劇場公開日 1964年3月14日

剣のレビュー・感想・評価

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3.0重厚な雰囲気の緊張感のある映画

2021年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

多くが大学の道場の撮影で剣道シーンは迫力があった。
通常、部員たちとのいざこざ、部活動以外で「遊び」「事件」がありそうなものであるが、多少出てくる程度で大きな展開にはならない。
あくまでも主人公の強く張り詰めた「志」と、ストイックな性格が映画全体を覆っている。
主人公の内面、弱音や強さは、言葉では表現されていないので、結末は意外であった。

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M.Joe

3.5死道

2018年4月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

三隅研次監督&市川雷蔵主演の“剣”三部作の一つ。1964年の作品。
てっきり時代劇と思っていたら、このコンビには珍しい現代劇。
とある大学の剣道部が舞台で、全国大会を目指す熱血青春ストーリー…ではない。
原作は三島由紀夫。死や悲劇など三島美学が反映された文芸作。

ひたすら剣の道に打ち込む剣道部部長・国分。自分にも部員にも厳しいが、部員から神のように尊敬されている。
ライバル的な賀川はそんな国分とは対照的で、大学生活をエンジョイ。どうしても剣道では劣る国分に反発。
全国大会を目指す夏の合宿で、事件が起きる…。

悲劇の発端は、個人的な優劣感、嫉妬…。
賀川は学内ナンバーワン女子を利用して、国分を誘惑させる。国分が禁欲を破ったと嘘をつく。
国分に無断で部員皆で禁止されている水泳をする。
もはや勝ち負けの問題じゃない。一方的な僻みだ。
確かに国分は厳しすぎる。合宿も部員がぶっ倒れるまでやる。
が、国分はただただストイックなだけで何の落ち度も無く、時にそれが相手に歪んだ感情を孕ませる。
国分は己の剣の道に勝ったのか、賀川は己の弱い心に負けたのか。

剣道シーンは白熱。
現代劇ではあっても激しい剣のぶつかり合いは時代劇にも通じ、三隅研次の演出は格調高いものすら感じる。
一切迷いが無いように見えて、その実、葛藤し…。市川雷蔵もさすがの名演。
対照的な賀川役の川津祐介も印象的。

最後に国分が選んだ道。
それは、弱いから選んだ道なのか、強いから選んだ道なのか。
壮絶な割腹自殺を遂げた三島由紀夫と被った。

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近大