大怪獣決闘 ガメラ対バルゴンのレビュー・感想・評価
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シリーズ過渡期の佳作
大映ガメラシリーズ2作目ということで
大映初の怪獣対決作品
敵怪獣バルゴンはニューギニア生まれなのに冷凍液出したり
生物なのに水に弱いという謎の生態の怪獣
特に設定はされてないが
もしかしたら太古の昔に隕石に乗ってやって来た
宇宙怪獣なのかも知れない
過去に現れた伝説が残ってるということは
あの島にはまだバルゴンの卵が眠ってるかも
ちなみに昔の怪獣図鑑で
動物図鑑みたいに何々科という分類があったのだが
バルゴンはゴジラ科という謎の分類されてた
光線出すトカゲ型怪獣だからだろうか?
また別の怪獣図鑑では
バルゴンの尻尾の破壊力について
「藤猛(当時のスーパーライト級世界チャンピオン)の何倍」
という記述に時代を感じさせる
当時の東宝怪獣の多くは
爪や牙や角や翼などの身体の部位や
怪力や飛行能力などの身体能力を除く
光線を吐くなどの特殊能力は大抵ひとつなのだが
(キングギドラの飛行能力は一応翼由来と考えて)
バルゴンは冷凍液と虹色光線のふたつ
ガメラも火炎放射と飛行能力のふたつなので
これ以降の大映怪獣の特殊能力は基本ふたつ以上が
本作で定着する
(尖がり頭だけが武器のバイラスみたいな例外もいるが)
バルゴン出現までの人間のドラマが凄く長く
それ以降も人間同士のバトルの方が
怪獣のバトルよりも迫力がある異常事態(?)に
小野寺のクズっぷりが清々しいレベルだが
根っからの極悪人と言うより
巨大なオパール(実はバルゴンの卵)に目が眩み
次第に暗黒面に堕ちて行く感じで
悪人だが人間的に許せてしまう気もする
バルゴンに喰われた時は「ざまああああwww」だったけど
その大人の醜いドラマが強い印象に残る一方で
子供が全く出ないのがシリーズとしては異色の作品
主役のガメラは前作で宇宙に追放されたものの
隕石衝突であっさり地球に帰還して黒部ダムで大暴れ
本作ではまだガメラは人類の味方ではなく
たまたまバルゴンに闘争本能を向けただけの感じ
本作以降ガメラは一回敵怪獣に負けて
後半で逆転勝ちのパターンが続く
何かの本で誰かが「ガメラは三本勝負」と言ってたが
一回負ける点では確かにその通り
本来のプロレスの三本勝負とは
負け役の相手にも一回は負けることで
相手の必殺技を観客に披露し
相手の顔も立ててあげる為の試合方式だが
ガメラも一回負けることで相手の強さを披露する
怪獣プロレスという点では東宝に勝ると思う
ダイヤモンドで誘導作戦やミラーで反射作戦など
対バルゴンの人間サイドの作戦も
なかなかシリアスでリアル
ガメラに活躍させる為に結果的に失敗するが
惜しい所まで行ってる
南方の原住民を日本人の役者がドーラン塗って演じ
日本語喋れるのは東宝作品に準ずるが
日本人の医師が住んでる辺り
その点に気を遣っている
江波杏子さん演じるカレンの日本語は
ちょっと流暢過ぎる気もするが
それにしても台詞に現在では使えない言葉多いなあ
土人に部落に奇形児
まあ59年前の作品だから仕方ないが
ガメラの初バトル!案外、強敵だったバルゴン!
