風の慕情

劇場公開日:

解説

オーストラリア、マニラにロケしたエキゾチズムあふれるサスペンス・ラブロマン。脚本は橋田寿賀子のオリジナル、監督は「わが恋わが歌」の中村登。撮影は「東京←→パリ 青春の条件」の竹村博が担当。

1970年製作/93分/日本
原題または英題:Journey of Love
配給:松竹
劇場公開日:1970年7月1日

ストーリー

長谷由布子は一年ほど交際した大森源吉から求婚された。胸のときめくような興奮も感激もなかった。由布子にはオーストラリアに血を分けた実の姉がいた。しかし、時折り文通があるだけで、顔も知らない姉だった。由布子は一生の大事をきめる前に姉に会おうと思った。しかし、シドニー空港には頼る姉の姿はなく、さすがに心細くなった由布子を慰め勇気づけてくれたのは留学生くずれの西条直紀だった。彼の心遣いは次第に由布子の警戒心を解き、姉の消息探究と観光の日程が交錯する毎日が始った。そのころ旅中隣席だった商社マン郷田が由布子の前に現われ、姉の手紙の代筆者が直紀であること、直紀こそ姉の消息についての謎を握る男であり、これ以上直紀と行動をともにするのは危険だと忠告した。しかし、由布子の気持は直紀に強く動いており直紀に愛を求めたが、なぜか直紀はそれをうけ入れなかった。由布子は傷ついた。豪華なナイトクラブでの直紀との最後の晩餐、その時、由布子は美しい貴婦人然とした日本の女性を見た。彼女の名はゆき。直紀のかつての愛人であり、由布子の姉なのだ。この姉は、はるばる訪ねてきた妹にも会えぬ境遇に絶望していた。直紀はゆきを今でも愛していたが、そのうえ、妹の由布子まで好きになってしまっていた。由布子は再びゆきに会った。さりげない会話を交しながら、由布子は心の中で“もしや姉では”と叫んでいた。この日ゆきが失踪した。ギャングのボスの手が八方にゆきを追った。ゆきはマニラに行ったと直感した直紀は由布子とともにあとを追った。警察から水死体発見の知らせがあった。悲しい予感が的中した。ひとにぎりの愛さえ知らずに死んだ姉。由布子は夕陽が真紅に染めるマニラ湾に向って花束を投げながら、耐えていた悲しみが憤き上げてくるのを感じた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0吉永小百合主演でオーストラリアロケも敢行した大作だが、ちょっと饒舌過ぎる脚本はあの人!

2023年10月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭の深い緑の木々を美しく捉えるカメラからの始まりに大いに期待を抱かせるが、スタッフのクレジット見るとそこには、脚本 橋田 壽賀子の名前があり少しやな予感があったが、後半に的中する 作品自体は、戦争孤児達の悲しい物語を日本や海外ロケで描いた橋田寿賀子のオリジナル脚本で、吉永小百合と石坂浩二主演で、オーストラリアに本格的なロケも敢行した大作で、名職人の中村登監督のツボを抑えた演出と中村監督とは何度か組んでいる撮影の竹村博が、冒頭の森林からオーストラリアの風子明媚な風景を美しくカメラに捉えているので、その面でも楽しめる。 キャストの吉永小百合と石坂浩二のコンビも良いけど、個人的には、お邪魔虫(死語)になる森次晃嗣(モロボシダン)のとぼけた味わいも良い。 前記にあるけど中村登監督の演出は、的確で海外ロケの情景の捉えかたも含め安心して見れる。 気になるのは、やはり後半に、物語の内容を石坂浩二が一気に語り出すくだりで、抜けの良い崖っぷちみたいなところで語るので、テレビの2時間のサスペンス劇場で近年良くネタにさる終盤の展開の様相なのだが、戦争孤児達の悲しい物語を殆どセリフで喋ってしまうので、おや?と思ってしまう。映画は、映像で物語を見せる語るが基本と言われているので、その点では本作はやはりセリフにやや頼り過ぎていて、橋田寿賀子が本領とするテレビドラマの作りになって感じ。 橋田寿賀子は松竹映画からキャリアをスタートさせたが、50年代から60年代にかけて幾つかの映画作品の脚本家としてクレジットされているが、知っている限りでは名前の通った作品が見当たらず、テレビドラマの脚本にて才能を開花させて方だと思っている(ただし松竹作品の検証してませんのであしからず) テレビドラマは、基本的に画面の大きさや日常的に何か用事をしながらでも、筋や内容が追える様に、セリフでの説明が多用される傾向にあり、名だたるテレビドラマの名脚本家でも演出家でも映画撮るとアレ?な出来になる事が多い。 いわるゆるメディアやフォーマットが違うのにそこでの方法論を持ち込み違和感を発生させる印象。(同じリングで戦いレフリーもあるけどボクシングとプロレスくらい違う) 橋田寿賀子のテレビドラマの脚本は、役者が難儀するくらい膨大なセリフがある人間ドラマの会話劇が多いとされているが、ミステリーやサスペンス系で、その方法を持ち込むと複雑なトリックや人間関係のない謎解きとしては平坦で説明的になる傾向があると思う。横溝正史や江戸川乱歩のミステリーは、題材や背景に特徴がありそれにトリックが絡むので謎解きも面白い。 戦争を肌で体験してる作家にあるあるですが、戦争悲劇を語ろとして映画の物語として面白さや映像で語りをせずに説教や解説調になるのは、違うと思う。(戦争はどんな形であれ反対ではあるけど) 個人的に橋田寿賀子の脚本作でオススメなのは、日本で一大ブームを巻き起こして中東やアジアでも知名度が高い『おしん』のアニメ版あたりが分かりやすい。 テレビと同じ豪華な俳優による声優キャストとアニメーションと映像も良く出来ていて、物語も人気のある少女時代のお話を凄まじいテンポと展開で見れる。(5分一度の見せ場😁)

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