劇場公開日 1993年11月6日

「普遍のテーマ 人が助け合うということ」学校(1993) Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0普遍のテーマ 人が助け合うということ

2022年4月28日
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数日前にたまたまWOWOWで観たこの『学校』
とてもいい映画でしたーーーー!
久々にかなり泣いた。

1993年の映画なので西田敏行も若い。
そしてとにかくこの西田敏行の先生役が、人間味あったかくて、緩やかで、まっすぐで、すごくいい!

夜間中学の話だから、生徒たちはみんな訳ありで、昼間は仕事をし、年齢もバラバラで、境遇も様々、個性豊か。色んな事情を抱えながらここに通ってる。

そんな登場人物たちの人生を個別に丁寧に描写しつつ、縁あってここで共に学ぶという事の意味を、優しい目線で見つめる山田洋次監督。
社会の弱者と呼ばれる人たちを描かせたら天下一品ですよね。

中でも、田中邦衛演じる「いのさん」の話が涙腺崩壊。これ、間違いなく助演男優賞確実でしょう。
もはや『いのさん』本人にしか見えない。
東北生まれのいのさんが生きてきた半生が凄まじく、壮絶な生い立ちを経てここにたどり着き、読み書きを覚えて車の免許を取るんだーーと夢見てひらがなや算数を一から覚えていく姿と、不器用な人柄と、淡い恋と…
(実在の男性をモデルにしているそうです)

観終わると、今の自分がいかに恵まれているか、としみじみ思う。
そして、社会にはこんな場所が必要だとも思う。
人が人間らしく生きる権利と、存在意義。
みんな、幸せになるために生まれてきたのだから…

たくさん泣いた後はあたたかい気持ちになれる、素晴らしい映画。

Mariko