喜劇 とんかつ一代

劇場公開日:

解説

八住利雄の原作を「寛美の我こそは一等社員」の柳沢類寿が脚色、「しとやかな獣」の川島雄三が監督した喜劇。撮影は「憂愁平野」の岡崎宏三。

1963年製作/94分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年4月10日

ストーリー

上野本牧町の一角に日本一の味を売るとんかつ屋、とん久の観爺久作は青竜軒のフランス料理で鍛え上げた腕前である。恋女房の柿江は青竜軒のコック長伝次の妹で、意地ッ張りだが人情もろい名人気質の久作に惚れて嫁いだ。フランス料理を捨てた久作、柿江夫婦を道楽だと言って絶縁した伝次は、実は彼の息子に後を継がせたいという気持を知った久作が、すすんでとんかつ屋になったのだと聞いて和解した。伝次の悩みの種は不肖の子伸一、なまじ大学を出たばっかりに新しいムードレストランの経営を夢みて親の言いなりにはならない。女房おくめの連れてきた娘、琴江は気だてのよい美人。伝次は内心伸一の嫁にと思うほどだが、彼女はクロレラという未来食を研究している貧乏学者、復二のもとへ嫁いでしまった。とん久に出入りする豚殺しの名人、仙太郎には目の中に入れても痛くないという娘のとり子がいる。上野のれん会に勤める現代娘のとり子と伸一は恋仲である。その伸一が家出までして自分の主張を通そうとしたのでついに伝次も折れ、引退して総てを伸一にまかせ協力することになった。大喜びの伸一は青竜軒の常務として仕事に励み、おまけにとり子とも結婚することが出来た。琴江夫婦は三度の食事もクロレラ食にして研究した甲斐あって、復二の研究も認められアメリカへ留学することになった。久作はあいも変らぬとんかつ屋だが、今後も益々日本一のとんかつを揚げていくことだろう。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5大衆ゴクラク東宝喜劇

2024年3月5日
iPhoneアプリから投稿

カラッとあがったトンカツに
喜怒哀楽のソースと、厳しい世間のカラシをそえて
ひたすら食べる、お腹いっぱい、大満足
理屈はいらない、娯楽映画は大衆食堂だ

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青樹礼門

4.0珍妙な歌詞に泣く。頑張れ日本。

2020年12月18日
iPhoneアプリから投稿

超緻密演出で全員儲け役の傑作群像劇。

1963五輪前夜の新品の昭和で食欲性欲旺盛な日本の青春の輝きを鬼才 #川島雄三 が存分に撮った。

腹一杯とんかつを喰らい大らかに接吻する若者達。

某シーン、フランキー堺の命懸けの軽妙。

珍妙な歌詞に泣く。頑張れ日本。

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きねまっきい

3.0名喜劇・名脇役・名監督

2015年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

森繁久彌、フランキー堺による「喜劇~」シリーズの一編を川島雄三が監督した一本。
この作品では名脇役・加東大介の頑固親父ぶりが光る。
上野・精養軒がモデルであることが明らかなホテルのレストランのコック長である加東と、その息子であるフランキー堺の親子関係にはどこか最後までよそよそしい空気が流れている。むしろ義理の叔父である森繁との掛け合いのほうには、憎まれ口にすら温かみが感じられるのは一作目の「駅前旅館」と同じ。
シリーズを引っ張る森繁・フランキー堺の強力タッグを向こうに回して、加東、山茶花究らの脇役陣の存在感が負けていない。
狭いとんかつ屋をカメラが自在に動く。下町の得意な川島監督さすがの演出。

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佐分 利信

4.0これぞ川島雄三喜劇の真骨頂

2015年4月2日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

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