蒲田行進曲のレビュー・感想・評価
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ジャケットに騙された。
風間杜夫がモテまくる遊び人の映画かと思った。全然違っていたし映画が始まって15分ぐらいしたところで突然主人公が入れ替わったので驚いた。
松坂慶子と言うと、この映画が公開された同時は近づきがたいような美女というイメージが強かった。その彼女がこのようなキャラクターを演じて当時映画館で見た人はきっと驚いたに違いない。この映画には女性でなければ描けないと思われるようなシーンがいくつかあり、それらの積み重ねによって主人公がとてもリアルになり親近感のようなものが高まっていくのを感じた。これはとても男性が描いた脚本には思えない。また主人公3人たちのそれぞれの相手に対する気持ちの変化というものが非常によく描けていた。これもまた描こうと思って描けるレベルの脚本ではなく何かの偶然によって生まれた傑作なのであろう。
遅ればせながら一発で松坂慶子のファンになった。
輝き続ける男と、支える男。 感動を作り続ける人々。
映画製作の一部をギャグ的デフォルメしているが、ものつくりに関わる人々の思いが伝わってきて、鑑賞しているだけなのに、つい熱くなる。自分も何か作りたくなる。
銀ちゃん・ヤス・小夏を中心に描かれるが、
ヤス以外の大部屋俳優・監督・美術・制作に関わる映画会社社員…。
階段落ち本番に入るときの息をのんでしまうほどの迫力。改めて映画ってたくさんの人々の総力戦でできるのだなあと身が引き締まる。あの雰囲気はCGだと半減かもと知ったような気になるほどの緊迫感。
賛否両論あるラスト。
舞台へのオマージュか?古き”話”であることを強調したかったのか?監督の想いは判らねど、大部屋俳優と言われる人々を中心に映画製作にかかわる人すべてが集まっての大円団。クランクアップした瞬間に立ち会えたような気分になり、一緒にはしゃぎまくりたくなる。この映画に関わった人々すべてを讃えたくなる。
☆ ☆ ☆
命をかけてもいいと思うほど、男が惚れる男。そんな思いを受け止め続けるために頑張り続け、輝き続けないといけない男。
そんな男を支えているのだどいう自負と喜びで生きる男。
これが、今はやりのBLではないところが、また…。
傍から見れば、パワハラ・モラハラ・DVの嵐。改善介入したくなる。
でも、本人たちはこれをパワハラとも思っていないのだろうなあ。それほどまでにエンメッシュメントな関係性。
つかこうへい氏の舞台の映画化。舞台で演じた二人がそのまま起用されている。脚本もつか氏が担当。
だからか、キレがよい。畳みかけるような台詞。掛け合い。
つか氏の舞台で観たかったなあ(合掌)。
風間氏や平田氏がすごい。
松坂さんを大根役者という人もいるけど、この映画は見ていないのだろうか?
清川虹子さんの出演も映画を締める。リアリティのないあの演出も、清川さんの演技でリアリティが出てくる(合掌)。
他にも蟹江氏。強面も、究極の悪役も、コメディもこなせる貴重な役者。頭抱える姿だけでも笑える(合掌)。
他にも、萩原氏(合掌)が、福本氏(合掌)が、等々の発見もうれしい。
ヤスのモデルになったという超大物俳優も…。時代劇の悪役と言ったらこの方というほど、TVで見慣れた方ですが、大部屋俳優だったんだ…。この方の階段落ち、観たいなぁ。
リアリティって何?という展開で突き進む映画。
この展開にのれるかが、この映画に対する評価の分かれ目だろう。
現実に側にいたら呆れてしまう面々。DV相談所のパンフレットを差し出すだろう。
でも、この映画に中の彼らはなぜか愛おしい。
この面々を、こんな風に愛おしく見せられる演技・演出・脚本・映像・音楽がすごい。
踏みつけられても、踏みつけられても、前向きに生きていくヤス。自分よりも大切な銀ちゃんと小夏のために出した結論。傍から見たら、それダメだろと思うが…。銀ちゃんから見捨てられたような気になってキレる。気持ちはわかるけどさ。そのダメさ加減と格好よさのバランス。ダメな部分だけでは共感を得られない。でも、格好良くなってしまっても映画が壊れる。そのあたりを絶妙に演じきった平田氏。
