修禅寺物語

劇場公開日:1955年7月12日

解説

岡本綺堂の原作を「「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る」の八住利雄が脚色し「女の一生(1955)」の中村登が監督に、「三人娘 只今婚約中」の生方敏夫が撮影に当るイーストマンカラー作品である。出演者は関西歌舞伎の坂東簑助、「哀愁日記」の高橋貞二、「八州遊侠伝 源太あばれ笠」の淡島千景、「亡命記」の岸恵子、「伝七捕物帖 女郎蜘蛛」の草笛光子のほかに山内明、加東大介、夏川静江、東野英治郎、永田光男、柳永二郎、市川小太夫、山路義人、桜むつ子など。

1955年製作/102分/日本
原題または英題:The Mask and Destiny
劇場公開日:1955年7月12日

あらすじ

源頼家は父頼朝の死後二代将軍となったが、母尼御台政子の父、執権北条時政とその子義時が権力を恣にしていた。頼家は比企能員の娘若狭局との間に三児をもうけ幸福に見えたが、醜い権力争いに心を痛めていた。伊豆の片田舎修禅寺の里には、面作りの名人夜叉王が二人の娘と共に住んでいた。桂は気位が高く、高貴の人の側女となることを望み、楓は父の唯一の弟子春彦を慕っていた。夜叉王は時政の命でその面を彫ったが、その面は頼家の放った流れ矢に当って割れて了った。能員はその面に事寄せて時政を戒め、時政の部下に斬殺された。その秋時政は頼家を修禅寺に追いやり、同行した若狭局は積る気苦労からか急死した。ある日若狭局の墓へ詣でた頼家は、彼女に生き写しの桂と出会った。亡き若狭局の面影を求める頼家と、空虚な栄達を夢見る桂とは互にひかれ合ったが、将軍職を捨てても自由を求めようとする頼家の心は桂には通じなかった。その頃、時政は頼家の弟を実朝と名乗らせ三代将軍に立てようとしていた。頼家は面を打てと夜叉王に命じたが、幾度打ち直しても頼家の面から死相が消えない。性急な頼家はその面を持ち帰り、夜叉王は心に染まぬ作品を後世に遺すことを悔んだ。桂は晴れて頼家の許へ召されたが、その夜、時政の命を受けた暗殺の兵に襲われた。夜叉王の打った面に現れた死相は名工の霊感が生んだのであった。死形の面は嘆きに沈む政子に献上された。その帰途、夜叉王と楓、春彦は町を行く厳かな行列を見た。三代将軍実朝の晴れの姿だった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5 改変で陳腐な作品に

2026年2月25日
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鑑賞方法:その他

悲しい

VHS化はされているがDVD化や配信はされていない。

原作は岡本綺堂の戯曲で未見未読だが、岡本自身が短編小説化しており、鎌倉時代を題材とした歴史小説短編集で読んだ。原作は岡本が伊豆修禅寺に伝わる鎌倉幕府2代将軍・源頼家の面と称される古い面を見て、それに着想を得て書かれたものとのことで、伊豆に住む面作師とその娘たちである2人の対照的な姉妹、そして修禅寺に幽閉された頼家の関係を描いたもの。戯曲では頼家はあくまで脇役で最初から修禅寺に幽閉されており、面作師父娘が主人公だが(昔、手塚治虫の演劇マンガ『七色いんこ』で概要を読んだ)、小説版ではどちらかといえば頼家のほうが主人公で彼が失脚する比企氏の乱から話が始まっていた。

映画はそれでも尺が足りないと思ったか頼家が将軍の時代から話が始まっており、大幅にオリジナルな展開。北条政子・時政・義時・比企能員・仁田忠常など原作には出てこない人物も登場している。とはいえもちろん史実通りではなく、頼家将軍時から時政が執権になってるし、頼家が病に倒れることもないまま比企氏の乱が起こり、最後は火矢をかけられた修禅寺が派手に炎上して全焼している。頼家は北条ばかりでなく比企も権力闘争に自分を利用してるだけだと嫌悪感を示し、修禅寺に幽閉された後は将軍ではなく1人の人間として生きたいと言い出すなど妙に厭世的なキャラクターに設定されていて、なんとなく頼家よりその弟の3代将軍実朝っぽい。全体的には史劇というより時代劇の雰囲気で、予算もあまり掛けなかったのか少々こじんまりとしており、スペクタクルなシーンは比企氏の乱と最後の修禅寺襲撃シーンぐらい(どっちも夜戦として描かれてるんで映像が暗くて見づらかった)。

原作より歴史度は上がってるが、そのためにかえって本来の主人公だった面作師父娘の存在感が薄くなり、物語の焦点がぼやけて、ずいぶん陳腐な話になってしまった。結末も原作とは大幅に異なるし、演出も平板で正直ちょっと退屈。政子が出てきたことで僕の苦手な母子もの要素があったのも個人的にはマイナスである。俳優陣も総じていまいちで、良かったのは悪役の北条時政を演じる東野英治郎ぐらい。東野さんが面作師役をやれば良かったのになあ。

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バラージ

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