壁あつき部屋

劇場公開日:

解説

巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯の手記「壁あつき部屋」の映画化で、新鋭プロ第一回作品。脚色には芥川賞受賞作家阿部公房が当り、「まごころ」の小村正樹が監督している。撮影は「日本の悲劇」の楠田浩之、音楽は「青空大名」木下忠司。出演者は「沖縄健児隊」の三島耕、「早稲田大学」の小沢栄、信欣三、「君の名は」の岸恵子、小林トシ子ほか俳優座、文学座、民芸などの新劇人である。

1956年製作/110分/日本
配給:松竹

ストーリー

巣鴨拘置所--そこには文明と平和の名に於いて裁かれた戦犯達が服役している。その一人山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人の原住民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられた。しかも戦時中、横田がたった一人人間らしい少女だと思つた優しいヨシ子は、今では渋谷の特飲街に働く女である。朝鮮人の許も、神経質な山下もこうして戦犯の刻印をおされた犠牲者の一人にすぎなかった。脱出に失敗した山下はその直後母の死を知った。時限をきめて出所を許された山下は、浜田が女手の山下の家を今迄迫害し続けていた事を知ると一切の怒りがムラムラとこみあげてきた。しかし恐怖に歪んだ浜田の表情を見た山下は、殺す気もしなくなった。たった一人の妹は、「これからどうする?」という山下の問いに、「生きて行くわ」とポツリと答えた。再び横田達に迎えられて、拘置所の門をくぐる山下、そしてそこには、再びあつい壁だけが待っていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

4.0BC級戦犯の巣鴨拘置所

2015年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

戦後BC級戦犯を収容していた東京の巣鴨拘置所を舞台とした元兵士たちの物語。実際にこの拘置所はあり、戦地の住民から訴えられた兵士がそこに捕らえられている。日本兵として戦ってきた朝鮮人もいる。なぜ彼らは訴えられているのか。何をしたのか。
今では忘れ去られている戦争の歴史を今一度振り返るには、見ておくべき映画である。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
M.Joe
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る