鬼畜のレビュー・感想・評価
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東京タワーを見上げた瞬間、ライトが点灯するあのシーンの強烈な印象はあなたの心に一生刻みつけられるはずです
昔、観てトラウマになった映画です
だから恐ろしくてとてもまた観る勇気を持てなかった作品です
それほどに恐ろしく、心を揺さぶられるのです
是枝裕和監督の万引き家族を観て、本作を見直したくなりました
長い長い期間をおいていたのに、その怖さは全く変わりません
筋書きも結末も全て知っていても、むしろそれだから、これからどうなるのか知っているからこそ却って余計に恐ろしいのです
三人の小さい子供達が冒頭にあどけない姿を見せた途端に、もう胸が苦しく逃げ出したい位になりました
東京タワーを見上げた瞬間、ライトが点灯するあのシーンの強烈な印象はあなたの心に一生刻みつけられるはずです
山手線や新幹線で浜松町を通りかかった時、あなたは主人公のように東京タワーを目で探してしまうようになるでしょう
そして本作のあのシーンを思い出だすのです
本作を観たその日からいつまでも
あなたのトラウマになるのです
電車の中で東京タワーを観ていたとき、もし東京タワーが点灯したら?
幸いにその経験はありません
もしそんな恐ろしいことに出くわしたなら、心臓が止まってしまうほど動揺してしまうに違いありません
フラッシュバックしてしばらく、何も考えられなくなるはずです
それ程の映画です
名作中の名作です
しかしそんな名作なのに、観るには勇気が要ります
次にまた観ようという気になれるのは果たしていつになるか分かりません
そういう映画です
鬼畜とは誰のことか?
緒形拳の演じる主人公も、岩下志麻の演じるその妻も、小川真由美の演じる不倫相手
もちろん、この三人ともそうでしょう
しかし妻も不倫相手も鬼畜に追いやったのは主人公なのです
子供に泣いて詫びても彼が本当の鬼畜なのです
長男は刑事達の言うように、それでも彼を父としてかばおうとして黙秘していたのでしょうか?
父と対面してもなお知らない人だと言い張ったのでしょうか?
彼はもはや、父を父として認めていなかったのです
だから住所や名前を言えば、パトカーで家に帰されたようにまた父に引き取られることをおそれたのです
だから逮捕されて罪人として父が自分の前に現れたときに、彼は、父をもう父ではない知らない人だと拒否したのです
万引き家族の原点は本作にあるのかも知れません
父を想う一途な子供
児童虐待問題はこの時代から注目すべきだった
妾(小川)との間にできた子だというが、別の男との間に出来た子かもしれなかった。大手印刷会社の台頭と自宅の火事によって経営も火の車。妾の手当てだって店の金を流用したにすぎない。
最初に末っ子が栄養失調で死んでしまう。長女の美子は東京タワーに連れて行き置き去りにしてしまった。3番目に6歳になる長男を青酸カリで殺そうとするが上手くいかず、旅行に連れていく・・・また北陸だ。『ゼロの焦点』と同じく断崖絶壁。その前に訪れたのも東尋坊だった。
夫婦に子供がいなかったのだから、跡取りにする道だって残されていたのに、当座のことばかり考えていた妻(岩下)。最近では『誰も知らない』で子供のほったらかしが問題となったが、自分のことしか考えない親が多すぎるのだろう。緒方拳は「父チャン」と呼ばれ、愛情は若干あったのに、妻との生活を選んでしまった。誰が一番の鬼畜だったのかと考えてみても、大人はみんな鬼畜だとしか答えられないような内容だ。
印刷関係にいたこともあり、専門用語がポンポン飛び出したり、蟹江敬三が機械を扱う上手さには驚いた。しかし石版印刷なんて知らなかった・・・かなりのキーワードだ。子供の演技力の無さには残念だ。
岩下志麻が怖すぎる
原作 松本清張・監督 野村芳太郎・主演 緒方拳。
平成の終わりにおもいっきり昭和な映画を見たくなり鑑賞。
いやぁこれはキツかった。子供が虐げられる話はイカン。だからこそ「鬼畜」なんだろうけど。他にやりようがあっただろうと思う展開が続く。原作は昭和32年の事件を元にしたとあり、そのくらい昔ならありえるかと思ったが、昭和50年代ではなぁ…
緒方拳の演じる竹下の気弱さと鬼嫁岩下志麻の夫婦は現代でも十分にありえるリアリティ。映画の見所はこの演技だな。
難点は音楽が前時代的すぎた。一言でいえば大げさ。淡々としたBGMの方が効果的ではないかと思った。公開時には丁度良かったのかもしれないが。
色々と昭和を感じることはできたので目的は達することはできました。
子どもは見ちゃだめ
とんでもなく恐くて凄い映画だった。人間の業そのものを描いてるというか、重くのし掛かるような。
不協和音の音楽が耳に残り、緒形拳の殺意と戸惑いに満ち満ちた表情は一度見たら忘れられない。撮影当初は渥美清が役を張る予定だったというが、緒形拳の眼光は気弱な男が鬼畜に変貌していく様を完璧に表現していた。
本作は小道具と情景が印象深い。蓋の壊れたオルゴールや畳部屋に通じる階段。東京タワー、展望台、新幹線、断崖の原っぱ、禍々しい夕日など。どれも変鉄のない日常的なものだからこそより恐ろしく記憶に残る。これは川又昂の功績とも言える。小さいときに見たらきっとトラウマになって悪夢に魘されたろうな。もっと早く見たかったけど。
子どもには絶対に見せたくない映画だが、子を持ち育てる親ならば、一度は見てほしい映画。
鬼畜にも心はあるのか
贖罪
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