「ガメラが万博にやって来た!」ガメラ対大魔獣ジャイガー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ガメラが万博にやって来た!
シリーズ6作目。1970年の作品。
1970年の日本と言えば、大阪万博。
怪獣映画はその時の世相も取り入れる事が多く、早速。
万博に沸く大阪。
大阪港近くの船舶工場の息子、弘少年も万博を楽しみにしている。姉の恋人でもある広報部員に連れられ、様々なパビリオンにワクワク!
実際のパビリオンの映像も挿入され、ガメラ映画であると同時に万博タイアップ映画。
展示物の目玉の一つに、南太平洋のウェスター島にある“悪魔の笛”と呼ばれる石像。
現地人の反対の声を押し切り、引き抜き作業をしている所へ、突然ガメラが現れる。その作業を妨害するガメラ。
一瞬の隙を付いて運び出す事に成功者。船で日本へ。
やがて、石像が抜かれた地中から、怪獣が現れる。
古代魔獣、ジャイガー!
実在する動物(や刃物)をベースにしてきたガメラ怪獣だが、ベース無しの怪獣。
いつも眠そうな顔が何だか可愛らしいが、その顔に騙されちゃいけない。強い!
ウェスター島でのガメラとの第1回戦。最初はガメラ優勢だったが、唾液固型ミサイルをガメラの両手足に打ち込み、ひっくり返され、身動き取れなくなり初戦敗北。
ジャイガーは“悪魔の笛”を追うかのように、日本・大阪へ。
一方、ガメラは何とか唾液固型ミサイルを抜き、急いで日本へ。
にしても、何と器用なガメラ!
大阪に上陸したジャイガーは大暴れ。
自衛隊兵器は一切通用せず、角から放たれるマグネチューム光線で街や人も一瞬で消し去る。
ガメラ到着。2回戦。
唾液固型ミサイルをかわすも、今度は尾から出た針に刺されてしまう。
すると、突然倒れこみ、ガメラの体が白く半透明に。
刺された時体内にジャイガーの子供が産み付けられ、血を吸われていたのだ。
2度もガメラに勝利するジャイガー。
危うし万博!
危うしガメラ!
本作の特筆すべき展開は勿論、ガメラの体内へ。
さながら怪獣版『ミクロの決死圏』。
生物の体内と言うより洞窟のようだが、手法とアイデア凝らした怪獣映画初の怪獣の体内。
後の平成vsゴジラシリーズの川北紘一特技監督も体内を舞台にした怪獣映画を作りたかったという。
体内の子ジャイガーを倒し、ガメラは復活。
ジャイガーの弱点も突き止め(何故石像が中が空洞の“笛”なのか)、最終決戦!
それもこれも子供たちの健気な頑張りや汚れなき発想。
何だかそれが、未来への希望の万博と繋がりはしないだろうか。
宇宙色はナシ。大阪が舞台で、現地に伝わる魔の怪獣など、昭和ガメラ最高傑作『対バルゴン』を彷彿。本作でも再び、人間のエゴが怪獣を蘇らせる。
湯浅監督の尽力で予算が微増され、『対ギャオス』以来の都市破壊。
久々に怪獣映画らしい醍醐味。
話もそう悪くなく、昭和ガメラ後期の中では面白い方。