サチコの幸

劇場公開日:

解説

上村一夫の同名劇画をもとに、焼け跡の新宿に咲いた一輪の花・サチコの哀愁の青春を描く。脚本は「キャンパス・エロチカ 熟れて開く」の出倉宏、監督も同作の武田一成、撮影は「幼な妻絶叫!!」の安藤庄平がそれぞれ担当。

1976年製作/87分/日本
配給:日活
劇場公開日:1976年12月25日

ストーリー

昭和二十六年ごろ、新宿二丁目。若者達から可愛いい天使のような娘と呼ばれていたサチコがいた。サチコは自分に〈今にきっといい事がある。〉と言いきかせて生きていた。親に捨てられたユミコ、ジョージという進駐軍にほれ抜いているヨシコ、その他モモエ、みずえ皆、一つの店で精いっばい生きていた。その夜も中年男の中田や早稲田の学生など、サチコの稼ぎは二〇〇〇円。そんな所へ母にあいに来たと、武彦という青年があがって来た。武彦はただ壁に向ってひとこと言った。ここの女将が彼の母であると。サチコのはからいで女将と武彦を会わすと、女将はしらぬぞんぜぬで武彦を厳しく追いかえそうとした。武彦はただ絶望的に泣き伏した。サチコは自分の部屋で彼をやさしく抱きしめた。古いビルの前で、靴みがきをやっている次郎少年と仲良しになったサチコは、次郎の家のドラムカン風呂で、その夜の客・片岡にだまされた心の傷をいやした。サチコの裸身を見ただけで、次郎は発射してしまった。サチコは風呂の中で初恋の人・ケンを想い出していた。終戦直後の焼け跡。サチコはそこで変な男に襲われた。そこを通りがかりのケンが助けてくれた。サチコが十四、ケンが十六の時である。やがてケンはサチコに心配いらない、親父は刺青の彫師だったんだと、腕をまくり、『幸』という字を彫り始めた。二人の淡い愛がしばらく続いた。そんな時、ケンは仲間のやくざにつれていかれた。一ヵ月たっても帰ってこなかった。待ちくたびれたサチコの行く先は二丁目しかなかった。次郎はそんなサチコの話をうっとりと聞いていた。店に帰ってみると桃谷という男が押入れの中で長居していた。彼はリュックにカストリ雑誌をいっぱいにつめて持っていた。それを売って金にするというのである。サチコは桃谷のかわりに、炎天下の中をリュックをかついで知り合いの本屋へと急いだ。これを見た行きずりの男・広沢は強引にサチコからリュックを取り上げて、さっさと本屋に入っていき、こういうやばい仕事はやめなさい。といいお金を渡し、何処ともなしに消えた。お金を持って帰ったサチコに桃谷は涙を流して喜んだ。彼はついに歌までうたい出した。しかし、それも刑事にふみこまれてプッツリ消えた。桃谷をたずねて、暗闇からとび出して来た男がいた。ケンだ。しかし、ケンは『幸』という刺青をナイフで切り刻みサチコの前から姿をけした。映画の看板「また逢う日まで」がサチコの涙をさそった。不景気風にあおられて、二丁目をしけた客の顔が通りすぎた。サチコも、モモエも、みずえもみんな真剣に呼びこみを続けた。そこへ偶然、広沢が通った。二人はその夜、旧知の知り合いのように語りあかした。広沢は毎週月曜と金曜には必ず来ると言って帰った。金曜日、広沢が札束を抱えてやって来た。そして、いきなり結婚を申し込んだ。サチコは頬を上気させて呆然となった。女将、ヨシコ、モモエ、みずえ、皆がサチコのために祝盃をあげてくれた。そんな華やいだ夜、ヨシコがなじみの進駐軍にさされて死んだ。禍福さまざまな新宿二丁目である。広沢のことを知らないケンが、次郎にサチコの結婚資金を託した。武彦はサチコの結婚の話を聞いて、泣きふした。そのたびにサチコの心は痛むのであった。バラックの入口に、「広沢幸雄」「サチコ」の表札。広沢の仕事仲間の六も、奥さん奥さんとやさしかった。サチコの胸に幸せがふくらんだ。なれない炊事もご愛嬌であった。だが、広沢が仕事に出て、サチコとふたりきりになったとき、六の男が目をさました。サチコは六に押し倒された。六に犯されたサチコは、自分の帰るところは、やっぱり二丁目しかないと考えた。そして、広沢には、二人のたのしかった生活のお礼を手紙にして残して来た。いつものように、新宿で靴みがきをやっている次郎の前に、突然、サチコがたっていた。次郎はおどろき、サチコに事情をきいた。しかし、サチコはなにも話さずただ、二丁目に帰ってきたのサと言った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

0.5オート三輪は乗って運転させてもらった。

2023年10月21日
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マサシ
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