鬼龍院花子の生涯のレビュー・感想・評価
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五社監督の本気
自粛生活の連休中にYoutubeで町山智浩さんと春日太一さんの映画塾を聞いて、観たくなり、アマプラで観ました。
いままで、成人したころに何度か観たころはあります(エロ目的で)。
20-30歳台に観たときは夏目雅子の美しさしか頭に入りませんでしたが、今回、久々に観たところ、とにかく役者全員の凄さ、特に仲代達也さんの色っぽさ+可愛さ(男なのに)な演技、やはり夏目雅子の美しさ+演技の上手さ、岩下志麻さんの強さ+色っぽさ+狂気な演技そして仙道敦子の完璧な子役演技などなど、すべて役者の演技が最高です。
なぜ、公開当時はエロを全面に出したのだろう?
松恵(夏目雅子)の決め台詞は数回リピートしてしまいました。
傑作です。
役者、百花繚乱
原作は、鬼政~花子までの盛衰記を、松恵が語るというものらしい(Wikiより)。
原作未読。
映画は、五社監督が撮りたい場面をつなげたように見える。
それだけに、シーンごとの迫力は満点。
話を繋ぎ合わせると、あれ?矛盾…と思う部分もあるが、映像化されていない年月の中での心境の変化かな?とかってに想像する。
仲代氏が圧巻。
鬼政の強さ、弱さ、かわいらしさ、虚しさを余すことなく演じ切っている。
侠客になりたかったのに、なり切れなかった男。
非識字者なのか?生い立ち的には十分にあり得る。そのあたりをなんとなくごまかしているところが、またかわいい。
その分、熟考するというよりも、思い切りの良さ、思い込みでつっぱっして行ってしまうパワーがすごく、かつ人たらし。
一番信頼を寄せていた妻との別れがなんとも…。弱さを見せる。
一番大切にしていた娘からの仕打ち。人生の虚しさを感じる時。
岩下さんの冷・静・品 VS 夏木マリさんの熱・動・俗。
夏木さんとの対比で、岩下さんが際立つ。
ちょっとした表情ですべてを語る岩下さん。死に際の、鬼政へのたぎる想い。美しすぎる。
夏目さんの、要所・要所の表情。岩下さんとは違う美しさ。瞳の奥の悲しさ・寂しさ。
室田氏演じる相良:おっちゃんとのやりとりが温かい。
仙道さんの目力。ちょっと困ったような表情。怒りをおびた悲しい目。
丹波氏の御大さ。
その役者たちを際立たせる調度類。黒光りする家屋。何百年物の屋敷を借り切ってのロケと思っていたらセットだそうだ。光との、影とのコンビネーションに引き込まれる。
こんな世界に生きる人々を、これでもかというほど格好よく描いているのに、死に際はリアルで格好良くない。監督の哲学?
定評ある役者の、それまで見慣れた側面以外の魅力を最大限に引き出された映画。
一見の価値あり。
至福の映画体験を堪能しました
凄い作品です
これぞ映画を観たという、圧倒的な満足感を得ました
まず撮影が素晴らしいです
驚嘆する美しさです
これぞ映像美というものを堪能させて頂きました
レンズの味、光線の具合、光の反射のきらめき、空気感の出す奥行き、色彩の感覚、それらは肌感覚で室温まで感じるまでのものです
今ではリドリースコットの作品などの特徴として語られるような撮影の美しさですが、それより勝る程のものです
何より日本人の美意識に裏打ちされているものとして撮られているのです
そして本当に長年使い古されたとしか見えないセットと家具などの小道具類の美術の見事さ
古い箪笥の黒さ、傷の付き具合、埃の積もり具合
これほど見事なセットの仕上がりは他に観たことないものです
カメラの森田富士郎、美術の西岡善信とも大映京都撮影所の出身
そうそうたる名作の数々を担当されています
五社監督がこの二人を起用したのが、名優の配役より本作の成功のポイントかも知れません
そこにトランペットが主旋律を高らかに歌い上げる音楽の素晴らしさ
これこそ映画です!
音楽は菅野光亮
この人も音楽の巨匠で、作品の数々は名前は知らなくても聴いたことがない人はいない位と思います
仲代達也、岩下志麻の名演
夏目雅子の決め台詞!
