12人の優しい日本人のレビュー・感想・評価
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和を以て貴しと為す
「和を以て貴しと為す」という言葉がある。日本は「和」を重んじる国で、国民は争いが嫌いで、みんな仲良く平和が一番だよね、みたいな文脈で使われる事が多い。
「12人の優しい日本人」のオープニングは、元となった「十二人の怒れる男」のオープニングとは少し毛色が違い、蒸し暑さへの不快感から来る「ちゃっちゃと終わらせようぜ」感はない。
見知らぬ12人の男女が、出来れば諍いなく評決を出せたら良いな、という「和」を期待するリラックスした雰囲気で始まる。
一般的に「和を以て貴しと為す」と思われている状態である。
だが、本当の「和を以て貴しと為す」はそんな意味ではない。出展は日本書紀であり、十七条の憲法、その第一条である。
和を第一とし、無闇に逆らうことの無いように。という一文自体は争い事のない状態が最良である事を示したものだか、同時に第一条は「上の者から下の者まで、和らいで意見を出し合う」事を推奨している。
更に全体では「大事なことは独断で決めるのではなく、皆で議論し合う事」をも説いている。
相島一之演じる陪審員2号の翻意から、否応なく議論に巻き込まれる残りの11人。
彼に対するイラつきは、「どうして和を乱すのか」という不満だ。「早く帰りたい」それもあるだろう。しかし、それ以上に簡略化して教えられてきた「人と対立しないこと」を反故にした者への不服が、この映画の「日本人」たる所以である。
合理的、論理的な意見をすらすらと述べる者に説得されたり、意地を張ったりする中で、どうしても自分の思いを表現出来ない者がいる。
その気持ちは私の人生の中にもある。慣れていなかったり、自信がなかったりして上手く伝えられない。
だが、それでも罵り合うのではなく穏やかに、辛抱強く話し合う中で、一筋の光が見えてくる。
得意な者も不得意な者も、皆が納得するまで話し合う。まさに十七条の憲法ではないだろうか。
その時何が起こったのか?
物的証拠の薄い中で、「事実」は誰にもわからない。しかし少なくとも12人の人間が納得するだけの合理性を示す事が出来た。
1人の人間の人生がかかっている、その重みは本家と同じだ。その重みに、実に日本人らしい答えを見せてくれたこの映画もまた傑作である。
堅苦しいことを書いてしまったが、本家へのオマージュに溢れたクスッとした笑いもこの映画の持ち味である。
「あ、あのセリフは本家と同じだな」「このシーンは本家にもあったな」と比較するのもまた面白い。
一言「密室劇に、ハズレなし!」
全く覚えてなかったので、新鮮に見れました。
当時はまだ、裁判員制度もなかったのよね。
作品中ほぼ陪審員室のシーン。登場人物も名前がない。
裁かれる被告も、陪審員の話に出てくる「5歳の子供がいる女性」とだけ。
一人以外は「なんとなく無罪かな」「有罪にすると後味悪いし」。
人を裁けるのは、人だけ。だけどそれは私じゃない、かも。
早く評決を決めて帰りたい・・・。
そこからどう、話をまと待っていくのか。
年齢も性別もさまざまな12人、気持ちの揺らぎ。
とても見応えありました。
自分だったら、どの陪審員に心が近いかな。
群集心理も垣間見れました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「何かが、違うんです」
この作品、以前に一度観たことがあったのだが、内容をほとんど覚えてい...
