12人の優しい日本人のレビュー・感想・評価
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おもしろ過ぎる
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陪審員12名が陪審員室で繰り広げる喜劇。
被疑者が不幸で綺麗な女性なのですぐに全員一致で無罪となり解散。
・・と思いきや、議論大好きの若い男が話をややこしくする。
さらにまた無駄に議論大好きな医者が同様にややこしくする。
最初はろくに参加してなかったトヨエツが途中から急に主導権を握る。
それにより事件の真相が解き明かされて行き、結果全員無罪で一致。
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2人ほどのチョイ役の他は、登場人物が12名しか出て来ない。
しかも全員陪審員なので既存の人間関係はなく、非常に分かり易い。
場面がほとんど密室内に限られるという点もシンプルで良い。
上記のような構成から、舞台を見ているような感覚になる。
そして本来なら警察がとっくに捜査で解明していないとおかしい内容が、
密室での会議内で次々に分かっていく(あくまでも仮説だが)。
つまり安楽椅子探偵の話みたいなもので、とても面白かった。
12人のキャラもそれぞれに立っていて、最高。
しっかし議論大好きのバカと、偉そうなバカ医者はウザい。
サラリーマン社会が惨めなのは、こういう奴らがのさばってるからだと思う。
きっと皆さんの会社でも、仕事を面倒くさくさせているのはこういう輩だろう。
最後は、地味でリーマン社会では虐げられそうな2人をトヨエツが生かし、
このウザい2人を論破するというのが痛快で、受け入れられる理由だろう。
このタッチで、違う事件を題材にしたまた別の作品を見てみたい。
モーツアルトのピアノ楽曲だけが救い
『無記名投票』にする事が間違い。
どんな真実があるにしても、『疑わしきは罰せず』だ。つまり『推定無罪』だ。だから、無罪で決まり。
『状況証拠』だけで『物的証拠』が全く無い。しかも、状況証拠は確信が持てる内容ではない。
日本で陪審員裁判が取られる前の裁判だと思うが、こんな話し合いになるような裁判を行う訳ないし、そもそも、殺人罪で起訴されている訳が無い。
そこを無視しているから、こんなめちゃくちゃな話し合いになっている。つまり、面白可笑しく作った茶番劇でしか無い。
『優しい日本人』と題しているが、論理性のかけらも無い、日本人達の集まりと言うことになる。所詮、同調圧力であり、これが日本人の特性なのかもしれない。
『12人の怒れる男』と言うが『12人の浮かれる男女』だ。少なくとも、アメリカ映画を真似た映画だ。リスペクトの範疇では無いと思う。
凄く良かった!!舞台劇を三谷幸喜が映画化。
なぜ12人の陪審員は、優しいのか?
前から観たいと思っていました。
1991年作品。
もともとは三谷幸喜の原作の舞台作品で、三谷と東京サンシャインボーイズの脚本で
中原俊監督が映画化しました。
アメリカ映画「12人の怒れる男」をモチーフにした映画です。
が、内容はコメディタッチで会話が楽しく、そして最後には12人全員が
真面目で優しい日本人・・・そう確認して安堵する気持ちいい映画です。
三谷幸喜脚本らしい小ネタ満載。
サプライズも散りばめられています。
ラストの守衛さんに陪審員の番号札を返すところまで、小さいネタバラシが
ありますよ(笑)
でも、ディスカッションの間に意外な事実が判明するのです。
別れた夫の復縁話に切れた若いシングルマザーが、元夫をダンプカーの前に突き飛ばして、元夫は死亡した・・・
これが、殺人なのか?正当防衛なのか?
つまり殺人なら有罪、正当防衛なら無罪の評決が出るのです。
意外な展開をします。
①ダンプカーの運転手は居眠りをしていて、クラクションを鳴らさなかった。
②おばちゃんの目撃証言・・・ブレーキ音の後に目撃しており、実際には事故後である。
③従って突き飛ばした行為を、おばちゃんは見ていない。
④被告に殺意はなかった・・・直前に取ったピザの出前の大きさ・・・5歳の子供ひとりでは
食べ切れない・・・母と子供の2人で食べるつもりだった。
それ故に、手繰り出される結論→《被害者は自殺をした》
強引と言えば強引な結論なのですが、若いシングルマザーを刑務所に入れることなく、子供が母親を失うこともない。
実に優しい結論なのですね。
今、資料を読んでいたら、
2020年5月7日。
YouTubeライブとして無料配信されたそうなんです。
メンバーも全て新しく、吉田羊そして三谷幸喜さんまで出演して、25000視聴を記録した
・・・なんですって。
古くても新しい映画ですね。観て良かったです。
(因みに若い豊川悦司が後半をさらう美味しい役でした)
無罪に納得いかない
映画の評価に関係ないのですが。。
最後、被害者は自殺だったため被告は無罪ということになりましたが、納得いきません、、。
自殺だったなら、なぜ被告は最初から「元夫は自分からトラックに飛び込んだんです」と言わなかったんでしょうか?
映画自体はとても面白かったんですが、このところだけがどうしても納得行かなくて気持ち悪いです。
どなたか教えてください!
