蒲田行進曲のレビュー・感想・評価
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何度観ても、のめり込む中毒性 日本映画界にとってかけがえのない財産
往年の松竹・蒲田をタイトルにしておきながら、舞台となるのは東映・太秦撮影所。
今では特別なことではないが、当時、メジャー映画会社の撮影所で他社作品を撮影するのは、前代未聞の珍事だったという。その辺の入り組んだ事情はさて置き、とにもかくにも何度観ても前のめりになってしまうほどの中毒性がある、味わい深い深作欣二監督作である。
愛すべきツッコミどころは数え切れないほどあるが、それを補って余りある役者陣の熱演。
銀ちゃん、ヤス、小夏……誰も彼もが愛すべきキャラクター。そして39段の階段落ちのシーンからの、ニヤリとさせられるエンディングまで、とにかく素晴らしい。
邦画洋画問わず、その後も撮影所を舞台にした作品は幾度も誕生しているが、やはり原点というべき「蒲田行進曲」は日本映画界にとって欠かすことのできない財産といえるのではないだろうか。
【”ヤス、上がってこい!”大部屋俳優のど根性と、落ち目の人気俳優と、その愛人の落ち目の女優との関係を軸にした映画愛溢れる作品。ラストの展開は絶品です。】
ー 恥ずかしながらの初鑑賞である。だが、メインテーマの松坂慶子さんと風間杜夫さんとあんまり声がわからないけど平田満さんが歌う華やかでエネルギッシュな「蒲田行進曲」は聞いた事が有る。と言うか、口ずさめる。
公開年を考えると、ちっび子だったオイラが何故に、歌えるのであろうか。ビックリである。それにしても、久方ぶりに聞いたが「蒲田行進曲」のメインテーマは名曲であり、初めて観た今作も映画愛溢れる逸品である事には、間違いはないであろう。-
■一応、粗筋。
時代劇「新選組」の主役土方歳三を務めるスター、銀ちゃん(スンゴイ若い風間杜夫)。ある日、大部屋役者で、銀ちゃんを慕うヤス(平田満)のアパート(ジェームス・ディーン始め、映画のポスターが多数貼ってある。)に銀ちゃんが女優の小夏(松坂慶子)を連れてやって来る。
銀ちゃんの子供を妊娠し、三か月の小夏。スキャンダルを恐れる銀ちゃんは「小夏と一緒になってくれ。」とヤスに頼み込み、ヤスはそれを引き受ける。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、中盤までは1980年代の邦画ってこんな感じだったのかな、という何だか懐かしくも分かり易い展開で物語は進む。
だが、画面が発する熱量が凄くって、又シンプルだからこそ、面白くのめり込んで観てしまう。
・特に、銀ちゃんの事が好きなのに、あんな酷い別れられ方をしても銀ちゃんから言われた通りにヤスと暮らし始める小夏が健気過ぎる。少し、"女の人はモノではないぞ!"と、思い、銀ちゃんの態度に苛つく。
更に言えば、ヤスも小夏の為にドンドン危ない役を引き受けて、傷だらけになっていくのに、新居のために色々と買って来る姿も、健気過ぎる。
・ヤスが小夏を連れて実家に凱旋するシーン。
「蒲田行進曲」が高らかに流れる中、ヤスの知り合いたちは大騒ぎ。
だが、ヤスの母親(清川虹子:お名前だけは微かに存じあげていたが、凄い女優さんである。)だけが、全てを見通している中で"ヤスを頼みます。"と、小夏に頭を下げるシーンは、沁みたなあ。
・ヤスが階段落ちのシーンが近づくにつれ、情緒不安になり、小夏に当たり散らす姿は、辛いなあ。でも、気持ちは分かるなあ。
■で、35段、高さ8Mの階段落ちシーン。上から撮るカメラから観てもその急こう配の高さが分かる。
で、斬られたヤスが転げ落ちる。あれ、CGじゃないよな。ジャパンアクションクラブの千葉真一、真田広之、志穂美悦子が冒頭の激しい殺陣のシーンで出演していたので、ジャパンアクションクラブの俳優さんかな。凄いな。
<ヤスが血だらけになりながら、階段を必死の形相で這い登って行く。上からは銀ちゃんが”ヤス、上がってこい!”と手を差し伸べるシーン。
一方、”別の医者の病室らしきところでは、小夏が女の子を生み、ヤスの声が聞こえてくる。小夏は眼を開けるのが怖くて、目を閉じているが・・、"からのあの大団円。
いやあ、凄かったなあ。映画愛に溢れているなあ。今作品、堪能しましたよ。>
複雑な気持ち。
蒲田駅のホームのメロディを聴いて、そういえばそんな映画があったなと思って観てみた。
昭和時代の役者の破天荒ぶりを描いたということなんだろうけど。
他人の子を宿した美人と結婚して子供が育てられるか。押し付ける方も、押し付けられる方も、孕った方も子供も、誰も報われない。
そして階段のシーン。
このようなことがまかり通る世界は恐ろしい。
閉塞的な世界での上下関係はハラスメントどころか、いじめや犯罪につながる。
そのような前提は置いておいたとしても、これって実際ビジネスでスタントマンと言えど、どなたかが階段を落ちたわけでしょ。
そのような危険な内容を芝居の核にしている訳だから、あまり危険じゃないなら価値が下がるし、危険だったらこのストーリーの裏には実話がある訳だ。
それを最後にチャンチャンって感じで終わっていいの?
