「B級グルメ?!南海の大海鮮!」決戦!南海の大怪獣 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
B級グルメ?!南海の大海鮮!
東宝特撮1970年の作品。
見るのは数十年ぶり。昔一度だけレンタルVHSで見た記憶が…。
近くのレンタル店には置いておらず。U‐NEXTでも配信されておらず。
TSUTAYAの宅配レンタルにて見つけ、鑑賞。
(間もなく3月いっぱいで近くのTSUTAYAが閉店してしまうので、今後新作レンタルはこの宅配レンタルを活用していこうかなと。そういう経緯もあって今回初めて試しに頼んでみた)
円谷英二が亡くなった直後。
本多猪四郎監督と音楽の伊福部昭は1975年の『メカゴジラの逆襲』まで担当せず。
特撮課も廃止。
翌年の『ゴジラ対ヘドラ』からは新体制になるも、従来の体制では最後となる。
何せ昔子供の頃一回見たっきりなので、話など全く覚えておらず。
登場怪獣だけは知っているけど、話はほぼ初見みたいなもん。
木星調査の無人ロケット“ヘリオス7号”が宇宙空間で行方不明に。
その後太平洋上に落下するのを、フリーのカメラマン・工藤が目撃。
スクープをものにする為、落下地点近くのレジャー開発が進められている南海の島・セルジオ島の取材に同行。
久保明の役が『ゴジラの息子』の時とちょい被り。
島には旧日本軍が駐屯していた事もあり、あちこちに戦争の“置き土産”が…。
島民は片言の日本語を話し、日本人に好意的。
が、祈祷師の“災いが起こる”という入れ知恵で…。
島民たちが恐れる災いとは、島に伝わる海の怪物。
そんな迷信を一蹴していたが、“奴ら”が姿を現す…。
大イカ怪獣、ゲゾラ!
大カニ怪獣、ガニメ!
大カメ怪獣、ガメ…じゃなくて、カメーバ!
ここに大ダコやエビラも交じれば、豪勢な海鮮祭り!
特撮ブームも下火になっていた中、新怪獣を一挙に3体投入。
全盛期の怪獣映画を目指し、円谷英二に捧げた意欲作。
怪獣たちの大暴れと大決闘に期待したい所だが…。
怪獣たちは実在の生物をモチーフにしているので、“生物感”を全面に。操演や造形も凝っている。
が、どうもユーモラスで、比べちゃいけないのは分かるけど、ゴジラら他の東宝怪獣より圧倒的に魅力やインパクトに欠ける。
子供が思い付いたようなネーミングも…。後年、『東京SOS』でディスられてたし。(にしてもこの時、“死体役”とは言えまさか平成のゴジラシリーズに登場するとは、何よりカメーバご本人がびっくりだろう)
幾ら巨大化したとは言え“元”があるので、人間の力で倒せない事はない。
火や爆弾で意外とあっさり…。イルカやコウモリの出す超音波も苦手。
やった! 退治した後はバーベキューには困らない!
タイトルや宣伝写真からは3大怪獣が大バトルを繰り広げるのかと思いきや、アレレ…。
怪獣たちは一体ずつご登場。
最後の最後になってガニメとカメーバが闘うけど、ほんのちょっとだけ。
“南海の3大怪獣大決戦!”は期待外れ。宣伝詐欺と言われても、まあ…。
あくまで迫り来る巨大怪獣に人間が立ち向かう話。
生物の巨大化の原因は、ヘリオス7号に付着していた宇宙アメーバが寄生した事により。
意思を持ち、地球侵略を企み、登場人物の一人に寄生。その男を操ろうとする。
ドラマ的には、産業スパイという肩書きで胡散臭さある男が必死に抗い、宇宙アメーバもろとも火山の中に飛び込み、自らの命を犠牲にして宇宙からの侵略者を絶つ。
佐原健二は熱演を見せるが、宇宙アメーバの脅威も恐怖もインパクトも『吸血鬼ゴケミドロ』には遠く及ばず。
ガニメ対カメーバも火山に巻き込まれてTHE END。
何か色々と物足りない。
ロケーションは魅力的だし、王道の娯楽怪獣映画ではある。が、
老舗の名店に行って、見た目は美味しそうだけど、淡白な海鮮丼を食べたような感じ。