3-4x10月のレビュー・感想・評価
全6件を表示
北野作品初期にある静謐と衝動が、やっぱり良い。
◯作品全体
初期の北野作品にある静謐と衝動が好きだ。
移動してるとき、何かを見てるとき。小さな動きはあれど言葉はなく、街やその場の雰囲気に同居しているような感覚。BGMはもちろん流れず、環境音だけがある。日常ではごくありふれたものでも、映像作品になると独特、という語り口になるのは身近にある静謐を切り取るということが、ヘタをすると冗長になってしまうからだろうか。本作における静謐も確かにそう感じる時間はあったが、唐突に訪れる非日常の衝動がぼんやりした作品にしていない。
無口な雅樹がヤクザの難癖に殴りかかる場面や井口の反撃、上原の衝動的な行動やラストのトレーラー突撃…草野球や浜辺野球の合間に挿入される瞬発力ある暴力的な演出が、日常の間にある衝動的な攻撃性を刺激的に伝えてくる。日常が静謐だからこそ、さらに強調されている気がして、静謐と衝動、その演出の両立が素晴らしかった。
妄想オチというラストだが、トイレの暗闇の中でぼんやりと考える狂気は、それこそ静謐と衝動の極地のように感じる。雅樹の内に潜んだその二つの描写が、妄想であることで逆にリアルに感じられた。
◯カメラワークとか
・スナックで大友組のヤクザに襲いかかる上原と玉城のシーン。一回襲ったあとカットを割らずに上原に画面が寄っていって再びヤクザに襲いかかる。最初は2回襲ったのかと思ったら同一カットで別アングルから見せるカットだったぽくて、すごいアイデアだった。
◯その他
・北野作品に出てくる登場人物で一番怖いのは女性キャラかもしれない。考える力がないのか、あえて何も考えてないのか。なんでその場にいて、落ち着いちゃってるんだろうっていうキャラクターが多い(サヤカは雅樹にとって理想的すぎるから除くとして)。元々心に傷があるような女性しか出てこないからか。
けっこう面白い
大昔レンタルビデオで見て以来で、まあまあ面白かった印象がある。改めて見ると、すごく変な構成で面白い。全体的にオフビートな感じが退屈な一方心地よくもある。こちらのコンディションに左右されそうだ。
柳ユーレイのすっとぼけた感じがとてもいい。この後たけし映画にあまり出ていないのが残念だ。ダンカンやつまみ枝豆もたけし軍団の面々がすごくいい。
石田ゆり子がなんで柳ユーレイに魅かれているのか不明だ。
ランナーを追い越してアウトになるなど、草野球の描写がすごく丁寧だ。
沖縄に行ってから話が別次元の展開になる。自転車に乗ってきた米軍兵がかわいそう。
銃の密輸をすっとぼけた感じで空港の突破に成功して面白い。
北野武
タカの兄弟分が大友で、「アウトレイジ」のたけしも大友なのはわざとなのかなーって思った。あと、高橋って名前のヤクザ「ソナチネ」にもいた。これは関係ないかもしれないけど、トヨエツと「アウトレイジ」の加瀬亮のキャラが似てる感じがした。
何回見ても、新しく気づくこととか考えることとかあるのはやっぱりすごいなーって思う。
柳憂怜の妄想でのできごとなんだけど、それにしては、たけしのエピソードだけまじで柳憂怜自身に関係ないよなーって思ってたけど、この映画は、柳憂怜の妄想(夢想)とたけしの妄想(夢想)が入り乱れているつくりなのかなーってふと思って、それだと納得いく気がした。
柳憂怜のエピソードが妄想なのは最初と最後のシーンで表してて、たけしのエピソードも妄想だと感じたのは、途中、フラッシュバックみたいになるシーンとか、ダンカンが歌ってる時に同じシーン繰り返すとか、そういうシーンをなんで入れたのかなーって考えてて、たけしのエピソードは、それはそれでたけしの妄想なんじゃないかって考えが浮かんだ。
だとしたら、なんでたけしがこの役を演じてるのかの理由にもなるし。
けっこうすき。
オープニングでは、めんどくさそうにダラダラ歩いてたけど最後のシーンでは駆け足で走る。
ぼーっと無気力で生きていた主人公が、やっと自らの足で踏み出す、気持ちが晴れたような、そんな風に見えた。死んでしまったけれど。
BGMが一切無いけど、違和感無い。
自然の音で作られてる。
飛行機の音。クラクション。ラジオの音。
たけし軍団が多く出演。
タカさんの演技良かった。でもやっぱりたけしさんのキャラが、笑顔もだんだん怖くなっていく気味が悪さがすごかった。
カラオケのシーン。ビール瓶で殴る、渡嘉敷さんがパンパーンと殴る、ダンカンさんの下手くそな歌に合わせて2回も繰り返されて、なんかギャグみたいで、ウケた。イカスミ食べてみんな歯が真っ黒なのも、かわいい。なんな好感が持てた、かと思えば、自分の女抱かせたり、指詰めろとか、最悪。浜辺のボール当てるシーンが特に嫌な気持ちになる。その後も女の頭をガンガン殴るし、ほんとクズやろう。それを見てる周りの人たちの沈黙、真顔がまたリアルで、緊張感や気味悪さが増す。
たけしさんの車中でのフラッシュバックは、
これからの自分の終わりが分かっていたってことだろうか?
車が走り出した後、車目線になってポツン感。
無言でも気持ちが伝わる役者の表情や動き。
やくざが登場してから、
画角上があきぎみなのが気になった。
意味があるのかな?
みんなのレビュー見て、トヨエツに気づいた。
全然気づかなかった。
なんと表現すれば…
人間の秘めた狂気、そして衝動と理性との葛藤、憧れと現実の境目が分からなくなってくる恐怖。
ゆったりとした雰囲気の中に怖さがある。観ててその理不尽さに苛立ちすら覚えるのだが、でも画面に見入っている自分がいたり。
そういった人の中にあるものをどこか発揮する場所を求めている。そんな感じなのだろうか。
そう考えると、石田ゆりこは主人公を通して何を満たそうとしていたんだろう。
全6件を表示