蒲田行進曲のレビュー・感想・評価
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あの頃
日本の映画の歴史、伝統、誇りを総てを土台にして本作がある そこが素晴らしい
映画の裏側を描く映画
古くはサンセット大通り、イブの総て、スタア誕生、近くはLaLaランドとか色々有りますが、本作に一番近いのはフランソワ・トリュフォー監督の1973年の「映画に愛をこめて アメリカの夜」だろう
あちらは監督を中心に、こちらは大部屋俳優を中心に描いている違いがあるが、やりたいことは同じだ
映画にかかわる人々と映画そのものへの讃歌であり、違いはない
その映画でも、映画の中で映画が撮られており、その本番シーンが挿入される構造も同じだ
おそらくかなり参考にしたのではないかと思うシーンもあったように感じた
しかし本当に日本の物に完全になっている
日本の映画の歴史、伝統、誇りを総てを土台にして本作があるのだということは間違いなくわかるからだ
そこが素晴らしい
東映の京都撮影所が舞台であるのに題名が蒲田行進曲なのは、製作が松竹だからではない
その伝統に対して今も行進しているのだということを表しているに違いない
本作から37年後、タランティーノ監督がハリウッドで本作のリメイクを作った
そうワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドだ
あれはハリウッド版蒲田行進曲だったのだと思う
タランティーノのことだから、深作欣二監督の本作を観ていない訳はない
映画への愛の行進は1世紀をかけて、ハリウッドからフランスに、そして日本に、そしてついに地球を一周してハリウッドに戻ったのだ
本作にはそれほどの力がある
キャデラックに免許は要らない
大学時代、東京まで観に行った。しかも目当ては『この子の七つのお祝いに』だったので、本作は途中から鑑賞して、この子を観てからまた前半部分を観た。それでも感動しまくりで、いい映画は途中から観ても感動できるものだとわかった。純粋だったため、親分肌のスターの女を押し付けられるとか、階段落ちを決心するあたりとか、妙に平田の男気に感動してしまったのだ。それでもラストシーンにおける「カーット!」いうところに疑問を感じずにはいられなかった・・・何度観てもいい映画というのは数多くあるけど、この映画に限ってはストーリーを大切なものとして心に撮っておきたいがため、何度も見る必要がないような気もする。
再見して故深作欣二の偉大さとともに映画への愛をまたしても受け取ってしまう。松坂慶子の濡れ場における突然の雷とか、スタジオ内の池田屋のセットが突然結婚式へと変化するシーンとか、あちこちでカットバックの上手さも秀でている気がする。主演の3人は語り尽くせないほどあるけど、故郷に錦を飾ったところで、ヤスの母親・清川虹子の演技がとてもよい。風呂に入ってからもいいが、入る前に悲しげなまなざしをヤスに向けるところは最高峰。
30年経って調べてみると、ヤスのモデルとなった汐路章という俳優が山田という名で出ているらしいこと。東映と松竹の確執とか、松竹の野村芳太郎がそのために『キネマの天地』を作ったとか、色々あったのですね。
大人になれば理解できる部分もある。ヤスが暴れて部屋を無茶苦茶にするほどの精神状態。以前は気にならなかったのに、他人の子をも押し付けられることになることに無性に腹が立ってくる。小夏にも当り散らすが、よく見ると、彼は小夏のお腹にモノを当てないようにしているのだ。みかんは飛んじゃったけど・・・
面白い!
