「日本的叙情映画。一歩間違うと「お涙頂戴映画」だ。」五番町夕霧楼(1963) いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
日本的叙情映画。一歩間違うと「お涙頂戴映画」だ。
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田坂具隆監督の晩年の名作。NHKBS放送で、最後のシーンだけ観ている。一度全編を観たく、レンタルで借りてきた。
北陸の寒村から、家族のために京都の遊廓で働くこととなった薄幸の女性の物語。タイトルのように、一歩間違うと「お涙頂戴映画」になりそうだが、踏み止まった名作だ。佐久間良子もいいが、それ以上に遊廓を経営する木暮実千代がいい。
赤い百日紅の花が何度も描写される。これは結核で亡くなる主人公の吐血を連想させる。また、修行僧への恋心(情熱)の象徴だろう。
残念ながら、音楽がまずい。音楽担当は佐藤勝だが、いかにもお涙頂戴の音楽だ。
私は売春防止法施行後に生まれた。遊廓を知らないので、少し勉強になった。
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いなかびとさんのコメント
2022年6月24日
自らのレビューにコメントするのは、禁じ手かもしれない。後で気がついたので書いておく。
西陣の織元に夕子が水揚げされた際、大旦那は処女じゃなかったと発言した。これはどういうことだろう。貧乏学生ともう肉体関係にあったということなのか。水上勉の原作を読んでみないと分からない。
北陸地方にいた際、その美貌に惹かれて彼女を犯した男がいたと推測すると薄幸の娘の印象が強くなるけれど、考えすぎだよね。