一体何が言いたいの?っていう映画だった。
ただし、後半のヤスと小夏とのやりとりで暴れたシーン、愛すれば愛するほど辛くなっていくというシーンは共感はできないけど、妙にリアリティがあった。
ライブで見るべきなのだと思う
タイトルなし
ハチャメチャな話だけど、どこかでは似たような人生を送っている人も居るんだろうなって思ってしまう。
ヤスが酒に酔って暴れまわっていたけれど、この先も事有る毎に繰り返してそうで心配。出産を期に変わって欲しいと願うが、自分の子じゃないだけに逆方向に作用してしまう事も有るので安心はできない。
ちょっとした御遊び演出なんだろうけど、ラストの演出は、どう捉えてよいのか本当に困る。当然、コレは映画なんだ、フィクションなんだってのは分かって観ているんだけど、最後にあの演出をされてしまうと劇中の小夏やヤスの気持ちが全て無かった事のようにされたようで淋しくなります。
あとメインで出でいる平田さんより風間さんの方がクレジットが上なのが気になる。こういうのって何で決めるのですかね?
残念ながら
ヤスに共感するほど哀しい
ハチャメチャな熱気
三人のキャラが際立っている
熱量!
自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。
あまりにも演技が熱い!熱いというかもう臭い!しかも「そうはならんやろ!?」とは思う展開も多い!でもまぁ確かにこんな性格の人ならそうなるのかな、とも思わせてくれるように作られているな、とは感じました。
演技も展開も、基本的に舞台だなぁと感じますが、だからこそとても感情の揺れ動きの描かれた方の振幅が大きいなぁ、と感じましたし、伝わってくるエネルギーが凄まじいですね。
また最後のシーン、結構ビックリしましたが、「そうかこれまでが演劇だったからか」ととても納得もしました。なんかこのオチは若干ズルいですね笑。納得はしたのですが、不思議な感覚です。
鑑賞中にこういう無駄に熱い映画だと思って楽しめたのも、昭和に作られた作品だから、という理由で受け入れていましたが(言い方があまりにも雑ですが笑)、令和の今でも同じような映画が作れるのでしょうか。
にしても松坂慶子さん、めちゃくちゃ綺麗ですね。またちょっとしか出ていないですが、真田広之さんもすんごいイケメンでした。
映画本編とは関係がない感想ですが、真田さんがやっていたような殺陣のある時代劇を見てみたいなと思いました。最近の映画のアクションシーンとは違うカッコよさを感じました。
登場人物に共感できず
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自分勝手な俳優・風間が大スターになるチャンスを得る。
で長年付き合って妊娠させた女優・松坂を手下の平田に押し付ける。
平田は実は松坂が好きで、本気で結婚しようと仕事に精を出す。
松坂は最初は投げやりだったが、やがて平田を好きになり結婚。
そんな折、風間が没落の危機を迎え、平田がそれを救うため、
超高いところから死ぬ覚悟で階段落ちをする決断をしたのだった。
決行直前には平田も荒れ、現場で暴言を吐いたり松坂を殴ったり。
でも何やかんやで成功させ、命も無事だった。
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時代が昔過ぎて全然ピンと来んかったわ。
っていうか、平田は風間の何を尊敬してんの?ええように扱われてるだけ。
しかも平田みたいなショボい男を松坂が好む理由もよう分からん。
ハッピーエンド的に終わってるけど、きっと平田のDVは一生終わらない。
松坂はあんまり美人と思ったこと無かったけど、若い頃は美人やな。
それ以上に、独特の色気というか、守って上げたい感じがある。
そのへんも含めて演技が上手ということになるんやろうなあ。
一世一代の人間の見せ場を描いた傑作
