剣のレビュー・感想・評価
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大映4K映画祭
市川雷蔵主演の白黒映画。
時代劇だと思って見に行ったら違ってた。
とある大学の剣道部での話。
真面目過ぎる主将が市川雷蔵演じる主人公。
今の感覚で見てしまうと、どうしても古いツマラナイ映画と感じてしまう。
この主人公の性格を成り立たせるには戦時中の話にでもしないとダメじゃないかなと思った。。
調べてみたら、作られたのは1964年なので戦争が終わって19年後。
当時の人達はどんな思いでこの映画を見ていたんだろう?
まだ戦争の記憶が色濃く残っていたと思うから、主人公の行動にも共感できたのかな。
もっと武士道精神とか、大和魂的なところを絡めてたら見てて納得できたかもしれない。
骨盤体操のイメージが強い川津祐介が出ていた。
めっちゃ若い顔だけど面影が強くて分かった。
劇中での彼の役を考えてみても、自分の行動が原因であんなことになったら一生トラウマが残ってしまう。
普通には生きていけない。。
衝撃のラストでした。
でも、どうしても似た感じの話があったよなって思ってしまう。。
ある程度の映画の本数を見てしまうと仕方の無い事なんだろうけど。。
重厚な雰囲気の緊張感のある映画
多くが大学の道場の撮影で剣道シーンは迫力があった。
通常、部員たちとのいざこざ、部活動以外で「遊び」「事件」がありそうなものであるが、多少出てくる程度で大きな展開にはならない。
あくまでも主人公の強く張り詰めた「志」と、ストイックな性格が映画全体を覆っている。
主人公の内面、弱音や強さは、言葉では表現されていないので、結末は意外であった。
死道
三隅研次監督&市川雷蔵主演の“剣”三部作の一つ。1964年の作品。
てっきり時代劇と思っていたら、このコンビには珍しい現代劇。
とある大学の剣道部が舞台で、全国大会を目指す熱血青春ストーリー…ではない。
原作は三島由紀夫。死や悲劇など三島美学が反映された文芸作。
ひたすら剣の道に打ち込む剣道部部長・国分。自分にも部員にも厳しいが、部員から神のように尊敬されている。
ライバル的な賀川はそんな国分とは対照的で、大学生活をエンジョイ。どうしても剣道では劣る国分に反発。
全国大会を目指す夏の合宿で、事件が起きる…。
悲劇の発端は、個人的な優劣感、嫉妬…。
賀川は学内ナンバーワン女子を利用して、国分を誘惑させる。国分が禁欲を破ったと嘘をつく。
国分に無断で部員皆で禁止されている水泳をする。
もはや勝ち負けの問題じゃない。一方的な僻みだ。
確かに国分は厳しすぎる。合宿も部員がぶっ倒れるまでやる。
が、国分はただただストイックなだけで何の落ち度も無く、時にそれが相手に歪んだ感情を孕ませる。
国分は己の剣の道に勝ったのか、賀川は己の弱い心に負けたのか。
剣道シーンは白熱。
現代劇ではあっても激しい剣のぶつかり合いは時代劇にも通じ、三隅研次の演出は格調高いものすら感じる。
一切迷いが無いように見えて、その実、葛藤し…。市川雷蔵もさすがの名演。
対照的な賀川役の川津祐介も印象的。
最後に国分が選んだ道。
それは、弱いから選んだ道なのか、強いから選んだ道なのか。
壮絶な割腹自殺を遂げた三島由紀夫と被った。
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