女と味噌汁
劇場公開日:1968年2月14日
解説
平岩弓枝の同名小説を、「颱風とざくろ」の井手俊郎が脚色し、「宴」の五所平之助が監督した女性もの。撮影は「日本のいちばん長い日」の村井博。
1968年製作/97分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1968年2月14日
ストーリー
身持ちの堅いことで知られる芸者の千佳子は、三味線も踊りもうまく、女将のすがに信頼されていた。ある夜、千佳子は、彼女に食指を動かした上役の命令で交渉に来た桐谷と会った。勿論、千佳子は断ったが、帰りがけヤケ酒を飲んで泥酔している桐谷を、自分のアパートに連れて帰る破目になった。翌朝、桐谷は千佳子の作った味噌汁の味に感心しながらも、彼女の生き生きとした暮しぶりに感心するのだった。また千佳子は将来のために貯めた金でライトバンの味噌汁屋を始め、多くのファンを掴んだ。眼科医の太田もそのひとりで、千佳子と結婚したいと思っていたのだが、その望みも彼女が芸者ということで親の反対を受け、消えていった。そんなある日、北海道から上京した千佳子の異母弟の咲村が現われた。千佳子は咲村と会って肉親の情が湧くのを覚えたが、そのうち芸者の小桃が咲村を愛するようになったのに驚き、芸者も人間だと言っていた千佳子は理屈では割り切れぬ身勝手さで、二人の結婚に反対するのだった。咲村はひとりで北海道へ帰っていった。そのあと千佳子は二人の幼な馴染みと再会した。下駄屋の正二と、大会社の専務になっている勉の二人だったが、勉は下駄屋の正二を軽蔑していた。そんな二人の姿を見て、千佳子は人生の綾のようなものに触れたと思った。だが、順風満帆のように見えた勉は会社経営のまずさから会社を馘になった。そんなことがあって、正二の家を訪ねた千佳子は、彼の妻民子の明るさに好感を持ち、正二の家庭に温かさを感じた。そして、勉もこれからは裸一貫で出直してくれればいいと思うのだった。やがて、正二から千佳子に黒塗りの下駄が贈られた。彼女は正二の気持ちが嬉しく、その下駄をはいて座敷へ出ていった。彼女の後姿に、すがが威勢よく切り火を切った。