子供の頃は怪獣博士と呼ばれてました。勿論、本作品も観た覚えはあるんですが、内容は全く記憶にありません。バルゴンは覚えてたんですが、こんなに着ぐるみ感満載だったんだと、驚いちゃいました。
まぁ、昔の映画ですからね。
ミニチュアといい、着ぐるみといい、チープ以外の何物でもありません。今、見るなら茶化しながら楽しむのが正解かな。
ガメラというと、子供の味方のヒーロー怪獣というイメージが強かったんですが、本作では全くその雰囲気が無かった事を改めて知りました。
【ネタバレ】
内容的には、前作の続きから始まります。火星へ飛ばすつもりが途中で隕石とぶつかり、ガメラは地球に戻ってきてしまう。
初っ端から、いきなり黒部ダムの破壊という大掛かりな特撮なんだけど、ちょっとショボかったかな。
戦時中に隠した宝石を取りに行くという、ちょっとしたアドベンチャーの雰囲気も醸し出すんですが、やっぱりこれもショボい。
結局、持ち帰った宝石が実はバルゴンの卵だったって事で、神戸の街がバルゴンに破壊されてしまう。
そこにガメラが登場するんだけど、やっぱり最初はやられちゃうんだよね。
一応、大人向けだったのかな。様々な作戦でバルゴン討伐に奔走する。まぁ、ご都合主義の子供だましって言っちゃえばそれまでだけど、結構マジメな作戦の数々だったと思う。
ただね、バルゴンの誕生からしてそうだったんだけど、ヒトの強欲があまりにも酷すぎる。自衛隊?の作戦中に一般市民が入り込んで、ダイヤを奪って作戦失敗なんて、あまりにも現実離れしてて呆れちゃいました。
クライマックスは、ガメラとの再戦!やっぱり怪獣映画はこれだよね。チープな着ぐるみプロレスであっても、怪獣大好きオヤジは満足です。
ガメラシリーズは、流血戦になるところが、なお好きです。
1作目より物語がしっかり
荒唐無稽だった前作「大怪獣ガメラ」よりも欲にまみれた人物が登場し、人間の因果な部分を見せられる為、子どもの観る怪獣映画と言うスタンスから離れた作品になっていると思う。
モンスターパニック映画に必須のキャラクターとして、怪獣より怪物な悪人がいるものだが、この作品には小野寺がいる。
一緒に探索に行った仲間を宝石を独り占めするために殺し、帰国したらさらに行方不明の圭介の兄夫婦まで手に掛ける。
果てはバルゴン誘導の為の巨大ダイヤモンドを奪い取ろうとする始末。
欲の張った人間の醜さが十分に伝わる。
そして本作品ガメラの初対決の相手、バルゴン。
初顔合わせではバルゴンの能力に一方的に敗れる ガメラの図式はこの作品から始まっている。
冷凍光線と殺人虹光線は強力であるが弱点が水なのに船沈没させて泳いだりするのだから、弱点と言うほどには弱点じゃないのか?と思ったり…。
バルゴンの瞼が左右から閉まるのはちょい変わってるし、逆にガメラは尖った眼をしているので前作とは表情も違うように感じる。
回転しながら飛ぶ時もアニメーションから実物が火を吹きながら回転するものに変わってた。
色々、変えてきたガメラ、内容も大人思考で意外に面白かった。
DVDでの観賞だったが、フィルムの縦キズや画面上部にゴミが引っ掛かっていたりして見えているのは元が16ミリフィルムなんだろうか?
当時の35ミリフィルムは作ったら、即大映直営か掛けてくれる映画館に送られ、マスターフィルムもどっかに行っちゃったのだろうか…と考えたりした。
ガメラ初の怪獣バトル(短め)な大映ガメラ第2弾
お、カラーになった。元祖大映ガメラの第2作目です。前作からの直接の続編です。
ガメラさん、宇宙から黒部ダムへ直行!宇宙にいたのによくわかるもんですね。あれ?でも、これダム壊す必要なくない!?何でわざわざ壊したの?そのまま国外に行っちゃうしなぁ。
バルゴンの冷凍吐息って何気にスゴいですよね。って何!あの虹光線⁉️カッコいい‼️って思ったらそれがガメラを呼び寄せる原因になった。でもガメラにも圧勝。見た目はウルトラマンに出てくる怪獣っぽくって印象薄いけど強いぞバルゴン!
