ジャングル大帝(1997)のレビュー・感想・評価
全4件を表示
原作第三部を忠実に描いた作品
TVアニメ版とは一切の繋がりのない、原作第三部を忠実に描いた作品。レオの息子ルネ(柊)が誕生するシーンから。
いかにも極悪そうなハム・エッグ(立川談志)。顔は手塚作品でお馴染みだ。アフリカのバンジェスのムーン山で採れると言われる、核エネルギーに代わる“月光石”を持っていたため、彼を案内人にして調査隊が向かう。現地で選ばれた案内人ヒゲオヤジ(富田)は動物たちを愛して、ハム・エッグと対立する。
息子ルネは人間に憧れ、ひとり旅をするが人間に捕えられ、サーカスに売られる。空中ブランコのヒロイン・メリー(中島朋子)と仲良くなるが、ルネの故郷では動物たちの間に死斑病が流行っていて、故郷へ帰りたくなる。その想いが通じ、彼女はルネをアフリカ行の船に乗せてくれたのだ。一方、サバンナではレオの妻ライヤ(倍賞千恵子)が死斑病にかかり死んでしまう。そして娘ルキオにも病の魔の手が・・・やがてヒゲオヤジが動物たちを治療し、ルキオは無事だった。レオは象のバグーラ(伊武雅刀)たちにも人間に対する考えを改めさせる。
レオはヒゲオヤジとラムネ(松本保典)をムーン山へと案内するが、ハム・エッグたちは姑息にも彼らの跡を追いかける。標高が高いらしくかなりの雪山。そこにはオフクロサンと呼ばれるマンモスがいるのだ。そこにはオオカミもいる。オオカミに襲われ、ライフルを放ったハム・エッグたちは雪崩に巻き込まれ・・・かなりの人数が死んでしまったが、氷点下25度の頂上で月光石を見つけた直後、ラムネがハム・エッグに撃たれ死ぬ。ハム・エッグの銃を奪うため飛びかかったレオ。そしてハム・エッグも死んでしまう。残されたのはヒゲオヤジとレオ、そしてムーン山への経路を詳細に記したラムネのメモ。しかし、極寒の山頂で吹雪は止まず、食料もなくなった彼らは凍死寸前。ヒゲオヤジは体力のありそうなレオだけを下山させようとするが、レオの取った行動とは??
人間と動物は会話できないのだが、ヒゲオヤジのナイフを引っ張り出し、彼にに飛びかかったレオが彼の耳元に囁く。「これでいいのです。あなたは私の肉で飢えをしのぎ、皮を着て山を下りてください・・・」。自らナイフに突き刺さっていったレオ。この自己犠牲のシーンは手塚作品の『ブッダ』のエピソードにも登場するが、まさか主人公レオがこんな行動を取るなんて・・・涙が止まらない。そして、無事に下山し、川を渡っていたヒゲオヤジのところへルネが帰還。白いライオンだから、すぐにレオの息子だと悟ったヒゲオヤジ。敷いてあったレオの毛皮を不思議そうに嗅いでいたルネだった・・・終。
TVアニメしか知らず、原作を読んでいなかったため、最後は本当に悲しかった。娘や仲間たちを死から救ってくれた恩だけでは語れないはず。単純に、争いごとを暴力だけで解決しちゃいけない!といったメッセージかと感じた前半からは考え付かないほどのラストだ。ちょっと急ぎ足感があったけど、もうちょっと丁寧に描いてくれたらな~
初めて映画館で観た映画
Eテレでの放送で2回目の鑑賞。
原作マンガは未読。
初めて映画館で鑑賞した映画です。しかし小さかったためか物語を理解出来ず、且つつまらなかったようで、最後の方になるとスヤスヤ寝ていたとか。観た内に入らないか。
ですが、幼いながら印象に残った場面は少なからずあって、象の子供の性格の悪さに嫌な想いを抱いたり、雪の中から巨大な姿を現す象(象ばっかりかいな)に息を呑んだり…
それ以来観る機会がありませんでしたが、Eテレでの放送で久しぶりに観ました。自然への畏怖と尊敬。人類の傲慢さへの警鐘。ひとつひとつのテーマに胸が痛みました。
しかし全体的に言えば、あまり記憶に残らない作品と云う印象です。このレビューも、必死に内容を思い出しながら書きました。何かの機会に改めて観た上で追記したいと思います。
※修正(2024/02/03)
レオの存在感が薄い
総合:60点
ストーリー: 55
キャスト: 60
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 75
手塚作品は好きであるが、この原作の発表は1950年だそうで、流石に現代の価値観からすると古さを感じる部分もある。だがそれ以上に本作では原作を圧縮しすぎていて、物語があまり本筋が見えなくなっているように思える。レオの話が本来は中心だろうけど、前半に主人公のレオの活躍があまりなくて存在感が薄い。だから最後のムーンストーンの探索の旅をするにしても、彼の存在に思い入れが深くなる前に冒険が始まって、そして終わってしまった。原作はもっと面白かったしそれはレオとかが生き生きとしていたからだけど、それがこの作品では表現しきれていなかった。
全4件を表示