この作品、以前に一度観たことがあったのだが、内容をほとんど覚えていなかった。
おかげで2度楽しめた。
理屈もへったくれもない感情論がほとんどだが、豊川悦司が議論に加わってからおもしろくなった。
12人の怒れる男は傑作だ
WOWOWオンデマンドで視聴
何度もリクエストしたけど放送に至らず
諦めてDVDを購入した
「12人の怒れる男」
これがあってこそのこの作品だ
是非とも、白黒のこの映画を共に見て
頂きたい
いや、出来る事なら、先に見て頂きたい
三谷幸喜ならではのシュールさと
ウィットに富んだ脚本は、本当に面白い
ルメット監督の怒れる男のコメディよのようで
伏線を辿りながらも、二転三転させる事で
違う作品に仕上げている感がある
登場人物の心情も、トレースしつつ
優しい日本人:優柔不断な日本人を
大げさなリアルさを持って作り上げている
私史上最高傑作である
12人の怒れる男と比較すると
「違うやろー」と思ってしまうが
裁判の流れの中で、有罪にしたい検事と
無罪にしたい弁護士が、陪審員の心情を
操ろうとする中で、如何に正しい選択をし
真実を見極めるべきかという点では
ブレていない啓発的作品だと思う
トヨエツいいねー
役者かよ(笑)
ジンジャエールって、マジかよー
流石やなー
て言うのが、何よりの感想である
「『信念』って、人の話を聞かないことですか?」
20年以上前に観た。
当時はコミカルさしか感じなかったが、ある程度の年齢に達して観てみると、
民主主義の本質をわかりやすく教えてくれる気がした。
自分の意見に固執しないこと
他人の意見をよく聞くこと
多くの意見を戦わせる中で、本質に近づくこと
責任を取りたがらない人々。
大笑いさせていただきましたが、これが自分の裁判だったら笑えないよぉ。
冒頭、無罪に手を挙げていながら「本当はやっていると思うけどね」って(笑)。
「いいのかそれで?」と突っ込みたくなるが、人の人生を決めるのは恐ろしい。引き金は弾きたくない。うん、皆”優しい日本人”。
オマージュを捧げられた作品はまだ観ていないけど、
こちらは一人ひとりの言動にあるある感満載で、笑っちゃうと同時にわが身を振り返りヒヤリ(^_~;。
いろんな日本人が出演します。
真実を行方を探るミステリを装いながら、映画の狙いは”優しい日本人”の方々の動き。
証拠を検証するディベートではなく、日本でのよくある会議の縮図。
感情論あり、意見の押し付けあり。でも意外な人物が一番肝心なポイントを見ていたというオチあり。
意見を言えるように支えあう場面も”優しい日本人”。
裁判としてみると穴がたくさんありすぎる。(そもそも、証拠が手元にない。裁判での証言はメモ魔の方がご自分のメモから、もしくはそれぞれの記憶から引っ張り出してきてくれるけれど。それに、陪審員11号の自称職業、他の方から突っ込まれないところが笑える)
けれど、後半の謎解き物のような展開や、各人物勢力のどんでん返し、くっついたり反目したり、そんな人間模様に笑わせられながらも、手に汗握る。
脚本の三谷氏の人間観察力に驚嘆するとともに、つくづく底意地が悪いなぁとも思う。
でも、この映画をおもしろいと思ってしまう私もなんだけれど。
芸達者達の饗宴。
トヨエツの仕草の綺麗さ。
あの人のあの…と日本が誇る役者達。見応えあります。
これぞ喜劇!見事なミスコミュニケーション!
CGやアクションなど派手な演出が一切なくてもここまで面白い!
演技力と脚本力、そして視聴者自身の想像や推理で楽しむ舞台と映画のハイブリット!
昨今のハリウッドなどが化学調味料たっぷりのインスタントだとすると、この映画は出汁を丁寧にとった味噌汁のような、味わい深い名作!
ただのリメイクじゃなかった
アメリカ映画のリメイクかと思ったらアレンジだったんですね~
三谷幸喜の脚本っはやっぱり面白い。
ちょこちょこ「あ!あの時!!」と感じさせてくれるのもまたいい!
おうちでのんびり見るのに丁度いい
ジンジャエールを買った時間は?
こんなにアクの強いばかりは集まらないだろうと思う傍ら
人が人を裁くシビアな現場では二転三転することもあるのかな
そうなれば人それぞれ視点が違い思わぬ点も見えてくるのではないだろうか
もしも自分があの中の1人だったとしたら自分の考えをちゃんと主張出来るのか不安です
ぜひオリジナルの映画も見て頂きたい
本当にこんな風に有罪無罪が決まるのだとしたらとても恐ろしい
ジンジャーエール
その当時、三谷幸喜にはアッと言わされたし、腹抱えて笑ったこともある。その後の巨匠的扱いには食傷的であるが、やはり朋輩感を勝手に抱いてしまう。
普通に演じれないような台詞ばかりだから、舞台をそのまま映画にしたような作りになるしかないのかな。よく設定されたキャラクターがスクランブルに交錯し、そのキャラとそのキャラが、この伏線がここで、無理やりひっつける?などとらしさが詰まっている。今どうかと言われると、それはまた別の話。
コメディ
一室での会話だけで進み、癖の強い登場人物ばかり。多少くどいところもあるが、殺人事件の被害者も加害者も証人も見せずに、事件の概要をわからせていくのはおもしろい。有罪か無罪か、法の素人が判断するのは難しいが、12人で推理しながら結論を出して最後はスッキリ。
トヨエツがきゃしゃでつるんとしてて、超きれー。
13人目の気分が味わえる
裁判員制度が始まる前に作られた映画なんてすごい…。
大したことない事件で、ぱっとしない同じ場面(会議室の一室)、で会話だけで進行する映画でおもしろいのがすごいと思いました!しかも、有名俳優はトヨエツのみ!!
