喜劇 とんかつ一代のレビュー・感想・評価
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とんかつ/クロレラ/フランス料理
Amazon Prime Video(東宝名画座)で鑑賞。
とんかつ屋の森繁久彌は、フランス料理人時代の師匠、加東大介と犬猿の仲。師匠の息子のフランキー堺は、森繁の妻が自身の姉であることをダシにとんかつ屋をちょくちょく訪れる。
堺は森繁の友人・山茶花究の娘と交際しているが、勤めている会社の社長・益田喜頓の娘との縁談を持ち込まれたことで、森繁、加東、山茶花のすれ違い喧嘩コントが勃発してしまう。
一方、加東の娘・池内淳子の夫の三木のり平は未来の食料としてクロレラの研究に没頭しており、夫婦で毎食クロレラを食べている。ところが三木はこっそりとんかつを食べようと…
このような感じで、人間関係がとにかく入り乱れていて、ストーリーを盛り上げていく。登場人物の絡みの組み合わせのバリエーションが豊かで、様々な笑いの化学反応を楽しめた。
料理が主題のひとつなのに、食事のシーンが殆ど無いことに気づいて驚いた。とんかつやフランス料理のアップは無く、ゲテモノのクロレラ料理が映る方が多いのもまた面白かった。
珍妙な歌詞に泣く。頑張れ日本。
名喜劇・名脇役・名監督
森繁久彌、フランキー堺による「喜劇~」シリーズの一編を川島雄三が監督した一本。
この作品では名脇役・加東大介の頑固親父ぶりが光る。
上野・精養軒がモデルであることが明らかなホテルのレストランのコック長である加東と、その息子であるフランキー堺の親子関係にはどこか最後までよそよそしい空気が流れている。むしろ義理の叔父である森繁との掛け合いのほうには、憎まれ口にすら温かみが感じられるのは一作目の「駅前旅館」と同じ。
シリーズを引っ張る森繁・フランキー堺の強力タッグを向こうに回して、加東、山茶花究らの脇役陣の存在感が負けていない。
狭いとんかつ屋をカメラが自在に動く。下町の得意な川島監督さすがの演出。
これぞ川島雄三喜劇の真骨頂
♪とんかつを〜、食べれなくなったら、死んでしまいたい〜♪
これぞ川島雄三喜劇の真骨頂。ハチャメチャに面白い。
フランキー境の結婚話を縦軸にして、頑固一徹な父親加東大介と、師弟関係で義理の兄の森繁久弥との確執。
これに絡むは怪しげなクロレラ博士(笑)三木のり平夫婦。更に横山道代やフランス人役の岡田真澄等が縦横無尽に作品の中で泳ぎ回る。
ドタバタ喜劇で在りながらも、1人々々にしっかりとした性格付けがなされ、人物の画面上に映り込むタイミング等が計算され尽くしている為に、全く退屈などしない。
いや、寧ろ画面から目が離せない。
単なる風俗喜劇と思う無かれ。これこそは用意周到に計算し尽くされた人情喜劇の傑作です。
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