「宮川 一夫 日本映画の底力を示すカメラマンです 記憶されなければならない名前です」おとうと(1960) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
宮川 一夫 日本映画の底力を示すカメラマンです 記憶されなければならない名前です
日本映画界を代表する映画カメラマン宮川 一夫
本作は、その彼の撮影作品ですが、特にその彼が「銀残し」と呼びばれる特殊な現像手法を編みだし本作で使ったことでことに有名です
果たして彩度を落とした深みのある映像が美しく撮られています
それは冒頭の雨のシーンだけで明らかで感嘆させられます
桜並木の堤防の道のシーンは桜の淡い桃色が柔らかく本当に美しく撮られています
春風の生暖かさまでを感じることができるのです
ラストシーンの病院では寒々しい中に暖かみを見出だせるものでした
正に撮影が演出を行っているのです
気の強い姉役の岸恵子の美人顔はその落ち着いた色彩の中で良く映えて最も美しく撮れていました
田中絹代の初老の陰険な継母ぶりもはまっており
沈んだ色彩の中に淀んでいます
ハイライトたる姉弟があの桜と同じ桃色のテープで手首を結んで眠るシーンも、そのテープの色は彩度が落とされており鮮やかさは少しもありません
本作の一切合切が姉げんの記憶の中のものであったということなのだと思います
映画に於いてカメラマンの腕とは如何に重要なのもなのかを思い知らされるものでした
銀残しの手法は世界の手本となり、セブンとかプライベートライアンなどで今も観ることができます
宮川 一夫
日本映画の底力を示すカメラマンです
記憶されなければならない名前です
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