「お母さんがお父さんを憎むのをやめたら、僕もお母さんを憎むのをやめます」永遠の人 ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
お母さんがお父さんを憎むのをやめたら、僕もお母さんを憎むのをやめます
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すごいドロドロのドラマだった。なんだか、横溝正史とか、手塚治虫の「奇子」の世界に通じるかも。
昭和7年から36年まで、恨み一筋に生きてきた、さだ子。でもわかるよ。だって、平兵衛すごいやなヤツだもん。いくら上の立場でも、義理の父親を呼び捨てで叱りつけるなんて、人としてアカンよ。わがまま放題だから、家庭がギスギスして、子供が犠牲になるんだよ。さだ子も情の強い女かもしれないが、発端は平兵衛だから。冷えきった夫婦の長男・栄一が若き日の田村正和で、母とうまくいかず傷ついている青年をナイーブに演じていた。次男も兄の件で傷つき、東京の大学まで行って、たくさんのことを知り、自分の家や両親を客観的に見たからこそ、こんなせりふが言えた。「お母さんがお父さんを憎むのをやめたら、僕もお母さんを憎むのをやめます」…あまりにも鋭くてグサグサ刺さるねぇ。末娘の直子はまあまっすぐ育ったらしく、村の男と好き合って、駆け落ちした。相手が若い頃さだ子の思い人だった隆の息子ってのが、因縁だなあ。
最後は、死が近い隆のために、さだ子と平兵衛が和解しようとする。30年近い時間を経て、やっと歩み寄る夫婦にとって、「永遠の人」とは誰のことなのだろうか。
熊本の夏の、空と雲と山が美しい。阿蘇山の煙も、あぜ道も、白黒のコントラストがすごくいいな、と思う。
BS松竹東急の「生誕100年高峰秀子特集」放送を録画で鑑賞。
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