小野寺悪いやっちゃなぁっと思ってたら最後はバルゴンに食べられましたね。ん?バルゴンは人食うの?あれはダイヤを狙ってて、たまたま人も混じっただけ?そもそも、バルゴンは何を食べるのでしょうか?南の島ニューギニアの出身なのに物を冷凍させる能力って、どういう必要性があってその進化は起こったのでしょう?考えれば考えるほど不思議な生物です。でも、凍るせる能力って暑い南の島なら逆に重宝されそうだけどなぁ。
ガメラとバルゴン、どちらも人類の脅威って描かれ方だったのに最後はバルゴン倒して終了って、ガメラは放って置いても良かったのでしょうか?うーん、色々と謎が残るガメラ対バルゴンでした。
昭和シリーズ屈指の見応え
サンテレビ「アフタヌーンシアター」で鑑賞。
本作の大きな特徴は、子供が一切登場しないことであろう。ガメラが子供を助けると云った描写も無い。本作のガメラは徹頭徹尾、敵の立ち位置だ。
悪役が殺人を犯したり、主人公とヒロインがいい雰囲気になったりと云うアダルトな作風に子供が退屈したため、次から子供向けに戻したそうである。
大人になってから思い返すと、ドラマも特撮も、昭和シリーズの中でいちばん見応えがあるように思う。上手くバランスが取れていて、テンポも良い。
当時の大映スター、本郷功次郎氏が出演していてドラマに締まりが感じられる(本人は当初、怪獣映画に出演するのがとても嫌だったとのこと)。
特撮では、神戸や大阪を蹂躙するバルゴンの描写が素晴らしい。昭和シリーズ後半では予算の都合で無くなってしまう都市破壊を存分に楽しめた。
なぎ倒されるポートタワーや氷漬けにされてしまう大阪城など、関西出身の私に馴染みの深い建物が被害に遭うシーンはなんだかウキウキした。
バルゴンの舌を伸ばして放つ冷凍液や虹色殺人光線など、技もユニークだ。目が大きくてかわいらしいのに凶暴な性格なのもギャップがあって良い。
昭和シリーズでいちばんと言って良いほど自衛隊が怪獣撃滅作戦を頑張っているのも特徴だ。ニューギニア先住民のカレンが齎したヒントを元に様々な作戦を展開する。ダイヤモンド作戦やバックミラー作戦など、作戦の名称がユーモラスで面白い。
ガメラが、一度は敵に敗北するもリベンジマッチで勝利する図式が本作で確立している。大阪城で氷漬けにされるも琵琶湖で再戦し、勝利をおさめるのだ。バルゴンの断末魔が印象に残る。
人の欲望の醜さが描かれ、因果応報な結末を迎える悪人に子供ながらに衝撃を受けたことを覚えている。こんな大人にはならないぞと心に決めたが、果たしてなっていないか、とても心配である。
[追記(2020/05/24)]
偶然「黒部の太陽」を観た直後に鑑賞したため、黒部ダムが破壊されるシーンに心が痛んだ。
どれだけの犠牲の果てに出来たと思っているのだと、ダムに感情移入してガメラに怒りを覚えた。
[追記(2025/11/09)]
何故、ガメラはバルゴンと戦ったのか。その理由が全く明確でないことに気づかされた。動物としての本能から来る行動だったのだろうか。
昭和シリーズのガメラは子供を助けるために敵と戦う存在と云う印象があるが、本作には子供が登場しないため、その動機も考えられない。
バルゴンと戦わないと始まらないので、ご都合主義に目を瞑らないといけないのは分かるが、なんらかの理由づけは必要ではないかなと思う。
[鑑賞記録]
2001/??/??:サンテレビ「アフタヌーンシアター」
2020/05/24:Amazon Prime Video
2025/11/09:BS12(4Kデジタル修復版)
*初投稿(2018/10/11)
*再投稿(2020/05/25)
*修正(2025/11/09)
人間のエゴが怪獣を目覚めさせる
シリーズ2作目。1966年の作品。本作からカラーに。
