「平成怪獣映画といえばこれ。」ガメラ2 レギオン襲来 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
平成怪獣映画といえばこれ。
怪獣映画はほとんど見ない私だが、それでも印象に残っている作品といえばこのガメラ2だ。
なぜ印象に残ってるかといえば、まずは"当時にしては"リアルな特撮にあるだろう。作り込まれたミニチュアや巨大な爆発、噴煙のダイナミズムは当然として。ソルジャーレギオンを初めとした人間サイズのクリーチャーの造形もとにかくリアルに感じた。
そして次に印象的なのはやはりレギオンの存在だ。マザーレギオンや草体のデザインは斬新で、これまでの怪獣デザインとさ一線を画する異質さを放っていた。白を基調とした敵怪獣としては珍しい配色も斬新だった。
そして何といっても恐ろしかったのはソルジャーレギオンだろう。蜘蛛や働き蟻を掛け合わせたような昆虫めいたデザインでありながら、集団で行動する不気味な異形。日本産怪獣としては非常に前衛的で、後のハリウッド大作「スターシップトゥルーパーズ」のバグにも影響を与えたのではないだろうか。
絶妙なのはそのサイズ感。人間よりやや大きい軽自動車程度の大きさは、人間を襲った際のホラー演出もあいまって恐ろしかったものだ。
…と、ここまでは幼少期に見た記憶を頼りにした感想だ。では40代手前になった今、この映画を見てどう感じたかというとこうだ。
「今の目で見ると一本の映画として鑑賞に堪えるとは言い難い。」
これが本音だ。
やはり御都合主義なストーリー展開も、説明的なセリフも大人が鑑賞する映画としてのクオリティではない。特に一度死んだガメラを子供達の願いで復活させるシーンなどは見ていてかなりしんどいものがあった。
もちろんこれらの感動演出が特撮的王道展開なのは分かる。怪獣映画とはこういうものなのだろう。が、ガメラ2はここに至るまで演出がハード路線だっただけに、それまでのリアル演出を台無しにしてしまっているように感じた。
怪獣特撮として評価するか、映画として評価するかで賛否割れるだろう。少なくとも一本の映画として見れば限りなく否だ。
しかし、潤沢な予算で撮ったハイクオリティな特撮シーンを見るだけでも満足できるというのもまた本音である。怪獣映画として割り切って見るのが吉なのかもしれない。