「ガンダムのひとつのピリオドであり新たなNTサーガへの継承」機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ネオ アンダーソンさんの映画レビュー(感想・評価)
ガンダムのひとつのピリオドであり新たなNTサーガへの継承
4Dで鑑賞
今では絶大な人気を誇るガンダム、その始まりでもある宇宙世紀という広大な歴史の一節にピリオドを打ち、続く作品の始まり伴った作品がこの「逆襲のシャア」。
まずこの映画は富野監督作品で多く用いられている難しく深い言い回し、通称「富野節」が全開であり全編通して使われている為、人を選ぶ作品ではあるが、決してただ難しいだけで終わってるのでなく、腐敗した今の世の中に訴えかけるメッセージも内包されており今のコロナ禍で政治家達の利己的な1面を見てきた私たちに来るモノがある。
個人的に最初の特権で割り込むクェスの父のシーンや、福利厚生の為にシャアにアクシズ、いや、地球を売った連邦は正に権力者による腐敗を徹底的に描いている。
ストーリーはそれとは反して表面上は単純明快だか、内面は実に奥深い。
シャアが連邦に匙を投げ、5tルナや、アクシズ
を地球に落とすのをアムロが阻止しようと奮闘するという内容だが、そこに上で上げた大人の腐敗、クェスやハサウェイの思春期だからこその「身勝手な感情」、ラストシーンの「理解」、そして1stから続いたアムロとシャアの決着、これらの要素が見事にまとまっており、とても濃密である。
作画はまさにオーパーツ作画であり、作画崩壊は多少あるが、それすら1コマ1コマから全力で楽しませるという制作陣のクリエイター魂がバシバシ感じられ、全編クライマックスと言われても過言ではなかった。
よくあるプラモ販促のために一瞬だけ出る「販促用一発屋MS」もほとんどなく、全てのMSが活躍していてもうファンとしては「久々に純粋なガンダムを見れたな…」と感無量。
いつもはやられ屋の量産MSでさえ感動を呼ぶことになるなんて見る前は考えられなかった。
ラストのアクシズショックのシーンでギラ・ドーガのパイロットの「やってみる価値はありまっせ!」で胸熱になり、離れていくギラ・ドーガを敵であるはずのジェガンが助けようと掴んだシーンでもう涙が…。これだよ…これが見たかった…。
総評としては、今なお衰えない、むしろ年代別に違った楽しみ方があり、現代に通じるメッセージと制作陣の魂のこもった作品だった。
今だと2600円とちょっと高いが、もう1回見てみたい。
追記 4Dとしては歴代MAXレベルで揺れるため、湿布を予め貼っとくとダメージ少ないかも(主は翌日脇を痛めたから注意。しかし最高の体験だったから良き。)