「子どもの父親が欲しいの」と、ラストまで自分と子どもの安定を求め続けた小夏。その計算高さがちらほらするくせに、一途な女に見えてしまう。そんな相反する要素があるくせに天然にみえる演技の松坂さん。捨てられたころのやさぐれた様子。悲哀。それでも、ヤスのために一生懸命な様。そのすべてがこんなにも美しいなんて…。
前半、「赤ちゃん?」と言いたくなるような破天荒な無茶苦茶な人物として描かれる銀ちゃん。センスもダサダサで、笑かしてくれる。振り回されつつも、自分が付いていないとと思わせる愛嬌(アイスキャンディの小道具がナイス!)。でも、「俺を人殺しにさせやがって(思い出し引用)」という台詞以降の銀ちゃんの格好良いこと。特に、階段場面での迫力に惚れてしまう。一歩間違えれば、単なる鼻つまみ者にしかみえないのに、ヤスが惚れこむ男としての存在感も出さなければならない。こんな難しい役を愛すべきキャラクターとして演じきった風間氏。時代劇の立役者としての、動きのキレも半端ない。
(『キネマの天地』の歌の時と、銀ちゃんの時の声のハリがかなり違うことからすれば、銀ちゃんをやっていたときは声の発声・言い方からしてすべて演じていたのだろうと拝察する。ちなみに、歌の中に平田氏の声は、私には感知できない。それを突っ込んだ時の平田氏・風間氏の受け答えを妄想してしまう(笑))
銀ちゃんとヤスの、デフォルメされたバランス・かけあいが吊りあっていないと成り立たない映画。
そのデフォルメされた二人の間で、女ならそう思うよねという部分をリアリティをもって存在した小夏。
このバランスが、喜劇にも見せ、現実にありそうなドラマとしても魅せてくれる。
そして、この三人が皆、寂しさを抱えている様がいい。そこが、一度見ればいい映画ではなくて、繰り返し観たい傑作になっている。
この三人の関係を、しんみりとさせるシーンも織り込みつつ、勢いに乗って最後まで見せ切る。
映画の中の映画・階段落ちのシーンの冒頭、電で浮かび上がらせる竜の壁画。それだけで、雰囲気が切り替わる。
ヤスの見せ場も二種類以上の音楽でシーンを盛り上げる。
というように、役者、演出、美術、音楽、脚本すべてがすごい。一つ一つ、ツッコミも含めて、語り尽くしたくなる。
『恋人も濡れる街角』がこの映画の主題歌だとは知らなかった。
同じ曲でも場面によって曲調が違って彩りを添えるかと思うと、無音。
緩急がすごい。
そして当然JACというスタント集団がいなければ成り立たなかった映画。
若き真田氏・志穂美さん・千葉氏は当然、あのスタントやったのJACだよね。アクションナイス!!
無茶苦茶なんだけれど、この映画のパワーに巻き込まれてしまう。
映画の世界にいつの間にか取り込まれてしまう。
究極のエンタティメント。
これがあの名台詞、名シーンだなと思いつつ、ようやく見ることが出来た...
これがあの名台詞、名シーンだなと思いつつ、ようやく見ることが出来た。当時は物凄く話題になっていたし、この映画によって「蒲田」という地名が全国に知れ渡ったと思う。当時の映画撮影の舞台裏も垣間見れて楽しかった。笑いあり、涙ありの昭和を代表する名作。
良い意味で演劇のよう
主演の松坂慶子、風間杜夫、平田満の3人の演技が素晴らしい。これだけでも見る価値のある映画だ。脚本が舞台出身のつかこうへいで、いい意味で舞台を見ているような感じで面白い。音楽も良かった。
あの頃
私が20歳位の頃だったと思います。
TVCMで、蒲田行進曲を見かけました。
当時、証券会社に勤めていたので、会社から松竹の株主優待券を半年分2セット頂き映画はほぼ無料で観られましたが、この作品は胡散臭いと思い観ませんでした。
で、ある日後輩が暇なので、観て来ましたと言い、是非面白いから観て下さいと推され、仕方なく観に行きました。
