お受験 OJUKENのレビュー・感想・評価
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お受験はフルマラソンの後で
新年早々アホ映画を観られて本当に嬉しい。田中裕子という女優の掴みどころのなさは鈴木清順『カポネ大いに泣く』で既に遺憾なく発揮されていたが、滝田洋二郎のような世紀末ポップネスの文脈でもその禍々しさは健在だった。冒頭のビンタに始まり、神経症的で沸点不明の不安定な教育ママを快演していた。ヒステリーに走らないのが逆にマジで怖いよ。
田中裕子の強烈な存在感のせいで忘れがちだが、物語も相当おかしい。お受験というタイトル通り、あくまで物語の主眼は富樫家のお受験にあるのだが、父親の矢沢永吉のマラソン熱がそこへねじ込まれる。昔取った杵柄で社会人になってからもダラダラとマラソンを続けていた矢沢だったが、とうとう会社が倒産。長らくビジター参加していた湘南マラソンに、恥をしのんで一般参加することになった。
矢沢の行動原理がマジでよくわからず、過去の自分との訣別を果たしたいのか、家族に自分の走る姿を見てほしいのか、どこに焦点があるのかわからない。この曖昧さは物語終盤で矢沢自身を思いもよらぬ方向へと突き動かす。
好走していた湘南マラソンのコースを突如として外れた矢沢は、江ノ電の線路や鶴岡八幡宮の境内を爆走し、最終的に丘の上の私立小学校へ躍り出る。何を隠そう、そこでは妻と娘が今まさにお受験に臨んでいた。汗みずくのまま教室になだれ込む矢沢。それを娘が温かく迎え入れる。さあ仕切り直して面接開始!というところで本編は幕を閉じる。
マジで何?
世紀末にはこの手のムチャクチャなコメディ映画が割合多いような気がする。バブルの浮かれ具合を継承しつつも、現実的な先行きの見えなさから目を逸らすように開き直る感じというか。失職した矢沢がなかなか再就職できないとか、代わりに働き始めた田中が結局親の職場に出入りさせてもらってるとか、妙なところでリアルな氷河期っぽさが出てて怖かった。
リストラと受験
ここで走れば?どこでも走れるのに・・・
映画「お受験 OJUKEN」(滝田洋二郎監督)から。
なんといっても、話題はロックシンガー、矢沢永吉さんが主演。
実業団の陸上部員、そして過去の実績にこだわり、
大きな大会での入賞ばかりを夢見ていた主人公に対して、
小学生の娘は、彼にこう言った。
「走りたいんだったら、ここで走れば・・、どこでも走れるのに」。
大人の私たちには、厳しい一言であった。
私の中で、場所を選んではいけない、という気持ちが湧いてきた。
同時に「蒔かれたところで咲きなさい」というフレーズが浮かび、
成果が残せないのは、環境のせいだ、と言い訳してきた私たちにとって、
彼女の一言は、印象的だった。
私も書きたい、という気持ちを大切にして、
どこでもいいからスペースを見つけて、書き続けていきたいと想う。
環境のせいにしない・・さすが、滝田洋二郎監督。(汗)
10年以上前の作品とは思えなかった。
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