県警対組織暴力のレビュー・感想・評価
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これは鋭くエグったね
この映画にはある意味 叙述トリックが使われている 警察と片方のヤクザとの関係だけが つぶさに描かれていて もう片方のグループとの関係があまり描かれていない これがもしも 推理小説 だったら どうしてだろうと そこんところを深く考えるのであるが ・・・警察と強い絆で結ばれているヤクザの話をうまく挿入されて思考回路が停止してしまうのである。 そして クライマックスが終わった後のシーンを見て 「やられた」と悔しがるのである
ヤクザ映画の歴史で言うと まず戦後間もないころに作られた 黒澤明の「酔いどれ天使」がある。その中で警察が機能しておらず 町の秩序 をヤクザが作っているということが 端的に描かれている。 それから 仁義なき戦いがあって 最初のうちは貧乏だった 警察に だんだん力がついててくると立場が強くなり、 やがて二者の関係が馴れ合い縺あいになる・・ というところが この映画の中で描かれている。 我々はこれらの映画を見てるので そこにまんまとはまるのである そしてこの映画ではその時代の終わりを描いている
ネタバレ注意
ここで 黒幕として動いているのはおそらく ゼネコンと深い関係にあるヤクザであろう。一部の ヤクザ組織が小さなヤクザからは想像できないほどデカくなり 今までヤクザの歴史になかったような行動を起こすようになった。 それが主人公たちには読めず、 翻弄されるという話だった。主人公のヤクザ・警察 サイドで描かれていて長い付き合いの中で絡み合っている主人公たちの心情がとてもよく伝わってきた。 そして最後にエグられる・・ 深作ヤクザ映画の集大成ともいえる作品だった。
癒着の果てに
DVDで鑑賞。
キャスト・スタッフへの絶大な信頼感がすごい。監督・深作欣二、脚本・笠原和夫、主演・菅原文太…まさに実録黄金トリオ。この3人が寄れば面白くないわけが無いのだ。
実際の事件たちをベースに、警察とやくざの爛れた癒着の実態を浮き彫りにしただけでなく、組織の中で生きる者が直面する不条理までも炙り出すと云う秀逸過ぎる名作だった。
組織に翻弄される菅原文太と松方弘樹の姿と彼らを取り巻く人間模様は、さながら社会の縮図である。警察もやくざも根本でやっていることはあまり変わらない。
権謀術数。抗えない階級社会。組織のセオリーにもがき苦しむ男たちのドラマが熱い。本作のタイトルには、えげつない皮肉がこめられているのではないかと思う。
やくざと癒着する刑事は悪いし、刑事を利用するやくざもまたしかり。それは分かっているのに、久能たちが追い詰められていく様は、観ていてめちゃくちゃ辛かった。
固い結束で結ばれたふたりに待っていた結末は、とても破滅的でエモーショナル。積み重ねられた絆の分、その悲しみは重みを増し、様々な感情が溢れ出して来た。
勝者となるのは状況を見抜いて上手く立ち働いた者、そしてそのおこぼれにちゃっかり預かった者と相場が決まっているだなんて。嗚呼、やるせない世の中だよ全く。
[以降の鑑賞記録]
2021/02/23:DVD
2024/10/09:Amazon Prime Video(東映オンデマンド)
※修正(2024/10/09)
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