ジョン・ウィック4を見て、本作を見たくて見たくてたまらず鑑賞。何度見てもいい。
メインキャスト3人の生き様と映画にかける人たちの情熱。銀ちゃんのようなカリスマも、小夏のような愛に生きる決心も、そしてヤスのような一世一代の大勝負に賭ける意気込みも、すべてが素晴らしい。
2024.9.9追記
フォールガイを見てスタンド愛を感じて、こちらも再度鑑賞。やはり何度見ても素晴らしい。
あまりにも昭和的な
半端じゃない熱量で圧倒される映画だが、反面、様々な問題を抱えているので手放しで称賛してはいけない作品だと思う。
まずはとにかく「日本的」だなと感じた。日本の映画だからそれはそうだろって話かもしれないが、日本人はどの民族よりも「自己犠牲」ってものを尊敬し美化する、というような話を聞いたことがあり、それを体現したような映画だと思った。おそらく外国人がこれをみたとしたら、登場人物は変な人たちばっかりだなって思うだろうし、昭和から平成とんで令和の時代に初めて本作をみた日本人である自分としても、多少理解はあるにせよ、まあ変な人たちばっかりだなと思った。
現在になってみればむしろ、前時代特有の不健康でイビツな部分が際立って見えてしまった。「日本的」というか、「昭和的」と言ったほうが正しいのかもしれない。
「自己犠牲」を美化しているのがこの映画の一つの大きな問題点だと思う。ヤスは「銀ちゃんへの忠誠」と「小夏への憧れ」を基点として、妊娠中の小夏のために「コレがコレなもんで」というセリフを多用しつつ、自分の体を犠牲にしてお金を稼ぎ、最終的に周囲の反対を振り切って「階段落ち」という命を天秤にかけた犠牲を決行する。
小夏は小夏で、「銀ちゃんへの愛」と「子供を産む」ことを基点に、自分の幸せを顧みず、自己犠牲を繰り返すが、最終的にはヤスといることによって幸せを見出し、自己犠牲のループから抜け出す。しかし、そんな小夏の感情を踏みにじるようにして、ヤスは階段落ちを決行してしまう。この階段落ちも、「銀ちゃんへの忠誠」というのが基点であるので、ヤスは最後まで「自身と家庭の幸福」よりも「他者への忠誠と自己犠牲」を選んだことになる。
であるから、忠誠心とか自己犠牲をそれほど尊いものだと思っていない自分はクライマックスの階段落ちに感情移入ができず。家庭の幸福を差し置いて自分を犠牲にするほどのものでもないんじゃないの、と思ってしまった。ヤスが死んだところで、銀が一時的に助かって保険金が入るだけなので。「アルマゲドン」みたいに全人類が助かるのならわかるけど、命を賭けるほどの意味が見出せず。詰まるところ、「忠誠心」や「自己犠牲」が舵を握ってあまり意味のない行動をしているように感じてしまった。
最後、結局ヤスは一命を取り留め、子供も無事に生まれて、これからやっと家庭に幸福が訪れるのかな……と思わされたところで「カット」の声が響き、これまでの物語が全部「劇中劇」だったということが知らされる。
……なんじゃそりゃ。
この唐突な「カット」は正直理解ができず。「ただのハッピーエンドにはしないよ」というひねくれ心なのか、「人生もドラマだよ」っていうメッセージなのか、とにかく説明不足が過ぎる。
最後の最後で第四の壁破られても反応に困ってしまうので、特段伝えたいことがなければ、普通に映画の中で完結させてほしかった。
限りなく日本的・昭和的な映画だけど、ヤスの四畳半のボロ部屋にジェームスディーンのポスターが沢山貼ってあるのは印象に残った。この映画が公開されるずっと前にジェームズディーンは自動車事故で亡くなっているので、この時からヤスは「死」というものを意識していたであろうことが伺えた。また、映画のはじめの方で、銀ちゃん一味が撮影現場の例の階段を視察しに行った際、去り際に階段をなめるように観察したのがヤスなので、この時点で物語の結末はなんとなく予測がついた(最後は死ぬのかなと思っていた)。