2作目から“大怪獣決闘”モノで、舞台は大阪…あちらとの酷似はこの際いいとして、
話は前作の後日談。
半年前、日本に上陸し暴れ回り、“Zプラン”によって宇宙へ追放されたガメラ。
が! ガメラを封じ込めたロケットが驚異的な確率で隕石に衝突し、自由になったガメラは地球に舞い戻る。
そして何故か小さな島国・日本の黒部ダムを襲ってエネルギーを蓄え、再び何処へ飛び去った…。
序盤はツッコミ所多々だが、人間ドラマはシリアスな雰囲気になる。
自らの飛行機会社設立を夢見るパイロットの圭介は、今の会社を辞め、兄の計画に参加する。
戦時中、パプアニューギニアのジャングル奥地の洞窟で見付けたオパールを隠したという兄。戦争で足を負傷した兄に代わり、圭介と他2名で手に入れに行く。
現地に着くと日本語が話せる村の女・カレンに止められるが、制止を強引に振り切り、ジャングル奥地の洞窟を目指す。
遂に辿り着き、オパールを発見。喜びに沸くが、一人が毒サソリに刺されて死亡。それがきっかけでもう一人が裏切り、洞窟を爆破してオパールを持って逃げてしまう。
圭介はカレンに助けられ、「恐ろしい事が起こる」と怖れるカレンと共に日本へ。
実はオパールは…。
裏切り者が乗った船の中でオパールが赤外線に偶然当てられ、変化。
そしてその中から誕生する。
パプアニューギニアの魔境、“虹の谷”の伝説の怪獣、バルゴン!
オパールだと思っていたそれは、バルゴンの卵だったのだ。
急速に巨大化し、大阪で暴れ回る…。
バルゴン登場までの人間ドラマが前作から売って変わってアダルトな作風。
宝石に目が眩んだ欲深い裏切り者。
洞窟で仲間の一人の足に忍び込んだサソリを黙認。
日本に戻りうっかり洞窟で起きた事を口を滑らし、圭介の兄に問い詰められた挙げ句、殺める。
圭介と因縁の再会。取っ組み合い。
怪我した圭介の傷に口を当てるカレン。これ、本当に昭和ガメラだよね!?
終盤、対バルゴンのある作戦の最中、再び裏切り者が乱入。
欲と醜態の末路は…。
昭和ガメラでは唯一、子供が出て来ない。
その為公開時、観に来た子供は退屈し、怪獣が出てくるまで劇場を走り回ってたという逸話があるが、個人的には昭和ガメラで人間ドラマ部分は一番面白い。
言ってしまえば本作、“虹の大怪獣バルゴン”だけでも成り立つ話である。
長く伸びた舌の先から出す冷凍ガス、背中のヒレから出す虹の光線…バルゴンの猛威は圧倒的。
人類は“ダイヤモンド作戦”“人工雨作戦”“バックミラー作戦”で挑む。
前作以上に人類と怪獣の闘いが描かれていた気がした。
後一歩で倒す事が出来ない。
そこへ現れたのが、ガメラ。
寒さに弱いガメラはバルゴンの冷凍攻撃で一度は敗れるも、復活し再戦。
昭和ガメラの鉄板となるこの図式も本作から。
本作のガメラの立ち位置はまだ人間の脅威寄り。
しかし、更なる脅威が現れると、闘ってくれる…ゴジラでもお馴染みの怪獣映画の定番。
前作が大ヒットした事により、予算がアップ。それは特撮面で充分窺い知れる。
序盤の黒部ダムセット、メインの大阪セット、クライマックスの琵琶湖セット…大規模なセット。
一瞬にして凍る冷凍ガス攻撃、カラーを意識した虹の光線の特撮の見せ方もアイデア駆使している。
また、ガメラとバルゴンの闘いは基本四足で。これはゴジラ映画では無かった。
本作のみ特技監督を務めた湯浅憲明監督のこだわりで、動物らしさが出ている。
ワニとオオトカゲを合わせたというバルゴンの造形もまさにそう。
人間ドラマも特撮も昭和シリーズ随一。
人間のエゴが怪獣を目覚めさせる…という怪獣映画の真のテーマもしっかりと。
やはり、昭和ガメラでは一番!
本作は公開時、『大魔神』と同時上映だったとか。
何と贅沢な!
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