三匹の侍のレビュー・感想・評価
全6件を表示
剣豪無宿
1963年から1969年にフジテレビで6シーズン放送されたTV時代劇。第3シーズンまでは生放送だったとか!
人気を受けて、第1シーズン放送終了の1964年に映画化。
今流行りの“TVドラマの映画化”の先駆とも言える。
五社英雄は本作で映画監督デビュー。元々フジテレビのドラマディレクターで、TVのディレクターが映画監督になった初めての人とも言われている。
また、今では時代劇当たり前の人を斬った際の“ザクッ!”や刀と刀がぶつかり合う際の“カキーン!”などの効果音を取り入れたのも本作と言われ、色んな面で“パイオニア”と言うべき名作。
話は第1シーズンの第一話をベースにしているそうだが、『七人の侍』をコンパクトにしたような感じでもある。
野武士を悪代官らに置き換え、圧政に苦しめられる百姓たち、彼らに助太刀する侍たち。
七人が三人に、200分強が100分未満で、多少小品感は否めないが、見応えは充分。
登場人物の魅力や話の面白さ。
圧政に苦しめられているとは言え、代官の娘を人質に取る百姓たちもただ単に善良には描かれていない。愚かさや弱々しさの両面を併せ持ち、泥臭く描かれている。
そんな百姓たちを当初は傍観していたものの、次第に肩入れしていく浪人・柴。百姓たちを咎めぬ代わりに、自分が身代わりとなって拷問を受ける。
弱きを助け、悪しきを挫く、正統派の時代劇ヒーロー。丹波サンは晩年の豪快な人物像のイメージ強いが、改めて見ると非常にカッコいい。『砂の器』『日本沈没』などシリアスもイケる。
代官側に二人の用心棒。
人情味溢れる桜は、百姓育ち故あっさり百姓側に付く。長門勇のユーモラスな性格がぴったり。
一方の桔梗はニヒルな性格。こちらも平幹二朗にぴったり。当初は雇われの身故代官側だったが、代官らの悪行を見る内に…。
いい奴、ニヒルな奴、人情味ある奴、“三匹”の掛け合いや活躍は痛快。
代官らの非道さ。“侍”として交わした約束をあっさり破り、命を奪う。
そんな代官らに怒りが爆発。我が刀で成敗!
一番の見せ場。時代劇十八番のシーンだが、生々しい流血や浪人(アウトロー)たちの命懸けのスリルがあり、ただスカッとするとは違う迫力がある。
殺陣やカメラワークの大胆さ、演出や展開やキャラ描写の見せ方にインパクトあり、後の名匠の片鱗はすでに。
ひょんな事から集った三匹。
TVシリーズでは活躍が続いていく。(丹波哲郎は第1シーズンで降板したらしいが)
確かに他の活躍をもっと見てみたいと思わせる面白さだった。
柴左近の潔さ
丹波哲郎扮する浪人柴左近は、百姓たちが強訴のため代官の娘が水車小屋で捕らえているところを見つけ同宿した。代官側には平幹二朗扮する桔梗鋭之介が居候していた。また番屋には長門勇扮する桜京十郎が捕らえられていた。桔梗鋭之介は桜京十郎と浪人を連れて水車小屋に向かった。
代官にいじめられていた百姓たちの辛さを全面に取り上げていたね。柴左近の百姓に成り代わって罪をかぶる潔さに感服しながらも代官の裏切りが恨めしいね。みんな意外にも真面目な設定だったね。
子豚、侍、おっさん・・・
TV時代劇『三匹が斬る』は好きだった。基本設定はこの映画のアイデアをもらっているものだったのだろう。しかし、この映画、かなり重いかも。
百姓の代わりに百叩きの刑を受ける柴は男らしく慈愛の精神に満ちてはいる。有りえないとは思いつつも、画面に釘付けになるほど面白い。しかし、せっかく民衆側から描いたストーリーも、ラストには侍たちの酔狂であったかのような展開になり、虚しささえ残ってしまうのだ・・・
三匹の浪人、悪を斬る!
Huluで鑑賞。
テレビシリーズは未見です。
五社英雄監督ならではの泥臭さ・汚らしさが全開の作風にウキウキしながら鑑賞しました。この時はまだフジテレビの社員監督だったんじゃないかと思いますが、その作家性はすでにして匂い立つようだなと思いました。
丹波哲郎、平幹二朗、長門勇…繰り出される鮮やかな殺陣が醸し出す壮絶な迫力たるや凄まじいものがありました!
五社監督が初めて導入したと云う殺陣の効果音も、パイオニアらしい洗練を感じて興奮に拍車を掛けられました。
全6件を表示