小判鮫 お役者仁義

劇場公開日:

解説

三上於菟吉の原作を「新蛇姫様 お島千太郎」でコンビの沢島忠と中島信昭が共同で脚色、沢島忠が監督した舞台の人気演しものを映画化したもの。撮影は「関東破門状(1965)」の吉田貞次。

1966年製作/101分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年1月26日

ストーリー

江戸一番の人気歌舞伎役者中村雪之丞は、もとをただせば長崎の廻船問屋の一人娘だった。しかし父親の出島万兵衛は、番頭の伝助と競争相手の唐津屋の好計にはまり、出島屋の手代三郎兵衛の嘘の証言で殺人の汚名をきせられ島流し二十年の極刑に処せられてしまったのだ。その後伝助は五島屋の屋号を掲げ、唐津屋と共に江戸へ来て幕府の権力者土居斉人に取り入り、米間屋として羽振りをきかせ、米の値段を不当に釣りあげて暴利をむさぼっていた。また、今をときめく怪盗闇太郎も、父が島役人だった頃、土居のために陥し入れられた無実の罪に泣く人々をみてきているのだ。だから、義侠心に富む闇太郎は、ひんぱんに土居斉人の身辺を狙うのだ。そんな闇太郎に一目惚れした軽業師お七は、自分のことのように闇太郎の身を案じていた。一方土居斉人の娘お蘭は中村座の人気につられて初めて見た雪之丞に心惹かれるようになっていった。ところがこの闇太郎と雪之丞がふとしたことから出会い、志を同じにする二人が逢瀬をかさねるのを面白く思わないお七は、何かと二人の間を裂こうと邪魔するのだった。また一方のお蘭も、父斉人のあまりの非道さに堪えきれず、雪之丞に助けを求め、雪之丞も、そんなお蘭に同情してかくまってやるのだった。そのころ土居は、平馬や目明し常吉を使って、お蘭の行方を懸命に追っていた。これを知ったお七は、雪之丞に嫉妬するあまり、雪之丞を平馬のもとにおびきだし、お蘭のかくまい所を吐かそうとした。だが雪之丞は口を割らず、業を煮やしたお七は雪之丞に短銃をつきつけた。しかしさすがに、お七には雪之丞を射つことが出来ず、ちょうど、助けにきた闇太郎と共に雪之丞は脱出した。だが、雪之丞が自分の命を狙っていることを知った土居は、千秋楽の芝居で雪之丞の命を狙った。これを察した雪之丞と闇太郎は舞台上で土居の悪業をばらした。雪之丞と闇太郎めがけて、土居と、その用心棒が殺到した。が、危機一髪、闇太郎の身を案じてかけつけたお七の短銃に助けられ、三郎兵衛の告白で、万兵衛の無実は証明された。手をとりあって喜ぶ闇太郎と雪之丞を後に、お七は淋しく一人去っていった。

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