小さい頃親父が観てた隣でなんとなく観て以来。
物凄いテンポ感と早い展開であっと言う間の100分だった。
感情も何もかも全て言っちゃう台詞回しや大袈裟な演技も、当時リアルタイムで観た人がどう思ったかは分からないけど、昔はこんな大袈裟だったのか、くらいであまり気にならなかった。感情は動きと台詞で見せろ!というのが昔の演技方だったのかなと思って観ていた。
銀ちゃんに惚れて何が何でも付いて行くヤスがとても良かった。なので、披露宴からのヤスは僕も小夏目線でどうしちゃったんだよ!そんなのヤスじゃないだろうよ!と完全に映画の世界に入っていた。
階段落ちからの上で待つ銀ちゃん、這って銀ちゃんに向かって行くヤスに二人の人生を観た。
記憶の違いでヤスは死ぬと思ってたから最後はハッピーエンドか!と思ってからの大オチ?カーテンコール?に度肝抜かれた。何じゃこりゃ!台無しやんけ!と思ったけど、つかこうへいに深作欣二がそんな簡単なわけないと思い、自分ながらの解釈は、これは映画なんだ、ヤスに自分を重ねるなよ、という事なのか、大変でどうしようもない事も俯瞰で見たら映画みたいにキラキラしてるって事なのか…
兎にも角にも松坂慶子が可愛い過ぎました。ラストの病院のベッドでの一人台詞は笑った。
構成は意外とできてる。
監督「これが映画だ!」
これぞ映画だ!と言いきられまくる映画。
このスピード感と熱量は他に類をみない。
銀ちゃんの破天荒さと脆さ、やすの情けなさとひたむきさ、小夏の冷たい美と温もり。
演じ手の力量と演出の明確さが、それぞれのキャラクターが持つ幾つもの顔を愛すべき魅力に変え、最後までそれを光みなぎらせている。
言葉遊びとも感じられる台詞の攻防も楽しければ、演劇チックな場面展開も楽しい。
とにかく飽きることなく、猛スピードで喜怒哀楽を駆け巡らされる。
劇中音楽もまた秀逸。
こてこての台詞、わかりやすい笑い、どぎついほどの演出。
それをきっちりと支え「有り」判定にさせるのが、役者陣の映画俳優としての演技力。
自然体を求めるそれではなく、この映画では役者が役者らしく役を演じている。
それがまた実に気持ちがいい。
後半のヤスと小夏のやり合いなどは、息をのむほど熱く悲しい。
何よりあの銀ちゃんという破綻した役を、愛すべき人間として演じきった風間杜夫は見事。
作り手側の熱量にのぼせるしかない、これぞ昭和な超娯楽映画だ。
これを丸々つまらなかったと言えたら逆に驚く。
愛あり、涙あり、笑いあり。映画館で観た邦画の中で一番面白かった。昨...
とんねるずで、よく階段落ちのコントを見ていた世代で、この映画のこと...
知らない間にこんな映画が!
少しだけ日本から離れていた自分に、面白い映画だよと妹が教えてくれたので見ました。見たらはまってしまい、何度も何度も見ました。「戸籍は屁よりも劣るのか!」と小夏にあたるヤス、階段落ち後の「銀ちゃん、かっこいいー」のヤス=平田満の台詞と表情は、何度聞いても見ても笑って泣いてしまいます。つかこうへいの脚本と深作欣二監督による最高の映画だと思います。
松坂慶子のケバい化粧も、風間杜夫の目張りバッチリ過ぎの映画メーク、あまりにわかりやすく気合いタップリでした。
この映画で熊本の人吉という町を知りました。それもとても嬉しく思いました。清川虹子の演技と目にやられました。
テーマ音楽も大好きです。時代劇が元気だった昔、銀幕のスターが居た時代、知らないのに夢見させてくれました。
前半は白けたが、後半は盛り返した
総合:65点
ストーリー: 75
キャスト: 65
演出: 45
ビジュアル: 70
音楽: 70
深作欣二監督の作品をいくつか見たが、どれもこれもわざとらしい大袈裟な科白回しや演技が目立って古臭く、そんな喋り方や動きをするわけないだろうと自然に見ることが出来ない。本作は名作と言われているのだが、やはり同じような安くてわざとらしい作風で撮影されている。1982年の作品なのだが、それよりもはるかに古い作品のように感じた。この監督の演出の感覚は私に合わないのだろうと思う。こういうのがこの時代では評価されていたのだろうか、今でもこういうのがいいと思われているのかと疑問に感じる。
そんな感じで物語が始まっても長い間あまりのめり込めなかったのだが、後半も押し詰り、見せ場の階段落ちも決定してヤスが感情を爆発させて小夏のいる部屋で本音で怒鳴り暴れる場面くらいから雰囲気が変わって俄然盛り上がってきた。それでもあまり本作が気に入ったわけではないのだが、これで前半の白けた雰囲気がだいぶ帳消しとなり、映画としてはなんとかまとまった。
小夏さん、いじらしくて美しい!
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