「これぞ日本映画の金字塔」銀河鉄道999 かしまさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ日本映画の金字塔
永年映画を観てきた中で群を抜いてのベストオブベストがこの作品。
初めて見たのが中学生。一度観て心奪われ以後小遣いの続く限り何度も何度も映画館に取り憑かれた様に通いこんだあの頃。グッズ・関連本・LP・セル画等々買えるものは親の金をクスねてでも買い漁りました。テレビ版や「さよなら・・・」以降の作品にはまったく興味が沸かず、ひたすら当作だけが好きでたまらないのです。
一言で片付ければ全てが良かった。
「人は皆星の海を見ながら旅に出る。思い描いた希望を追い求めて・・・」から始まる城達也のナレーション、列車が漆黒の宇宙を剛音を響かせ走って行き、そして地球を背にした「銀河鉄道999」のタイトルバック。始まりの序曲以降全編を通してラストの終曲迄続いていく青木望のクラシカルで秀逸な楽曲。秀逸どころでは無い場面場面を強烈に脳に焼き付けてくる様な・・印象的な・・例えば鉄郎がメーテルに心を打ち明ける時の「愛の目覚め」、クレアが鉄郎をプロメシウムから救うべく砕け散っていく時の「銀河に散ったクレア・・・涙」、そして鉄郎とメーテルの別れのシーンでの「終曲・・別離」などどれも少し聴いただけでそのシーンが蘇り涙してしまう名曲。
声優人も良かった。
野沢雅子、池田昌子、肝付兼太、麻上洋子、井上真樹夫、田島令子、富山敬、小原乃梨子、納屋悟朗、来宮良子、麻生美代子他で皆間違いない一流処のプロばかり(近年主流の別分野からの抜擢を否定するわけではありません)。
ラストの別れのシーンは野沢、池田の二人だからこそあれだけの名シーンになったと断言出来ますね。
テーマは少年の心の変遷と成長、命は限りあるからこそ尊い、そして出会いと別れ・・
別れからメーテルを乗せた列車が空に向かって走って行くのを追いかけ鉄郎が絶叫・・・「今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る。今、万感な思いを込めて汽車が行く。ひとつの旅は終わり、また新しい旅立ちが始まる。さらばメーテル、さらば銀河鉄道999・・・・・さらば、少年の日」と城達也の最後のナレーション。そしてゴダイゴの「銀河鉄道999」へ。
進行構成に若干関わったといわれる監修の市川崑他多方面の一流処が関わり練り上げ作り出された傑作で、自分にとっては今観ても心遣らされる愛おしい作品です。