それが本当はどんなに重い事か。
沖田は言った。決して死者は一人も出さない、と。
が、それは出来なかった。乗客の妊婦が難産で胎児が死産に…。
また沖田も、浩と古賀を亡くす。
彼らの行いは間違い、愚かな事。が、
どん底であっても、固い友情で結ばれた友がいる。
大金は手に入れたが、欠けがえのない友を亡くす…。
俺たちはこの一度走り出したら停まらない新幹線(=運命)で良かったのか…?
ハリウッド映画ならヒーローとして描かれる倉持の役所だが、焦燥し、ほろ苦く。
沖田の最期も印象的。
強いて言えば、乗客がパニックを煽るだけの背景の印象で、こちらにもメインとなるような人物が欲しかったが、それ以外は文句ナシ!
1975年の作品。『スピード』よりも『新感染』よりも“速かった”!
本当に日本映画でまたこういう、オリジナル企画で骨太でスケールあって面白いエンタメ超大作を作って欲しいと思っている。
日本映画界よ、面白ければ決して遅くはない!
今のところ…、
「ひかり109号に爆弾を仕掛けた…!?」
個人的No.1邦画です!
新幹線がジオラマ特撮で出てくるのが時代を感じて良いですね、下手なCGよりも重量感や疾走感があると思います。
ただ-0.5の理由としては超個人的なわがまま。
序盤の109号と20号のすれ違いのシーン、
あそこが今作一の山場だと勝手に思っております。
あのシーンを後半クライマックスに持ってくれば更にアツいと思いました!
勧善懲悪ではない、悪の視点で進むストーリーも魅力です。
彼らは過去何があって、今後何を望むのでしょうか?
永遠の学生運動家・山本圭
列車が通常以上の速度になるとATCが作動するという新幹線。最初に司令室の模様が映し出され、説明されるという親切設計。爆弾犯人(高倉健)から電話があったとき、国鉄関係者が「またか・・・」と皆つぶやくところが時代を反映しているのか、面白い。
まずは爆弾に信憑性を持たせるため夕張の貨物車を爆破。そして、司令室の宇津井健と運転士の千葉真一のタッグにて浜松付近の故障車両の危機を乗り越える。この序盤で手に汗握ってしまう・・・当面は120kmで走行して博多までの8時間のリミット。
夕張の証拠品によって簡単に学生運動あがりの山本圭が容疑者だと判明する。新幹線内は名古屋駅を素通りしたことでパニック状態。一方、500万ドルの受け渡しには最初は失敗。犯人の一人が警察に追われバイクで激突死・・・山本圭も偶然見つかり射撃され重傷。いちかばちかで健さんが一人受け渡しを実行する。成功して金を手に入れたため、爆弾を仕掛けた図面を渡す手筈を整えたのに、その置き場所の喫茶店が火事になって焼失・・・そこまでやるか。
写真撮影によって爆弾位置を知り、専門家の推測で取り外そうとするクライマックス。救援用新幹線で溶接機を渡すなんてのはバカバカしいけどスリル満点。なんと救援車の運転士は千葉治郎じゃないですか!兄弟で助け合うなんて感動的・・・かな。しかし、成功したと思ったらもう1個の爆弾らしき写真が出てきて・・・
工業地帯などを避けて“ゼロ地点”なんてのを設ける政府。そして、停車を決断する司令室の宇津井健。1500人の命を預かる重責のため異常なまでの発汗。最近では「テロとは交渉しない」なんて言葉を上が吐くくらいだし、このストーリーの決断はかなりいい出来。そして、犯人側のドラマチックな部分を見事に描いていることも称賛すべきだと思う。特に沖縄から集団就職して会社がつぶれ、血液を売ってフラフラになってるところを高倉健に拾われたエピソード。俺は好きだ。ラストシーンは70年代の流行だな。『野性の証明』にもつながるし・・・
喫茶店の炎上とか、川下りでの受け渡し中に柔道部員・・・これがなければ満点。あと、ダイナマイトを売った藤尾って男も存在価値がなかった。
スリル炸裂…超弩級パニック巨編!
DVDで鑑賞。
新幹線ひかり109号に爆弾が仕掛けられた。爆弾はスピードが時速80キロを下回ると爆発する仕掛けになっており…
キアヌ・リーブス主演のアクション映画「スピード」の元ネタになったとも言われている和製パニック映画の大傑作!
不穏な雰囲気漂う夕張のシーンから始まり、犯人グループの紹介と新幹線運行システムの解説と新幹線に乗り合わせた乗客たちの様子を短時間の内に畳み掛けた後、鉄道公安部長に繋がれた犯人からの電話、「ひかり109号に爆弾を仕掛けた?」と云うセリフからの…タイトル、ドーン!!!
