喜劇 ここから始まる物語
劇場公開日:1973年5月2日
解説
大作家を夢みる男が、ふと知り合った霊感少年を利用して新興宗教を作ったことから捲き起る騒動を軽妙なタッチで描く喜劇。脚本は「喜劇 泥棒大家族 天下を取る」の田波靖男、監督は「旅の重さ」の斎藤耕一、撮影も同作の坂本典隆がそれぞれ担当。
1973年製作/89分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1973年5月2日
ストーリー
大作家を夢みて下手な小説を書きためているウダツの上らない植田順平には、山師の熊本泰造と助手の直子がついていて、あやしげな生活を送っている。今日も、植田はとある公会堂で有名小説家と称してトクトクと自分の小説を話しはじめた。その話とは--。仕事と恋に絶望した週刊誌の記者・植島順一が帰郷する車中で知り合った少年・次郎の強引なすすめで途中下車したところ、その直後、列車が転覆して、植島は命びろいした。次郎に不思議な予知能力があることを知った植島は、次郎と一緒に帰り、再び仕事を始めた。それからというもの次郎の霊感のおかげで、特ダネは掴むし、かねてから好意を寄せていた同じ社の直美とも結婚できるなど、とんとん拍子に出世していき、ついにはかつての編集長・熊田と地位が逆転になった。そんなある日、植島は編集のことで難題が持ち上がり、次郎に相談しようと帰宅したが、次郎は「もうあなたには僕が必要でなくなった」という置手紙を残して失踪していた。だが、直美から子供ができたことを聞いた植島は、生まれてくる子供が次郎の生まれ変りだと信じ込むのだった--。そんな話が終ってみると、退屈した聴衆は一人もいなくなっていた。数ヵ月後。相棒の熊本にも見放された植田は、ある日靴みがきのサトシ少年に霊感のあることを発見した。早速、植田はサトシを、競馬ののみ屋をしている熊本に紹介したところ、サトシの予想は恐ろしいほどに的中する。熊本は、本来の山っ気を持ち出し、新興宗教を始めた。予言者はサトシ、植田は神主、直子は巫子、そして熊本が黒幕の理事長というわけである。教団は大繁盛したが繁盛すればする程、サトシは自由を失い、ついに熊本は、サトシをマンションの一室に閉じ込めてしまった。そんなサトシに同情した植田は、夜ひそかにサトシを連れ出し、教団を脱した。そして、植田は新らしい人生を求めて、再出発するのだった。