「ゴジラの新しい造形に魅力を感じなかった」ゴジラ 2000 ミレニアム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラの新しい造形に魅力を感じなかった
シリーズ23作目。
1995年に平成VSシリーズが終了した後、1998年に待望のハリウッド版が公開された。
期待して待っていたのだが、これが見事に裏切られ、そのショックは今も癒えない。
翌1999年、名誉回復の為に、本家ゴジラが帰って来た。
冒頭、北海道根室を重量感たっぷりに蹂躙する姿は、これがゴジラだ!という製作側の雄叫びが聞こえて来そうだ。
しかしながら、ストーリーも一本の映画としても不発だったと言わざるをえない。
“科学の傲慢”をテーマに挙げているそうだが、それがイマイチ伝わりにくい。
復活作早々、対戦相手がUFOなのがリアリティに欠ける。
そのUFOがタコ型宇宙生物に変化した時は失笑してしまった。
スタッフは新旧の面々が入り混じり、積極的にCGを取り入れたものの、CGと特撮が上手く噛み合っていない。
そして、ゴジラの新しい造形には正直驚いた。
以前のゴジラは良くも悪くもヒューマニズムや生物としての魅力を感じさせたのだが、本作の新たなゴジラは荒々しい凶暴さが特徴となっている。
それを象徴するのが、今までの倍近くはある巨大な背ビレ。
VSシリーズのイメージを払拭させようという意気込みだろうが、ゴジラの表情に覇気が無く、動きも緩慢で、質感も材料が変わったの?と思うくらい着ぐるみである事を感じさせる。
肝心のゴジラ自身に魅力を感じないのだから、不発と思っても無理はない。
復活一作目なので、長い目で見るしかない。
キャストの一人に今や超売れっ子の阿部寛。
トップスターとなった今、出演オファーをしても実現は難しいだろう。
ある意味、お宝映像。
コメントする