「「東宝怪獣映画10周年、ゴジラとしては初めて操演怪獣との対決。昭和黄金期ゴジラ人気をキンゴジと二分する傑作」」モスラ対ゴジラ 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
「東宝怪獣映画10周年、ゴジラとしては初めて操演怪獣との対決。昭和黄金期ゴジラ人気をキンゴジと二分する傑作」
独自採点(78):前作の大ヒットを受けゴジラ対決シリーズを本格的に世界配給する事となり、先に世界配給されていたモスラがトップコンテンダーとして選ばれた。また、海用ゴジラを別途使用した最初の作品。
制作田中友幸、監督本多猪四郎、特技監督円谷英二、音楽伊福部昭
通称:モスゴジ・登場怪獣:モスラ(幼虫・成虫)・防衛:防衛隊(ノンクレジット)・1964年(昭和39年)4月29日に公開・89分・上陸地(倉田浜干拓地)・破壊地(四日市コンビナート地帯・名古屋・名古屋城・)・特撮爆破炎上破壊規模A(炎上は少なめ)市街地ミニチュアセットスケール1/ 25?
主演:宝田明・星由里子、東宝の人気怪獣モスラとの共演、倉田浜干拓地から出現、四日市コンビナートや名古屋城の破壊、小美人のセットなど特撮の見所は多い、モスラ幼虫がゴジラの尻尾を加えるシーンなども面白い、海岸には一部実物大のモスラの卵を作り合成されているのも今見ても違和感なく秀逸。モスラ幼虫はゴジラ怪獣の中で唯一ゴジラに勝利した怪獣でもある。1964年は特撮映画が立て続けに制作、第一次怪獣ブームの先駆け期の人気怪獣対決に当時の観客も楽しんだであろうが、観客動員は351万人(公表720万人は1980年のドラえもんとの併映が4割を占めている)で前作のキンゴジから大きく動員数が減少しているのは58年をピークに映画人口そのものが減った事を如実に表している、既に映画は斜陽期に入っていたが特撮怪獣映画は根強い人気があった。
造形特徴:白っぽいまゆに三白眼のモスゴジは人気、逞しく躍動的な尻尾、脇を固め手のひらを前方に向けスリムでなだらかなフォームで昭和ゴジラの進撃ポーズが確立、足は動きやすく丸太のような脚に歯や爪は樹脂になりシャープに。
今作から本格的にゴジラシリーズ化されたこともあり特撮スケジュールも合理化、顔を統一するべく型が取られた(各作品ごとに肉付けは変わっている)また、海シーンがあるがスーツは一度濡れると乾くのに時間がかかることもあり本作から海ゴジラが誕生、基本的には旧作で使用したスーツを利用する事となる(本作海用はキンゴジスーツ使用ラストモスラの繭糸を吹きつけられ岸壁から海へ転落、静之浦→岩島海上膝下はモスゴジ?)。
<ゴジラスーツ流用史>
64年1月 モスゴジ新造型
9月 三大怪獣撮影
冬 公開直前、デパート出演(地方)
65年3月 ゴメスに改造(デザイン井上泰幸)
9月 大戦争ゴジラ新造型
66年1月 「ウルトラQ」1話「ゴメスを倒せ!」放送
5月 赤札堂展示(大戦争ゴジラの頭、体はモスゴジ)
7月 ジラースに改造(デザイン成田亨)
9月 元に戻して南海ゴジラ撮影、モスゴジは海用
12月 そのゴジラがデパートなどで映画の宣伝に登場
この頃の対決特撮シーンは街中というより草っ原が増えてきている印象でやはりミニチュア市街地セットを作って破壊というのが見たい気はする、静之浦へ向かうゴジラと防衛隊の攻防でゴジラに火が移り若干燃えていた。(今作自衛隊のクレジット無い兵器・機体などにも記載はなく書籍によっては防衛隊となっている60・70年代は安保闘争もあったので扱いは難しいところがあったのかと思われる、また国会で野党が一般の映画会社に自衛隊が協力することを批判し、協力を受けられなくなったとの回想記録もある)1970年東宝チャンピオン祭り(74分)で再映、1980年にも再映。
時代:東京五輪・東海道新幹線開業
時代:(63〜64)
1963マタンゴ・海底軍艦(封切料金¥300※実勢価格約半額)白黒テレビ普及率9割近くに、国内初の名神高速一部開通(前年首都高一部開通しているが厳密には高速道路では無い)、R2461日交通量31,000台軌道もあり渋滞が社会問題化、日米初衛星中継(ケネディ暗殺事件直前)、都内の一般幹線道路の平均速度22km/hに対して、首都高は55km/h、芸能界と暴力団との絶縁を理念に日本音楽事業協会設立、鉄腕アトム
1964モスラ対ゴジラ・三大怪獣地球最大の決戦(封切料金¥300※実勢価格約半額)東京五輪・東海道新幹線開業、シャープ世界初の電卓発売、日本武道館開館、「高島忠夫長男殺害事件」、ソニーが業界初の家庭用ビデオテープレコーダ「CV-2000」を発売、 新宿駅に日本初のコインロッカーが設置される、全国映画館数が5,000を割り込む、ガソリン¥48/ℓ・砂糖¥165/Kg・会社員平均月収¥63,396、「ハウスバーモントカレーだよーCM」大ヒット¥60、月間「ガロ」・平凡パンチ創刊、ひょっこりひょうたん島、日米海底ケーブル開通、バービーブーム、五輪中止も検討された都内大渇水、新宿の淀橋水道城廃止(東京副都心に)、東京自動車台数100万台越え、警視庁が「組織暴力犯罪取締本部」を設置、紅白歌合戦カラー放送、新潟地震液状化現象で団地倒壊・昭和大橋崩落・ミロのビーナス特別公開・台風20号で阪神高速水没など天災が多かった。都心ではトロリーバスが現役運行、臨港線の「8620」SLが2月で姿を消す。VANがスニーカー発売。