黒蜥蜴(1968)のレビュー・感想・評価
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奇怪で妖艶なムードに酔う
監督・深作欣二×戯曲・三島由紀夫×主演・美輪明宏という、何だかスゴい面子。
江戸川乱歩原作の明智小五郎ミステリー。1968年の作品。
美輪明宏が名探偵を演じるのではなく…
美輪明宏演じる美しいものを狙う怪盗“黒蜥蜴”と明智小五郎の攻防。
ハッキリ言ってミステリーとしての見応えは弱いが、それでも本作がそれなりに楽しめる理由がある。
妖しさとほんのりエロティズムの奇怪なムード。
明智先生にはご免なさいだが、僕の好きな金田一耕助作品にもこういう退廃的な都会ミステリーがあり、何か惹かれるものを感じてしまうのだ。
三島由紀夫が美輪明宏の為に書き改めただけあって、全編美輪の土壇場!
妖艶な美貌、華麗なる女装、自分を追う明智への恋愛感情をも楽しみ、インパクト抜群。
尚、“黒蜥蜴”は女性という設定。念のため。
人間の欲望
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タイトルだけは以前から知っていて気になっていた。内容は明智小五郎シリーズだった。江戸川乱歩らしく見るからに人を隠して運びそうなソファが登場する。
黒蜥蜴は宝石なんか欲しがるバカだし、女になりたいおじさんというヘンテコな人物としか見ることができなかった。よゆうぶってる犯罪者は映画やドラマではよく見るが、実際は無理だよな~と思うのだが、そんな切なさがにじみ出ていた。人間を剥製にして飾って喜んでいるのだが、よくそこまでできたものだ。例えやろうと思っても一人目の途中で、やっぱり違うと思いそうなものであった。
しかし多分、センスがあれなだけで、本当に欲しいものは宝石や人間の剥製ではなく、スリルや充足感や愛なのだろう。
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