いやいや面白い上に階段落ちで涙腺が緩む事 。タダ券使い10回は劇場で観ましたね。
青春でしたね。私の人生で最高の映画ですよ。
賛否両論ありますが、感動しましたね〜
でも、階段落ちは、劇場で観ないと感動しませんね。小さいスクリーンだと迫力がありません。
40年前
『いつも一緒にいる人が一番なのよ』
あーあ💧
妊婦のいる家で暴れまくるなんて最低💦💦💦
この部分がなければ、とてもいい評価でしたね💧
松坂慶子、美しい✨美しすぎる✨
松坂慶子のPVと言っても過言ではない💮
桑田佳祐の曲良かったです♪
日本の映画の歴史、伝統、誇りを総てを土台にして本作がある そこが素晴らしい
映画の裏側を描く映画
古くはサンセット大通り、イブの総て、スタア誕生、近くはLaLaランドとか色々有りますが、本作に一番近いのはフランソワ・トリュフォー監督の1973年の「映画に愛をこめて アメリカの夜」だろう
あちらは監督を中心に、こちらは大部屋俳優を中心に描いている違いがあるが、やりたいことは同じだ
映画にかかわる人々と映画そのものへの讃歌であり、違いはない
その映画でも、映画の中で映画が撮られており、その本番シーンが挿入される構造も同じだ
おそらくかなり参考にしたのではないかと思うシーンもあったように感じた
しかし本当に日本の物に完全になっている
日本の映画の歴史、伝統、誇りを総てを土台にして本作があるのだということは間違いなくわかるからだ
そこが素晴らしい
東映の京都撮影所が舞台であるのに題名が蒲田行進曲なのは、製作が松竹だからではない
その伝統に対して今も行進しているのだということを表しているに違いない
本作から37年後、タランティーノ監督がハリウッドで本作のリメイクを作った
そうワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドだ
あれはハリウッド版蒲田行進曲だったのだと思う
タランティーノのことだから、深作欣二監督の本作を観ていない訳はない
映画への愛の行進は1世紀をかけて、ハリウッドからフランスに、そして日本に、そしてついに地球を一周してハリウッドに戻ったのだ
本作にはそれほどの力がある
キャデラックに免許は要らない
大学時代、東京まで観に行った。しかも目当ては『この子の七つのお祝いに』だったので、本作は途中から鑑賞して、この子を観てからまた前半部分を観た。それでも感動しまくりで、いい映画は途中から観ても感動できるものだとわかった。純粋だったため、親分肌のスターの女を押し付けられるとか、階段落ちを決心するあたりとか、妙に平田の男気に感動してしまったのだ。それでもラストシーンにおける「カーット!」いうところに疑問を感じずにはいられなかった・・・何度観てもいい映画というのは数多くあるけど、この映画に限ってはストーリーを大切なものとして心に撮っておきたいがため、何度も見る必要がないような気もする。
再見して故深作欣二の偉大さとともに映画への愛をまたしても受け取ってしまう。松坂慶子の濡れ場における突然の雷とか、スタジオ内の池田屋のセットが突然結婚式へと変化するシーンとか、あちこちでカットバックの上手さも秀でている気がする。主演の3人は語り尽くせないほどあるけど、故郷に錦を飾ったところで、ヤスの母親・清川虹子の演技がとてもよい。風呂に入ってからもいいが、入る前に悲しげなまなざしをヤスに向けるところは最高峰。
30年経って調べてみると、ヤスのモデルとなった汐路章という俳優が山田という名で出ているらしいこと。東映と松竹の確執とか、松竹の野村芳太郎がそのために『キネマの天地』を作ったとか、色々あったのですね。
大人になれば理解できる部分もある。ヤスが暴れて部屋を無茶苦茶にするほどの精神状態。以前は気にならなかったのに、他人の子をも押し付けられることになることに無性に腹が立ってくる。小夏にも当り散らすが、よく見ると、彼は小夏のお腹にモノを当てないようにしているのだ。みかんは飛んじゃったけど・・・
面白い!