ひたすらイカす導入部から一気に引き込まれました。
高倉健、千葉真一、宇津井健など、オールスター・キャストが豪華共演。それだけでも観る価値のある映画だなと思いました。これを超大作と言わずしてなんと言う!
上映時間が2時間32分と云う大ボリュームですが、ご安心あれ。最後の瞬間まで全くダレることなく、テンションを持続させているのが素晴らしい限りでした。
社会の理不尽に国家へ挑戦する決意を固めた犯人たち。華麗な犯行計画に翻弄されながらも、犯人に肉薄する警察。乗客乗員の命を守るため、打開策を模索し続ける国鉄。未曾有のテロ事件のために、パニックに陥る乗客たち。…
それぞれの視点が交互に配置され、どの描写もおざなりになっておらず、パワフルかつリアリティーに溢れていました。常に息詰まるようなスリルを維持しながら、怒涛の勢いで突き進んでいくストーリーに釘づけになりました。
ハリウッド経由のパニック映画ブームに便乗して製作されたとは言え、後にハリウッドでプロットが模倣されているし、本作自体日本国内よりも海外での評価が高いのは、クォリティーが世界水準であることの証左ですよねぇ…
犯人グループの犯行に至るまでの背景がきちんと描かれていて、単なるエンターテインメント大作に留まっていないのが本作の大きな特徴。そこから浮かび上がって来たのは、戦後日本が突き進んで来た高度経済成長の光と影でした。
犯人たちの抱える想いと人生を賭けた決死の挑戦が胸に迫って来ました。クライマックスも、やるせなさと悲しさが同居していて、決して後味の良いものではありませんでした。
では、彼らはいったいどうすれば良かったのか?
現代にも通じるテーマだなと思いました。
[追悼]
佐藤純彌監督が死去したと云うニュースを受け、3年程前に鑑賞した本作を思い出しレビューすることにしました。
代表作は日本映画が誇る大作ばかり。中にはとんでもない作品もありましたが、そのどれもが有名なものばかり。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
[以降の鑑賞記録]
2020/05/10:Hulu
2021/01/24:Blu-ray
2022/08/02:DVD(フランス語版)
※リライト(2020/05/09)
※修正(2023/11/11)
宇津井健が主役!!
新幹線内の描写は半分以下で、良くも悪くも昔の刑事ドラマの演出なので長くて疲れますが、終盤は流石に盛り上がりました。出だしの列車爆破シーンは「スーパー8」(2011)と並ぶ迫力がありました。名古屋駅でいつも新幹線を眺めているので、名古屋を通過するシーンは「おお、通過するのか」となり、観て良かったです。当局の情報開示が素直な感じで、現代では絶対に有り得なくて良かったですが、ラストは情報戦もありました。宇津井健が主役だと思いました。「藁の楯」(2013)は日本の新幹線で撮影ができなかったので時代を感じます。現在の新幹線はロングノーズ部分に原子力電池が入っているらしいので、爆破したら凄い事になると思います(中国では事故の際に地中に埋めました)。
警察が馬鹿すぎ
総合60点 ( ストーリー:65点|キャスト:65点|演出60点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
設定は面白い。犯人の調査・逮捕劇と、新幹線の爆弾の処理という2つが観られるし、犯人たちの犯罪へ走った事情もわかる。しかし粗い物語と演出が作品の質を落している。
まず警察があまりに馬鹿すぎる。1500人の人質をとられ当時の15億円の新幹線が破壊されるかもしれないというのに、犯人を強引に逮捕しようとするし挙句の果てに射殺しようとする。逮捕できずに逃げられた場合や犯人を射殺した場合、どうやって爆弾の解体方法を聞くつもりだったのか。たとえ逮捕したとしても、相手を怒らせて爆弾解体の方法を教えてもらえなかったらどうするつもりなのか。爆弾の解除や人質の救出は二の次になっていて、そのような馬鹿さ加減に半ば呆れつつ観ていた。勝手に責任を取って新幹線を停車させるのも驚いた。
犯人も警察の前に堂々と現れ現金を受け取ろうとする。せめて顔くらい隠して欲しい。500万ドルの現金を125ccの自動二輪に落ちないように時間をかけてしっかりと括り付けて警察の追跡を振り切りながら運ぶのも大変そうだ。新幹線の乗客もわざとらしい演技だし、新幹線の運転士はやけに感情的で幼稚で、危機感を煽ろうとするここらの演出もやりすぎ。
新幹線の運行管理やATCの話は良かった。もっと脚本と演出を見直して洗練させて、再映画化するといい作品になれそう。ただこの作品自体はあちらこちらに古さを感じた。
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