「セミドキュメンタリーでも見ているような気分に、当時の高評価にも理解の及ばない己を見つめることに…」サード KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
セミドキュメンタリーでも見ているような気分に、当時の高評価にも理解の及ばない己を見つめることに…
若い頃は脚本が寺山修司であることも意識外
のまま、名画座で観た記憶のある作品。
キネマ旬報では見事ベストワンの栄冠を得た
作品だが、野球でサードを守っていた主人公
の犯罪的物語という以外の内容は
全く忘れてしまっていた。
今回、少年院の淡々とした日常描写や、
いかにもマイクを通したような登場人物の
“棒読み”のような台詞回しからは、
何かセミドキュメンタリーでも
見ているような気分にさせられる
驚きの再鑑賞となった。
さて、私には、消えたホームベースは、
人生における真なる目的なり目標なりを
見定められない青春期の精神的な揺らぎの
例えと思われたのだが、
果たしてどうなのだろうか。
それにしても、敬愛するキネマ旬報の
ベストワン作品に、これほど理解の及ばない
のは初めてのケースのような気がする。
それは、世代間ギャップによる
“サード”を代表する若者達の焦燥感への
無理解の結果なのか、
はたまた、単に、加齢により
浅くなった思索の賜物なのか、
何か、そんな己を見つめ直す
再鑑賞となってしまった。
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