小さい頃親父が観てた隣でなんとなく観て以来。
物凄いテンポ感と早い展開であっと言う間の100分だった。
感情も何もかも全て言っちゃう台詞回しや大袈裟な演技も、当時リアルタイムで観た人がどう思ったかは分からないけど、昔はこんな大袈裟だったのか、くらいであまり気にならなかった。感情は動きと台詞で見せろ!というのが昔の演技方だったのかなと思って観ていた。
銀ちゃんに惚れて何が何でも付いて行くヤスがとても良かった。なので、披露宴からのヤスは僕も小夏目線でどうしちゃったんだよ!そんなのヤスじゃないだろうよ!と完全に映画の世界に入っていた。
階段落ちからの上で待つ銀ちゃん、這って銀ちゃんに向かって行くヤスに二人の人生を観た。
記憶の違いでヤスは死ぬと思ってたから最後はハッピーエンドか!と思ってからの大オチ?カーテンコール?に度肝抜かれた。何じゃこりゃ!台無しやんけ!と思ったけど、つかこうへいに深作欣二がそんな簡単なわけないと思い、自分ながらの解釈は、これは映画なんだ、ヤスに自分を重ねるなよ、という事なのか、大変でどうしようもない事も俯瞰で見たら映画みたいにキラキラしてるって事なのか…
兎にも角にも松坂慶子が可愛い過ぎました。ラストの病院のベッドでの一人台詞は笑った。
構成は意外とできてる。
大部屋俳優のヤスが尊敬してる銀ちゃんのために命を張るため、妻の小夏と衝突しながらも温かい家庭を気づくストーリー。
テーマ:師弟関係に似た友情、本当の愛(自分の子じゃない子のために頑張れるか)
クライマックス:ヤスが階段から落ちる
第1プロットポイント:銀ちゃんが小夏を託す
ミッドポイント:小夏とヤスが地元に帰る
第2プロットポイント:ヤスと小夏の大げんか
エンディング:ヤスと小夏と赤ん坊の3人でこれから生きていく
監督「これが映画だ!」
これぞ映画だ!と言いきられまくる映画。
このスピード感と熱量は他に類をみない。
銀ちゃんの破天荒さと脆さ、やすの情けなさとひたむきさ、小夏の冷たい美と温もり。
演じ手の力量と演出の明確さが、それぞれのキャラクターが持つ幾つもの顔を愛すべき魅力に変え、最後までそれを光みなぎらせている。
言葉遊びとも感じられる台詞の攻防も楽しければ、演劇チックな場面展開も楽しい。
とにかく飽きることなく、猛スピードで喜怒哀楽を駆け巡らされる。
劇中音楽もまた秀逸。
こてこての台詞、わかりやすい笑い、どぎついほどの演出。
それをきっちりと支え「有り」判定にさせるのが、役者陣の映画俳優としての演技力。
自然体を求めるそれではなく、この映画では役者が役者らしく役を演じている。
それがまた実に気持ちがいい。
後半のヤスと小夏のやり合いなどは、息をのむほど熱く悲しい。
何よりあの銀ちゃんという破綻した役を、愛すべき人間として演じきった風間杜夫は見事。
作り手側の熱量にのぼせるしかない、これぞ昭和な超娯楽映画だ。
これを丸々つまらなかったと言えたら逆に驚く。
愛あり、涙あり、笑いあり。映画館で観た邦画の中で一番面白かった。昨...
愛あり、涙あり、笑いあり。映画館で観た邦画の中で一番面白かった。昨日久々にTVで観てみたが当時は何も感じなかった松坂慶子がたまらなく魅力的だった。階段落ちのシーンは目が釘付けに。オープニングのタイトロールのクラシック映画を使った背景や、カット!で終わり、出演者が勢揃いするエンディングが粋。すでに30年以上経過しているが80年代〜観た邦画の5本指に入る作品だ。
とんねるずで、よく階段落ちのコントを見ていた世代で、この映画のこと...
とんねるずで、よく階段落ちのコントを見ていた世代で、この映画のことをよく知らなかったけど、たまたま見ました。
意外に昔の映画といえ、面白かった。
喜劇かと思うくらいのオーバーリアクションも新鮮だったし、出ている人達が今も活躍している人達でビックリ。見る影もないくらい変わってるけど、最後のオチもえっ?って、感じでしたが、その当時はきっと斬新だったのだろう。と思いながら、最後の歌も聞いてしまった。
展開が早く、ドタバタ劇なので、見ていて飽きずに新鮮な感じで観れてよかった。
昭和の芝居、昭和のリアル
派手な演技に、破天荒なストーリーも、昭和の話だからこそ「ある~!」と思える。やはり非常に演劇的、痒いところに手が届く展開、期待通りのカッコ良さ、カッコ悪さ。盛り上げの技法が散りばめられた、昭和の名作!
知らない間にこんな映画が!
少しだけ日本から離れていた自分に、面白い映画だよと妹が教えてくれたので見ました。見たらはまってしまい、何度も何度も見ました。「戸籍は屁よりも劣るのか!」と小夏にあたるヤス、階段落ち後の「銀ちゃん、かっこいいー」のヤス=平田満の台詞と表情は、何度聞いても見ても笑って泣いてしまいます。つかこうへいの脚本と深作欣二監督による最高の映画だと思います。
松坂慶子のケバい化粧も、風間杜夫の目張りバッチリ過ぎの映画メーク、あまりにわかりやすく気合いタップリでした。
この映画で熊本の人吉という町を知りました。それもとても嬉しく思いました。清川虹子の演技と目にやられました。
テーマ音楽も大好きです。時代劇が元気だった昔、銀幕のスターが居た時代、知らないのに夢見させてくれました。
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