吸血髑髏船のレビュー・感想・評価
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漂流してしまった吸血髑髏船
『吸血鬼ゴケミドロ』に続く松竹特撮怪奇映画。1968年の作品。
題材は邦画では珍しい“幽霊船”。
太平洋を航海中の貨物船“龍王丸”。積み荷の金塊を狙った5人の悪漢に襲撃される。乗組員は皆殺し。新婚旅行中だった船医の西里と妻・依子。依子は夫の目の前で凌辱された挙げ句、夫共々惨殺され、亡骸は海中へ。無人となった龍王丸は洋上を漂う…。
3年後、教会で助手をしている依子の双子の妹・冴子は、恋人と洋上デート。ダイビング中、海中で鎖に繋がれた骸骨集団を目撃。そして洋上には龍王丸の姿が…。
後日、龍王丸の中に入り、航海日誌に残されていた事件当時の記録。姉の悲劇的な最期…。
その船内で姉の亡霊を目撃して以来、冴子は何かに取り憑かれたような行動を…。
やがて姉を殺した犯人たちが次々と不可解な死を遂げる。
亡き姉の怨念が妹に憑依し、復讐を果たそうとしているのか…?
幽霊船と『四谷怪談』のような哀しき女の情念譚。
敢えてのモノクロ作品で、不気味な船内セット、造り物のコウモリ、海中の骸骨集団…怪奇ムードは充分。
犯人たちの前に突如現れる哀女の亡霊は恐ろしくも美しい。
冴子と依子一人二役の松岡きっこの妖艶な魅力が映える。と言うか、ほぼ彼女の土壇場。
ラスト、思わぬ形で再登場する西里=西村晃もインパクトあり。
ムードはいいのだが、話がちとブレブレ。諸事情で元の脚本から大幅に改変されたらしいが…。(脚本家曰く、出来上がった作品は悪夢だとか)
怪奇ムードと復讐物語で進むのかと思いきや、
ヒロインのメロドラマ、
驚き!…の牧師の“正体”、
愚かな犯人たちの末路、
さらに、全てこの世のものとは思えない非科学超常現象かと思ったら、
龍王丸は幽霊船ではなくあれ以来海を漂流してただけで、その中で実は生きていた西里が不気味な姿で生き延び、妻に我が血を輸血し、復讐の機会を狙っていたというトンデモオチ!
ちょっと奇を狙い過ぎた感も…。
何か所々印象的にも作品的にもちぐはぐ。
幽霊船と復讐の怪奇一本にして欲しかった。
漂流してしまったのは幽霊船ではなく、寧ろ作品の方かもしれない…。
メロドラマ+恐怖映画?
婚約者望月(入川)とともにボートに乗りダイビングするとドクロの集団に遭遇。翌日その場所には龍王丸があり、乗り込んで船長の日誌を読んでしまう。冴子は姿を消し、金塊を得て成功した奴らを呪い殺す・・・そして残りは2人となったところで、世話になっている牧師(岡田)にやめろと言われる。
松岡きっこの一瞬のヌードもあったり、サスペンスチックに物語は進むのだ。しかし、どれもこれも演出が最悪。悪人たちが麻雀してたり、海外逃亡する相談したりするところは見どころだと思う。
首をしめられても結局死ななかった松岡きっこ。二役で大変だとは思うが、彼女は吸血鬼と化していたのか?さっぱりわからん。それより、双子の姉の姿が三年経っても生きた人間みたいだったことに驚き。なんと旦那(ドクターと言われてたから医者なんだろうけど)の西村晃が血を与え続けていたというばかばかしさ。
最後は婚約者を助け、自ら船とともに沈んでいった冴子。ううむ、面白くない・・・
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