劇場公開日 1995年6月3日

「懐かしい」午後の遺言状 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0懐かしい

2022年7月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

当時の時代背景を盛り込んで結構なヒットを飛ばしたと記憶している。
ただ当時の若かった自分(ハリウッド史上主義的)には「なんだこの内容は」とたいくつに感じられた。
だが歳を取って観るとなるほど、こんな前から問題提起してたか?と思う。
なにしろ御大の新藤兼人が撮る作品はいつもこうなのだ。

小手先の言葉など使わせずストレートに色々セリフで言わせる。
裸だって惜し気もなくみせる。
人間の生臭さを、生を、性をさらけだしてみせる。

精神を病んだ強盗のゲートボール嫌いは多少はなるほどと思えるし、芝居がかった警官、マムシ捕まえてる松重豊(笑)民宿の男性、海辺の少年と妙に記憶に残る。
名演技とは思わないがどこか変な彼らは記憶の端に引っかかるのだ。

監督は高齢者にやりたいように生きろと伝えたかったように思う。
新藤監督の作品は大概、失われつつ何かをテーマにしているが、この作品公開の頃はバブル期終了でまだ世の中もフワフワしており、認知症の社会的な認知度がボケてきたの一言で済まされていた時代である。
そんなものに囚われたくないと夫婦揃って死を選ぶ…トコトンまで女優で生きる…。

この監督のメッセージを死ぬまで足掻いて生きろ!と私は受けとる事にした。

うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)