影を斬る
劇場公開日:1963年3月1日
解説
「天国と地獄」の小国英雄のオリジナル・シナリオを、「地獄の刺客」の池広一夫が監督した時代喜劇。撮影は「続・新悪名」の武田千吉郎。
1963年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年3月1日
ストーリー
奥州伊達藩六十二万石の居城、青葉城。井伊直人は剣術指南役だが、仕事はそっちのけで、将軍の娘の奥方に頭の上らぬ主君伊達忠宗を誘い出し、夜は城下の飲屋、昼は天守閣で昼寝というつとめぶり。ところが、この直人のところに押しかけ女房にやって来たのが、仙台小町と言われる家老の娘定。だが喜んだのも束の間、定は婚礼の晩に直人に試合を所望。忠宗夫妻以下、婚礼の客立合いの下に直人と定は向い合った。ところが、勝負は無残、直人は定にさんざんにやられてしまった。憤然とした直人は、翌日、用人の左内を連れて江戸へ修行に旅立つことになった。しかし、持前の気性は直らず、専ら色の修行ばかり、半年で帰国したが、またもや定にやられて忽ち江戸に逆もどり。ところが一夜、江戸留守居役のお供で料亭に遊んだ直人は、芸者君竜をみてびっくり仰天した。定とは全く瓜二つ。定の変装ではないかと、直人は早速国許に急行した。しかし、直人の道場では稽古着姿も勇ましい定が、ぶんぶんナギナタを振り廻していた。がっかりした直人は、またもや江戸へ逆戻り。ある日、君竜と二人で料理屋からの帰途、数人の浪人者に襲われた。藩の同僚に助けられたからよかったものの、直人の徹底した頼りなさに、すっかり愛想をつかした君竜は、直人の精進を祈って去った。呆然と考えこんだ直人は、突然柳生道場へ住み込むと左内に告げて左内のもとを去った。それから数年、青葉城では、直人と定の御前試合が行われていた。柳生流免許皆伝を得た直人は、圧倒的な強さで定を破った。一番喜んだのは城主忠宗だった。その夜初めて夫婦の誓いをかわした直人は、君竜が定であることを知った。すべては、直人の素行を改めさせようとした家老将監、定親娘、の仕組んだことだったのだ。一方、藩主忠宗の寝室でも奥方和子は、普段の自分の行状に深く反省していた。これからは何事も夫に仕えることを誓った。伊達藩はやっとこれで、正常な夫婦関係にもどったのであった。翌日、天守閣ではきのうのつかれのためか、忠宗公と直人の大いびきが、高らかにかなでられていた。