江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

劇場公開日:1969年10月19日

解説

江戸川乱歩原作の「パノラマ島奇談」他数篇の作品を「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」の石井輝男と掛札昌裕が脚色し、石井が監督した猟奇もの。撮影は、「必殺 博奕打ち」の赤塚滋が担当した。

1969年製作/70分/R18+/日本
原題または英題:Horror of Malformed Men
配給:東映
劇場公開日:1969年10月19日

あらすじ

医学生の人見広介は、精神病院に監禁され、聞き覚えのある子守歌にひかれて、脱走。歌の主は、初代という少女だった。曲馬団の団員の初代は孤児で、広介もまた故郷を知らなかった。だがそのメロディにつながる風景が、二人のイメージに合致した。その翌日、初代は殺害される。気づくと広介の手はナイフを握っていた。犯人として追われる広介は謎を解くべく北陸に向かった。車中で見た新聞に、広介と瓜二つの菰田源三郎なる男が病没したとの記事を見て、その町に降りた。源三郎の父・丈五郎は、生まれながら極度の背曲りで、人目を嫌い、執事の蛭川に後を託すと、妻のときを連れて無人島に渡り、島を人工改造しているという。広介は、源三郎になりすまし、墓地で生き返えり、菰田家に入りこんだ。源三郎の妻・千代子をはじめ、遠縁の娘・静子、執事の蛭川らは、本物の源三郎と信じた。屋敷では不可解な出来事が続く。間もなく千代子が変死する。何か秘密があると察した広介は静子、蛭川、下男の新吉を連れ、島へ渡った。一行は、丈五郎に島内を案内される。そこでは摩訶不思議な世界が拡がっていた。一人離れた広介は半壊した土蔵で初代そっくりの少女・秀子と出会う。秀子は、猛という醜悪な男と、人工的な結合双生児にされていた。丈五郎は世間への復讐のために皆をそのうち奇形人間に改造するつもりで、そのために、源三郎の弟・広介を東京の医大に通わせてあると語った。広介は、自分が、丈五郎の息子で、源三郎と兄弟だったと知った。丈五郎は拳銃を手に協力を求めた。広介は自分の正体を明かす。広介は秀子と猛の分離手術を条件に、丈五郎の要望を呑む。手術は成功した。広介は、いつか秀子と恋におち、結ばれた。それを見た丈五郎は二人を洞窟へ連れて行く。そこには秀子の母のときがいた。丈五郎は愛していたときが、従兄弟の林田と不義を犯していることに気づき、二人を無人島に監禁する。既に妊娠していたときはそこで双子を産む。子供は林田の子供であった。丈五郎に子供を取り上げられたときは会いたさ一心で、死んだ林田の肉を啄む蟹をむさぼる。丈五郎は、自分以上に極度に背曲りな男にときを犯させ、初代と秀子を生ませたのだった。近親相姦の罪に気づき、蒼白となった広介に、丈五郎は、なおも協力を迫り、応じないと見るや、一挙に全員を岩場に閉じ込めようとした。蛭川と静子は愛人関係にあり、丈五郎は蛭川に不審を抱いていたのだった。その時、下男・新吉に化けていた私立探偵・明智小五郎が、一同の前に現われ、蛭川の悪事を暴いた。蛭川は島に連れてくるため女たちを事務員募集を偽り拉致し、金に困っていた精神病院の医院長を買収しそこに一時監禁し、そこで自分の異常性欲を満たしていた。さらに蛭川は菰田家財産を奪おうと静子と結託し殺人を繰り返していたのであった。激怒した丈五郎に恐怖し、逃げようとした蛭川とその静子は足を滑らし滑落する。小五郎に追いつめられた丈五郎はそれ以上近づくと島を爆発するぞと脅す。そこにときが現われ丈五郎を庇う。丈五郎はときに詫びながら舌を噛み切った。そのすきに、広介と秀子は、“兄妹と判っても離れられない”とメモを残すと、花火の筒から、火花と共に、空中に四散してしまった。「おかーさーん」と叫びながら…。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0 映画は時代を映す

2025年7月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

驚く

ドキドキ

「さよなら丸の内」にて観賞。
子どもの頃、江戸川乱歩の少年探偵団にハマって、小説好きになりました。
映画や本での予備知識なしでの観賞で、
アダルトな少年探偵団かな?という想像をしてました。
コンプセクトは多分合ってました。
令和での放送禁止用語が役者さんたちが普通にセリフとして使ってるし、
人間の尊厳とか、男女差別とか、なんでもアリな世界で。
気にしない、あえてそのまま使うことに
映画としての深味がある、そういう印象です。
いろいろツッコミたいところもありますが、江戸川乱歩を純粋に満喫しました。

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のんさば

4.0 怪作

2025年7月11日
iPhoneアプリから投稿
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hyvaayota26

4.0 本当にステキなカルト映画

2022年3月12日
iPhoneアプリから投稿

脚本の異常性を最後までパワーで押し切るバカ映画。どれだけおかしな事態に巻き込まれても意外と冷静な主人公の精神的タフさに思わず笑ってしまう。しかし話が進むにつれさすがの彼も狂気の世界に引き寄せられていき、いよいよ全面的破綻かと観念したところで突如現れる探偵・明智小五郎。彼は語り手としての地位を主人公から奪い取り、あっちこっちに散逸した事件の破片を推理のパズルフレームに強引に嵌め込んでいく。孤島で奇形人間を量産する主人公の父親や意味不明な倒錯プレイに執心する屋敷の執事も相当な異常者だが、それらを断罪する明智小五郎も同程度の異常者なので事の真相が暴かれたところで何のカタルシスもない。その空転ぶりが面白くて面白くて腹が捩れた。最後はダメの一押しと言わんばかりに主人公とその想い人(主人公の実妹)が花火と一緒に夜空に打ち上げられ、「お母さーん!!」と叫びながら爆発四散する。マジで何なんだよこの映画。カルト映画が見たい!と思ってこれを引き当てることができた僥倖にただただ感謝するばかり。

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因果

4.0 ラストは映画史上に残る「奇跡」の超★演出(真剣)

2020年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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じゃい