亡くなった人は悪い人、被疑者はいい人そうな人。それを前提に事件の内容を聞いて、裁判員はみは同じ判決を出す。全員一致で決まりになり、裁判員同士で話し合うこともなく終了に不安を感じたひとりが話し合うために反対に意見を変えた事から話が展開していく…という内容です。
意見が出る度に新発見があり、無罪有罪がころころ変わるところがおもしろい。
矛盾する供述をみつけ推理して、あくまで仮定にしか過ぎない結論をみんなで考え真相を導いていくのがおもしろかったです。
悪い人だから死んで当然?その人に迷惑をかけられたんだから、例え殺人だとしても証拠がなければ無罪でいい?
裁判員の個人的理由も大きく判決に影響を与えていて、12人いれば社会的地位のある人やない人、他人を大切に考えれる人やどうでもいい人、各々の長所短所が複雑に絡み合って、真相にたどり着く人間模様が非常におもしろかったです。
13人目感覚で楽しめるので、私ならどうするかずっと考えていたので、あっという間でした!
深刻な内容ではないし、むしろコメディタッチなので気楽に観れるのでおすすめです。
ダヨ〜ンおじさん
BS放送で先ほど観終えました。
少し遅れて観始めたのですが、登場人物たちの奔放で特徴的なキャラが面白おかしく描き分けられていたのでぐんぐん引き込まれました。
でも二転三転云転の経過を見守るうちに、こちらもいいように振り回されて段々と疲れちゃいました😑
人が集まり意見が異なれば、互いが真剣であればあるほど揉めるよね〜🥴
☝🏼人は理屈じゃない 肌感覚 も大切❗️
人を説得するには理屈で説明できないと共感され難くて捗らないけど。
とにかくお役目ご苦労様でした。
本作は月です 太陽たる12人の怒れる男の燦然たる輝きによって光る作品だからです
1957年のシドニー・ルメット監督の「12人の怒れる男」
映画史の輝ける金字塔
それを観てからでないと本作の面白さや可笑しみを本当の意味で楽しめないと思います
もしまだでしたら万難を排して、まずそちらをご覧下さい
騙されと思って絶対にそちらから観て下さい
映画遺産そのものですから、それ自体映画好きならマストな作品です
本作は月です
太陽たる12人の怒れる男の燦然たる輝きによって光る作品だからです
シドニー・ルメット監督の「12人の怒れる男」を先に観ていることで
本作はそれどう見事に料理してあるのか
どれほどリスペクトされているのか
表面的な面白さだけではなく、本当の面白さがどこにあるのか
そこを楽しめると思います
本作は1991年の公開
この当時はまだ日本には裁判員裁判の制度はありませんでした
2009年になって、わが国にも陪審員というべき、裁判員制度が始まりました
もしかしたら既に裁判員をされた方もいるかも知れません
自分はまだ裁判員への召集を受けたことはありません
いつか呼び出しが来るかも知れません
その時は、自分も12の怒れる男の誰か、本作の登場人物の誰かになっているかも知れません
本作を見直して、しっかりと「話し合い」をしたいと思います
12人のキャラ立ては見事でした。
架空の日本。12人の陪審員が、障害致死事件の判決を議論する様子をコメディタッチで描く物語。
三谷幸喜原作、脚本の映画で、舞台作品を映画化した作品です。
登場する12人のキャラクターが各々個性的(逆説的に没個性的)で、その特性に合わせた言動がストーリーを転がしていきます。
他者依存、思考停止、仕事人間、デフォルト設定された登場人物が日本人を微妙に皮肉っていて、思わず笑ってしまいます。
「ジンジャーエール」等の無茶無理もありますが、舞台のような大袈裟な演技で中和され、それ程気になりません。
名作として最高評価をする程ではありませんが、一度は鑑賞して損はない佳作だと思います。
陪審制があったなら
日本に裁判員制度が採り入れられるはるか前に撮られた作品。ひとつの部屋で、事件の回想シーンも一切なくひたすら役者の演技だけで乗り切る映画。なかなかチャレンジングだと思う。
実際の裁判員がここまでエキサイトすることはないと思うが、後年裁判員制度が発足するにあたってこの映画を見た人もいるのでは。
本家と比較が楽しい!
本家を見た時、あれ?三谷幸喜っぽい・・・と思ったら、ホントにオマージュ作品があって早速鑑賞。
なかなか本家を超えることは難しいと思ったが、比較しながらそれなりには楽しめた。
怒れる~は、まさにアメリカ男~!っていう12人だったし、こちらはまさに日本人!っていうサンプル。
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