劇場公開日 1978年10月7日

「児童虐待問題はこの時代から注目すべきだった」鬼畜 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0児童虐待問題はこの時代から注目すべきだった

2019年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

妾(小川)との間にできた子だというが、別の男との間に出来た子かもしれなかった。大手印刷会社の台頭と自宅の火事によって経営も火の車。妾の手当てだって店の金を流用したにすぎない。

 最初に末っ子が栄養失調で死んでしまう。長女の美子は東京タワーに連れて行き置き去りにしてしまった。3番目に6歳になる長男を青酸カリで殺そうとするが上手くいかず、旅行に連れていく・・・また北陸だ。『ゼロの焦点』と同じく断崖絶壁。その前に訪れたのも東尋坊だった。

 夫婦に子供がいなかったのだから、跡取りにする道だって残されていたのに、当座のことばかり考えていた妻(岩下)。最近では『誰も知らない』で子供のほったらかしが問題となったが、自分のことしか考えない親が多すぎるのだろう。緒方拳は「父チャン」と呼ばれ、愛情は若干あったのに、妻との生活を選んでしまった。誰が一番の鬼畜だったのかと考えてみても、大人はみんな鬼畜だとしか答えられないような内容だ。

 印刷関係にいたこともあり、専門用語がポンポン飛び出したり、蟹江敬三が機械を扱う上手さには驚いた。しかし石版印刷なんて知らなかった・・・かなりのキーワードだ。子供の演技力の無さには残念だ。

kossy