ジェームスディーンのポスターといい、小物の使い方はすごく良かった。激昂した小夏が、鍋を木刀でぶっ叩いて、囲炉裏にこぼれた鍋が「ジャー」って凄い蒸気をあげるシーンも迫力があって最高に視覚的だった。
この映画の一番の問題とも言えるのが、登場人物の男尊女卑・女性差別的な振る舞いだと思う。描かれている世界の中ではそれが常態化してて、小夏が置かれた状況に「かわいそう」だとも思えず、「なぜそれを許す?」と思えるような度を越えた振る舞いが続く。結局、この時代の男が書いた話なので、全てを許容する小夏は「男の理想」でしかなく、そもそも物語の始まりは「妊娠した愛人を子分に押し付ける」っていうめちゃくちゃなものだし、途中の銀ちゃんのプロポーズのシーンなんかは本当に気持ち悪かったし害悪だとさえ思う。
映画としては熱量があって面白い。けど、女性差別をはじめ、さまざまな倫理的問題を抱えているので、手放しでこの映画を称賛してしまってはいけないと思う。「あまりに昭和的」な映画であるから、現代では通用しない(させてはいけない)価値観が多い。「古き良き時代」で済ませてはいけない問題だと思う。
馬鹿ばっかりだ
ずいぶん昔に観た記憶があり、
その頃はやはり一番の見所、
階段落ちのところが印象に残っていて
他はうすぼんやりであった。
あと松坂慶子の美しさよ。
いい大人になって
もう一度観たら
子どもの頃にはよくわからないことだって
理解できて
さらに感動を呼んだ。
一般の感覚からは
うわあ、キッツイなあと思うところや
演劇の人独特?な強烈な感じとか
観ていてあるのだけれども、
何をおいても
どいつもこいつも愛すべき大馬鹿野郎どもばかりだ!
これほどまでにつくる人も観る人も虜にする映画ってなんなのでしょう。
観終わったあとテーマソングと「銀ちゃんかっこいい…!」が
頭からはなれないこと請け合い。
名作だと思います!
キャデラックに免許がいるか!!!
高見知佳さんを偲んで
高見知佳さん
12月21日がん性腹膜炎により出身地愛媛県新居浜市内の病院にて60歳で他界
監督は『仁義なき戦い』シリーズ『バトルロワイヤル』シリーズ『復活の日 』『魔界転生 』『里見八犬伝』『いつかギラギラする日』『忠臣蔵外伝 四谷怪談』『おもちゃ』の深作欣二
脚本は『二代目はクリスチャン』『熱海殺人事件』『ペエスケ ガタピシ物語』『幕末純情伝』『リング・リング・リング 涙のチャンピオンベルト』のつかこうへい
日本映画を代表する傑作
これを見ずして日本映画を語れない
タイトルは蒲田だが蒲田の撮影所ではなく京都撮影所になっているがいろいろ事情があったのだろう
まあいいってことよ些細なことだ
テーマソングもラストシーンも秀逸
映画に対する愛情がたっぷり詰まっている
銀ちゃんの傍若無人ぶりはどこか憎めずむしろユーモアがあって面白い
それでも今ならコンプライアンス的に間違いなく問題になりマスゴミが叩くだろうがあんな連中と共感して良い映画が作れるわけがない
今思うと地味な平田満がいい芝居をしている
特に階段落ちが決まってからの役作りが素晴らしい
松坂慶子の濡れ場あり
ああいう自然な流れでの脱ぎっぷりは清々しい
今の20代30代の有名女優であれくらいのことが出来る人はあまりいないのが実情
あの役は高見知佳がやっていたんだな
ひさびさに観たけど意外だった
あと酒井敏也がこの当時はフサフサで最初は本人とわからなかった
銀ちゃんの子を身籠もったものの銀ちゃんの命令でヤスと結婚することになった売れなくなった女優の小夏に松坂慶子
大部屋俳優を引き連れ威張っているワガママだが気弱な性格でファッションは悪趣味な東映のスター俳優の銀ちゃんこと銀四郎に風間杜夫
銀ちゃんからの頼みでかつて憧れた女優で銀ちゃんの子を宿した小夏と結婚することになる大部屋俳優のヤスこと村岡安次に平田満
銀ちゃんファンの若い女性でのちに銀ちゃんと付き合うことになる朋子に高見知佳
東映の映画監督に蟹江敬三
助監督に清水昭博
