「お見事でした💐 でもまだ続く」黒い十人の女 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
お見事でした💐 でもまだ続く
ザ・女優の二人、岸惠子と山本富士子の火花散るセリフのやりとりと表情の応酬に痺れました。何度も見たい聞きたい場面がてんこ盛りの映画です。
和田夏十の脚本がまず最高に素晴らしい。そして市川崑監督のオープニング・クレジットと演出とカメラワークに心掴まれました。時間構成もカット割もかっこいー、面白い!山本富士子にあんな恰好やあんな表情させてあんなセリフを言わせるなんてすごい。それに応えてこなす山本富士子も凄い。どんな役者もイメージとかふさわしい役柄というのはあるだろうが、主役級の役者がこれだけ幅広い演技ができてそういう役を与えられる・受けるという昔の映画の世界ってすごいなあと思った。岸惠子は女優の役。まさに適役ですっごくかっこよかった!岸惠子が「悪魔の手毬唄」に出演したように、市川崑監督の横溝作品に出る山本富士子を見てみたかった。
1961年の映画なのにあまりにアクチュアルで予言的なことに感動しつつ総毛立った。女はみんな仕事をして経済的にも人間としても自立して好きな男でも本性が透けて見えることは織り込み済み、「ふたり並んで乞食しましょう」と肝が据わっている。男は「仕事」や「会社」がないと居場所を失い言い逃れや言い訳もできなくなる。振り返る必要も時間もなく場当たり的にやり過ごしてゆくことに慣れてるテレビ局の仕事。そして今、職種に限らず空間も時間も「仕事」に奪われ(或いは自ら捧げ)監視されることにも慣れてしまった世界に私たちは生きている。
最後の持って行き方、ゾクゾクした。ラストの予言、その予言は更なる予言を生み出すような。
おまけ
クレジットで「一三」?と思ったが、本人見て伊丹十三さん!とすぐわかった。若い時から素敵。手が痒いのはアトピーだろうか?そんなところにもこの映画の予言性を感じた。あとクレイジーキャッツの演奏とコントがすごく嬉しかった。みんなわっかーい!