「関西と東京のテイストが混じり合う不思議な味わいの作品」小早川家の秋 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
関西と東京のテイストが混じり合う不思議な味わいの作品
小津が亡くなる前々年に宝塚映画からの招聘を受け、東宝の藤本真澄プロデュースで撮った作品。
昨年、茅ヶ崎美術館で開催された「生誕120年没後60年小津安二郎の審美眼」展で封切り時のポスターをみたが五社協定によるそれまでの限界を大きく超えるまさしくオールスター映画といえるものだった。
舞台は伏見、京都。大阪(京橋あたりか?)や奈良西大寺の競輪場も出てくる。出演者は基本、関西弁を喋っているが(原節子を除いて)、原節子はもちろん、出番の多い加東大介や司葉子も大船家庭劇風の瀟洒な感じを色濃く残している。一方で松竹の役者と、関西の風土、関西系の役者との絡みも妙にマッチングしていて(冒頭と終わりの方にある加東と森繁の絡みが絶品)なんともいいようのない間合、テイストが味わえる。
そしてともかく素晴らしいのは道楽者の小早川万兵衛を演じる中村鴈治郎。丈の身のこなしを十分に観ることができるだけでもこの映画を観る価値はある。
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