五番町夕霧楼(1963)のレビュー・感想・評価
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田坂具隆×水上勉×佐久間良子=名作‼️
田坂具隆監督は戦前の「土と兵隊」や「五人の斥候兵」、「路傍の石」なんか観ても真面目な作風だなぁと思うんですけど、裕次郎さんと組んだ「乳母車」や「陽のあたる坂道」なんかはユーモアもあって好感が持てる‼️そんな真面目な田坂監督が抒情味を加えて完成させた「五番町夕霧桜」と「湖の琴」が一般的には最高作と言われています‼️原作は「飢餓海峡」の水上勉、佐久間良子さんがヒロイン役‼️貧乏のため、百日紅の咲く丹後の村から、京都五番町の夕霧楼の遊郭に身売りされた夕子。幼なじみで恋心を抱いている寺の修行僧正順とは、客として座敷にあげても体は触れ合わない。吃音の正順は寺での過酷な仕打ちを受け、寺に火を放ち自殺、病んでいた夕子も丹後で死ぬ・・・‼️正順の描写は三島由紀夫の「金閣寺」をヒントにしてるのは明白で、市川崑監督の「炎上」や篠田三郎さんが主演された「金閣寺」など秀作が多いのですが、そこに恋人たちの悲恋を絡ませた視点が素晴らしいですね‼️百日紅が咲いたヒロインの墓をはじめとする丹後の美しい風景や、夕霧桜などの京都の風俗描写や街並みも印象的で、田坂監督の格調高くやわらかな作風に彩りを添えています‼️主演の佐久間良子さんも美しさの中に薄幸も感じさせる熱演で代表作ですよね‼️なんか木下恵介監督の「野菊の如き君なりき」に通じる味わいがありました‼️
日本的叙情映画。一歩間違うと「お涙頂戴映画」だ。
田坂具隆監督の晩年の名作。NHKBS放送で、最後のシーンだけ観ている。一度全編を観たく、レンタルで借りてきた。
北陸の寒村から、家族のために京都の遊廓で働くこととなった薄幸の女性の物語。タイトルのように、一歩間違うと「お涙頂戴映画」になりそうだが、踏み止まった名作だ。佐久間良子もいいが、それ以上に遊廓を経営する木暮実千代がいい。
赤い百日紅の花が何度も描写される。これは結核で亡くなる主人公の吐血を連想させる。また、修行僧への恋心(情熱)の象徴だろう。
残念ながら、音楽がまずい。音楽担当は佐藤勝だが、いかにもお涙頂戴の音楽だ。
私は売春防止法施行後に生まれた。遊廓を知らないので、少し勉強になった。
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