銀ちゃんのライバルで劇中劇では坂本龍馬を演じたテレビや映画などに引っ張りだこで忙しい人気俳優の橘に原田大二郎
撮影所の床山のトクさんに岡本麗
大部屋俳優たちを相手にスタント要員を募集するキャスティングプロデューサーの山田に汐路章
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・トメに榎木兵衛
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・勇二に萩原流行
銀ちゃんを慕う大部屋俳優の一人・マコトに酒井敏也
階段落ちの階段について説明する撮影所の社員に石丸謙二郎
熊本の田舎に住んでいるヤスの母に清川虹子
白いスーツ姿で機関銃を撃ちまくる本人役に千葉真一
時代劇で寝込みを襲撃されても次々と返り討ちにする強い姫を演じる本人役に志穂美悦子
時代劇で連獅子のスタイルで薙刀を振り回すヒーローを演じる本人役に真田広之
溶けて混じって踊り狂え
人を食ったような露悪的な脚本は良くも悪くもいつも通りのつかこうへいといった感じで好きでも嫌いでもないが、階段落ちと主人公が自宅で暴れ散らすシーンに関してはすごいなと思った。
階段落ちをしたら死ぬかもしれないという物語内のアクチュアリティが「マジでこの階段から落ちるの??」という我々受け手(=物語外)の緊張感とリンクし、その結果作品に現物以上の求心力が生まれていたと思う。
主人公が自宅で暴れ散らすシーンもかなりよかった。まずは常識の範囲内でモノに八つ当たりする。しかし次第に主人公の口ぶりが乱暴になっていき、それにつれて八つ当たりの度合いも過激さを増していく。気づいた頃には部屋中が嵐に見舞われたようにメチャクチャになっている。それはまるで主人公の内的な葛藤と衝動が外的世界との境界線を喪失し、徐々に溢れ出していったかのようだ。
作品と受け手、精神世界と物理世界といった区分が容赦なくブチ壊され、何もかもが『蒲田行進曲』という映画の俎上に引き摺り出され、そして踊り狂う。そういう暴力的な祝祭性こそがこの映画の妙味なんじゃないかと感じた。
ただまあ、最期の楽屋オチはやりすぎというか、露悪性を突き詰めるあまりオーバーラン的な空転をかましてしまっていたように思う。園子温『地獄でなぜ悪い』ほどではないにせよ、あのメタフィクション的な話の締め方の向こう側に作家の下卑た笑顔が思い浮かんでしまってうんざりさせられた。同様の手法でもホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン』とかは好きなんだけどな。この差はなんなんだろうか。
今となっては道徳やコンプライアンスに触れるようなストーリーだとは思うが、これもつかこうへい節なのかもしれない。 松竹の看板女優だった松坂慶子が序盤でいきなり脱いだので驚いた。
動画配信で映画「蒲田行進曲」を見た。
劇場公開日 1982年10月9日
1982年製作/107分/日本
配給:松竹
松坂慶子
風間杜夫
平田満
蟹江敬三
原田大二郎
清川虹子
千葉真一
志穂美悦子
真田広之
萩原流行
深作欣二監督
人気俳優の銀四郎(風間杜夫)は妊娠した小夏(松坂慶子)を、
スキャンダルを避けるためにヤス(平田満)に押し付けて結婚させた。
銀四郎を慕うヤスは小夏と結婚して自分の子として育てることを誓う。
40年前に撮られた映画だがメチャメチャな話だと思う。
今となっては道徳やコンプライアンスに触れるようなストーリーだとは思うが、これもつかこうへい節なのかもしれない。
松竹の看板女優だった松坂慶子が序盤でいきなり脱いだので驚いた。
岡本麗と石丸謙二郎が若々しかった。
蟹江敬三、萩原流行などすでに鬼籍に入った人が懐かしい。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
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