彼女は本作に出演しなければこれほどの伝説の女優とはならなかったでしょう
もう何も言うことは有りません
岩下志麻の姐さん役にはシビレました
特に岩下志麻が演じるヤクザの正妻の歌が病気で死ぬシーンの名演は心に残りました
内股に彫られた刺青を手で隠し、そしてなぜます
ヤクザの女房となった半生の後悔と、鬼政の女房となった、一人の女としての幸せを見事に表現した演技でした
それが松恵を遠ざけていたことを詫びる次の台詞繋がり効果を更に劇的に上げています
鬼龍院花子の生涯
確かに題名通りの内容ですが、本当の主人公はこの岩下志麻が演じる歌という名の鬼政の正妻でした
夏目雅子の有名な決め台詞も、もとは彼女が演じる松恵が少女の頃に養母がその台詞を吐くのを目撃したという台詞なのです
松恵にはヤクザの家で育った負い目はあっても、それよりも養母のように鬼政の娘であることの誇りが圧倒的に上回っていたのです
花子を取り返しに殴り込む準備を調える鬼政に、般若が背中に大きく染め抜かれた白い半纏を養父の肩に掛ける松恵の姿は、養母の歌が蘇って侠客の夫に甲斐甲斐しくつくす姿そのものに見えるのです
つまり松恵は歌の娘として、本当に血の繋がったかのような母娘として、侠客の女房である母の姿を継承していたのだという物語だったのです
その決め台詞
舐めたらあかんぜよ!
その台詞はそれを見事に表現していました
もともと原作にも台本にも無かった台詞とのこと
五社監督の撮影現場での演出指導によるものと知りました
名監督の流石の演出です
もっともっと岩下志麻のヤクザの女房役を観たくなりました
なる程、極妻が人気シリーズになるわけです
知人に高知在住の女性がいますが、高知弁は本当にあのような言葉遣いなんですね
とはいえ普通の会話を交わしていると、恐さとかは無く、とてもチャーミングに聞こえるものです
でもやっぱり、一度きつく高知弁で叱られてみたいなあと思いますよねー
主役は花子じゃないのね
すごくよかった
仲代達也が主役のヤクザ映画と言ってもいいのではないだろうか。闘犬の小競り合いから何年も掛けて戦争に発展するのが丁寧に描かれていた。
夏木マリの裸を見てほったらかして、女中の娘に手をだすところが面白かった。
花子の彼氏が誰だっけ?という感じでモヤモヤした。伏線があったのだろうか。
夏目雅子は花子じゃなくて松恵
「なめたらいかんぜよ」が流行語になった映画。流石にこの台詞の時は凄いが、夏目雅子より光っているのは岩下志麻と仙道敦子の方。
とはいえクレジット通り主役は仲代達矢の鬼政‼ヤクザでも飼い犬でもなく侠客を貫き通す。
その映画をいつ見たのか、が大事な気もする
夏目雅子が好きなこともあり、最初に見た時はとんでもなく感動した記憶があります。その後、何度も見て、最近久しぶりに見たら、かなり印象が異なりました。
夏目雅子の少女時代を演じた子は良く、そこから大人の夏目雅子になる場面も、彼女が教員になり恋をして結婚するまでは相変わらず良かったです。でも、仲代達矢の演技が記憶と異なってました。演技が大袈裟というか小物というか、ちょっとショックでした。夫の実家に乗り込んで啖呵をきる夏目雅子、以前は凄くかっこいいと思ったシーンなのですが、あんまり演技がうまくないかも、と思いました。そんなかっこつけるほどのお父さん=仲代達矢だっけ、という疑問もありましたし。
当時の邦画の色合いが、今の自分に合わなくなってしまったのか、理由はよくわかりません。(2021.3.)
あの伝説の名せりふ
一度は観たかった名作をTVでたっぷり堪能。
今さら知る…《鬼龍院花子》は、亡き名女優、夏目雅子の役名じゃないのね(汗)
土佐の鬼政こと鬼龍院政五郎。大正〜昭和初期実在の侠客がモデル。夏目雅子演じる主人公は、子供がいない鬼政にもらわれた養女・松恵だ。
幼い頃から松恵は、酷薄な鬼政の下で虐げられる。実の娘・花子の誕生後は、さらに辛い立場に。
それにしても。強烈に破天荒な鬼政=仲代達矢はじめ、主要キャストの激しさたるや!イメージをいとわず、この壮絶な世界を演じきれる役者が今、何人いるだろう。
もちろん、松恵=夏目雅子も、ただの薄幸の美女ではない。運命と闘い、堅気の男を愛する。それでいて、大嫌いな鬼龍院家を断固支え、盛衰を見届ける。
何者にも決して屈せず、信じた道を貫く。一見相容れない義理の父娘が実は、同じ誇り高き侠客魂の持ち主なのだ。鬼政が、この養女こそ実の娘より《鬼龍院花子》の名にふさわしいと気づき、松恵が憎んだ養父への敬意を口にする時、滅びの刻が来る。
最近、邦画が好調らしい。今風の洗練されたお味もいいけど、昔ながらの濃ゆ〜い味つけだって負けてない。三十年前でも「なめたらいかんぜよ!」…失礼しました(*^.^*)
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