すごく面白い
三谷幸喜さんの『オンリー・ミー』というエッセイを読んだらとても面白くて、舞台版のこの作品が何度か話題に上がっていて見たくなり、劇場公開時に見た切りで2回目。役者さんが皆、すごく味がありみんなこの後売れそう。特にトヨエツの刺々しく色気が刺さるようですごい。赤いズボンもすごい。
「DV夫が妻を助けようとしてトラックに自ら突っ込んだ」というオチでみんな納得して涙するというような展開に違いないと思って見ていたら、そうじゃなかった。みんな憶測に偏りすぎている感が強い。
陪審員裁判の裏側
犯罪者になってしまった人の人生を裁くということ。
犯罪者にされたかもしれず、そもそも冤罪かもしれないということもある。
犯罪それ自体を裁くには、それなりの見識が必要である。
かなり久しぶりの二回目だが、今回は、のめり込むように見てしまった。以前見た時よりもはるかに面白かった。室内劇の雰囲気は覚えていたが、筋や内容はまったく覚えていなかった。話の中に没頭できていなかったのだ。
その人を許すか許さないか。その行為を許すか許さないか。
裁く人にも裁けるだけの資格はあるのか。
裁かれる立場に立つ可能性はないのか。
見落とされていることはないのか。
あえて隠されている真実はないのか。
その罪はどのくらいの重さなのか。
いろいろ考えると多分、深みにはまってゆくが、本作は軽いコメディ仕立てなので、入りやすいと思う。
密室劇ではあるが、数回ほどドアの外に出たり、トイレに行く場面はある。
しかしほぼ室内である。
数時間に及ぶお互いに名前も職業も知らない人同士の議論。
台詞を全てちゃんと聞き取り、演技もしっかり見たつもりだ。
以下はわたしのメモ
計画殺人 死刑
傷害致死 執行判決付き有罪
正当防衛 無罪
1号 陪審員二回目。体育教師。多数決が好き。演:塩見三省
2号 結婚しているが別居中。被告を有罪にしたがっている男。演:相島一之
3号 上田耕一さん。多分、バーのマスターのような仕事。
4号 初老の男。直感は鋭い。二瓶鮫一
5 中村まりこ。手帳。メモ魔。
6 大河内浩 会社員で忙しい。
7 梶原善 若い!かなりユニークなキャラクター。最初、加害者を無罪にしようとしていたのは、被害者の男を憎んでいたから。被害者と面識はないが、嫉妬していた。
8 山下容莉枝 若い女性。わりとまじめ。
9 村松克巳。歯医者だが、銀行員と偽っている。議論好き。
10 林美智子 人のいいおばさん。鼻血をだす。
11 豊川悦司 弁護士と偽ったが、役者。頭がいい。
12 加藤善博 髭をはやした男。最後に被害者が自殺をしたという意見を述べる。(なんと加藤さん自身も自殺されていた)
守衛 久保晶
ピザの配達人 近藤芳正
ロシア版よりおもしろい!
12人の怒れる男の邦画版。ロシア版は鑑賞済みで、アメリカ版はまだ鑑賞していない状態での鑑賞でした。やっぱり、日本語で展開するから僕にとっては分かりやすく、「今のどういうこと?」的なことがなくて見やすかったです。アメリカ版、ロシア版と違って、無罪からスタートするの日本人らしいなと。
無罪派の人たちの根拠の大多数が感情論というのは裁判、陪審員審議としては甚だ疑問に思いましたが、まあ、物語としては許容範囲かなぁと思いきりました。
議論が途切れなく進んでいくのが小気味良く、全員無罪から有罪の人数が徐々に増えていき、半々まで来たところで議論が行き詰まり、日本人らしい折衷案で妥協することで決着するかと思いきや、1人が無罪を譲らず、決着しない。ここから感情論でしかなかった無罪派の人たちの意見に論理的な根拠が出てきて、そして最後は、、 という形で思っていた以上に展開が二転三転する議論はなかなか惹き付けられて、入り込んで見ていました。個人的には、ロシア版「怒れる」より断然おもしろかったです。
ポケベルやデジタルシステム手帳など懐かしいアイテム(使ったことないですが(笑))が出てきたのが時代を感じさせますね。あと、女性を見下したような描写や、喫煙描写など気にならなくはないけど、まあそういう時代でしたからね。。
元ネタを踏襲しつつ新たな要素を盛り込んだ内容
元ネタとなった「十二人の怒れる男」を先日観て感動し、パロディ作品として作成された今作も期待して観ました。
非常に面白い作品ですが、元ネタである「怒れる男」と比べると前半のテンポが悪く、しかも無罪を主張する陪審員4番のおじさんと10番のおばさんがかなり無能に描かれていてストレスが溜まります。無罪を主張する理由も「なんとなく」とか「被害者は殺されて当然だから」とか、全く筋が通っていません。
元ネタとなった「怒れる男」ではスラム出身の少年に対する偏見で有罪とする陪審員もいましたが、そういう人達でも目撃証言や少年の証言の曖昧さなどを挙げて筋の通った議論がされていました。「優しい日本人」の前半部分にはそういった筋の通った議論は一切ありません。上映が30年近く前だからか、現代ではあり得ない女性蔑視や美醜差別のような描写も多くあり、「怒れる男」の差別描写を真似したのかもしれませんが、私には不快に思えました。
しかし後半の展開は見事で、有罪に傾いていた場の空気が一変し、話は無罪へと進んでいきます。「怒れる男」は証拠品や証言が後出しで出てくることも多かったのですが、「優しい日本人」は物語終盤までに出て来た証拠品や証言でラストの無罪までの筋道がたつので、そこが元ネタを超えている部分かと思いました。
序盤は正義に思えた有罪派の陪審員2番が、実は一番個人的感情で動いていたというのが衝撃的でした。
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