「コングvsメカニコング」キングコングの逆襲 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
コングvsメカニコング
東宝特撮1967年の作品。
『キングコング対ゴジラ』に続く、“東宝版コング”第2弾。
ちなみにだけど、『キンゴジ』とは一切全く関連性はナシ。
いきなり登場のロボット・キングコング、“メカニコング”。
国際指名手配中の悪の科学者、ドクター・フーが造り出したもの。
某国の謎の美女、マダム・ピラニアの依頼で、北極の氷の下深くにある核物質“エレメントX”を採掘するのが目的。それがあれば世界を掌握出来るほどの核兵器が製造可能。
失敗などある訳ない。メカニコングはワシの自信作。
順調だった採掘だが、メカニコングが突然の機能停止。
エレメントXは強力な磁場を発しており、それにやられた。改善の余地あり。
エレメントX採掘は続行。放射能や磁場にやられない“生身”の力がいる。
ならば…。
元々メカニコングは、国連の科学者、カール・ネルソンと野村次郎が構想したもの。
二人は今、原潜エクスプロアー号で海底油田調査へ。
岩崩れで船体を損傷し、近くの島に立ち寄る。
伝説の巨獣、コングが棲息するというモンド島。
興味本位で上陸するネルソンと野村、看護婦のスーザン。
老島民が遠くから現れ、ネルソンと野村は詳しく話を聞こうと後を追う。スーザンはその場に。そこへ…
太古に絶滅した筈の恐竜が…!
悲鳴を上げるスーザン。
その悲鳴を聞きつけ、駆け付ける。
コング!
恐竜を退治。
スーザンに強い関心持つが、ネルソンと野村の元に返す。
コングの存在は瞬く間に世界中に知れ渡る。
マダム・ピラニアはコングを使ってエレメントXを採掘する事を提案。
早速島に赴き、強力な睡眠薬爆弾でコングを眠らせ、島から連れ出す。その際ドクター・フーは、老島民を無情にも殺害する…。
再び島を訪れたネルソンら。コングの姿は無く、老島民が息を引き取る直前からドクター・フーの仕業と確信する。
そんな3人を、ドクター・フーの部下が拉致。コングを従わせる為の手段と、もしもの時の為の人質。
催眠術でエレメントX掘り始めるコング。
ネルソンらも捕らわれの身。
このままドクター・フーの手中に落ちてしまうのか…?
コングをメカにするというアイデアは如何にも東宝らしい…と思いきや、アメリカ側からの提示。
それを除けば、本作は『キンゴジ』に比べ、オリジナルの『キング・コング』オマージュが濃い。
まずコングの身長が20m台になり、顔付きもよりオリジナルに近く。愛嬌も豊かになった。
モンド島に棲息する恐竜、オオウミヘビは完全『キング・コング』へのオマージュ。
特に、恐竜=ゴロザウルスとの闘いは、構図など再現。『キング・コング』を愛する円谷英二のこだわりとリスペクト。
ゴロザウルスは『怪獣総進撃』で再登場し、キングギドラ戦で心強い味方に。本作ではコングにやられてしまうが、獰猛でギョロッとした爬虫類感を出し、バラゴン共々実は密かに好きな怪獣。
コングとスーザンの“美女と野獣”の触れ合いも『キンゴジ』より描かれている。これがあってのコング。
人間の傲慢に振り回されるコングの姿もオリジナルそのもの。
何と言っても今回の見所の一つは、メカニコング。
地上最強のコングをベースにロボットにしただけあって、勿論パワーはコングを上回る。
採掘の為の爆弾や目眩ましのライトも装備。
また東宝にとっても、その後のメカゴジラやメカキングギドラの先駆け。最初のメカ化。
後年、再登場の案があったとか。ゴジラ生誕40年20作記念の時。
『ゴジラvsキングコング』→『ゴジラvsメカニコング』→『ゴジラvsメカゴジラ』と流れてしまったそうだが、ゴジラとメカニコングの闘い、ちょっと見てみたかったかも…?
主演3人は元より強烈インパクトを残すは、悪側。
自信家で冷徹。天才だが、マッド・サイエンティスト。
ドクター・フーを怪演/巧演の天本英世。東宝特撮でも様々な役を演じてきたが、やはり最大のハマり役。
マダム・ピラニアを演じるは、東宝版コングと2度目の共演となる浜美枝。妖艶な魅力と美貌は実質ヒロインのスーザンを脇に追いやる。敵か、味方か…?
エレメントXの影響は想像以上で、コングの催眠術が解ける。北極から逃走。
やがてコングは東京に上陸。
ドクター・フーを身限るマダム・ピラニア。ネルソンらを逃がせ、スーザンはコングを落ち着かせようとする。
メカニコングⅡも東京上陸。ドクター・フーはコングに差し向かわせる。
決戦の地、東京。勝つのは、本物のコングか、メカのコングか。
ドクター・フーの命令でメカニコングはスーザンを人質に取り、東京タワーに登る。コングも後を追って。
オリジナルがエンパイア・ステート・ビルなら、本作は東京タワー。相手は人質を取り、よじ登りながらの闘いはなかなかスリリング。
尚この東京タワー、本物と同じ鉄工が用いられたミニチュアで、重厚感満点。
コングvsメカニコングの傍ら、スーザン救出。
ドクター・フーとマダム・ピラニアの決裂により、コングとメカニコングの闘いにも決着が。
本物の“キング”の座に着いたのは…? 言うまでもない。
諸悪の根源も絶つ。
『キンゴジ』自体は面白かったが、キングコングにあまり魅力なかった。が、
本作はよりコングや作品もオリジナル風に。
東宝仕切り直しのキングコング。
本当の意味で、“キングコングの逆襲”であった。