劇場公開日 1992年12月26日

「【寅さんシリーズを第45作まで観て来て思う事、幾つかを記す。】」男はつらいよ 寅次郎の青春 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【寅さんシリーズを第45作まで観て来て思う事、幾つかを記す。】

2024年8月1日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

■宮崎県にやってきた寅次郎は、美容院を切り盛りする蝶子(風吹ジュン)と出会い、親切な彼女の家に泊めてもらう事になる。
 そんな時、友達の結婚式にやってきた泉(後藤久美子)は寅次郎と偶然城で出会うが、転んで足を怪我してしまう。
 それを知った満男は、泉に会う事も含め宮崎へ向かうが、そこには蝶子の弟で船乗りの竜介(永瀬正敏)と泉の仲の良い姿があり、満男は焦るのである。

◆感想

・数カ月前から、寅さんシリーズを少しづつ観て来て、早くも、45作目である。少し前から一気に観てしまうのが、何だか勿体なくも寂しくて暫く観ていなかった。
 だが、久方ぶりに観ると、矢張りとても面白いのである。

・寅さんシリーズの魅力を書き出すときりが無いが、一言で言えば山田洋次監督の根本思想である人間性全面肯定姿勢をベースにした、類稀なるクオリティの高いヒューマンドラマだという事であろう。

・登場人物達は、会えば頻繁に喧嘩をしつつも、お互いに相手を心のどこかで常に気にかけ、喧嘩が終われば人間として相手に対して、控えめながら優しく接するのである。

・数作前から、渥美清さんの健康状態の事もあり、満男と泉の恋を中心にした物語にシフトしていたが、今作では再び寅さんを慕う風吹ジュンさんが演じる情の深い蝶子が登場する。嬉しい限りである。
 それで、今作のタイトルなのだろう。寅さんの生き方は幾つになっても青春なのだから。

・それにしても、寅さんは今作でも粋である。”釣りは要らねえよ。””そちらの分も・・。”
こんな台詞をサラリと言って嫌味に感じないのは、寅さんくらいではないだろうか。

■45作目にもなると、主要キャストも老いてくる。人間なのだから当たり前である。だが、矢張り寂しいモノである。今作が最期の出演になられた名優もいらっしゃる。タコ社長も痩せたなあ。
 一方、満男はドンドンと寅さんに似て来て、泉を演じた後藤久美子さんがドンドン美しくなって行く様は驚異的である。
 又、当時、若手俳優のホープであった永瀬正敏さんの格好良い事と言ったら・・。

<寅さんシリーズは、山田洋次監督やスタッフの上記の様なバランスを取った、キャスティングの妙により、世界でも稀なる名シリーズになった事が良く分かるのである。
 寅さんシリーズが、如何に素晴らしく、如何に当時その時々に作品を観た多くの人達に笑いと涙を与え、勇気づけたのだろうかという事を改めて感じた作品である。>

NOBU
Mr.C.B.2さんのコメント
2024年8月2日

笠智衆さん、最後は自宅で撮影されたらしいですね。

Mr.C.B.2