裏階段

劇場公開日:

解説

「制服の狼」の田口耕三と「悶え」の井上梅次が共同でシナリオを執筆・井上梅次が監督したアクションドラマ。撮影はコンビの渡辺徹。

1965年製作/92分/日本
原題または英題:Back Stairways
配給:大映
劇場公開日:1965年2月6日

ストーリー

横浜にある外国人相手のキャバレーのピアニスト木島健一は、自動車事故のため許婚を失くし、左手首の神経を切ってからは、一流ピアニストの夢も捨て、顎に残る傷跡と、傷心から、すさんだ生活を送っていた。この男に目をつけた紳士がいた。元華族海堂義則は、母親の遺産相続にからむ取引きに、木島を妹理枝の許婚に仕立て一芝居うとうと討り、五十万円の札束と妹の写真を置いて帰った。承諾した木島は、海堂邸を訪れ理枝の寂しそうな横顔に、かつての許婚の面影を見た。海堂邸の住人は、理枝兄妹の他、田所という髯をたくわえた運転手の三人であった。理枝は健一に、未亡人であると告白したが、何か暗い影のあるこの家に、健一は気づいていた。罠と知りつつ危険に身を沈めた健一に、見えない手で、命が狙われていた。この邸に住む三人の過去には、二年前の宝石店強盗事件が絡んでいた。四人組の強盗の内、その首謀者と二人の子分は捕ったが、一人が宝石を持ったまま、逃走していた。その男こそ海堂邸で運転手をする髯の男田所であった。そして彼には、髯の下に大きな傷があり本名は犬丸という理枝の夫であった。今この宝石を完全にわがものにするため、理枝の兄海堂と、犬丸は、傷をもち、犬丸と瓜二つの男木島を犬丸の身替りに殺して、世間から犬丸を抹殺しようとしていたのだ。罠の正体を掴んだ木島は、犬丸を狙う一味に自分が身替りであることを知せるすべもなく、殺意は追っていた。策謀に乗せられ、今では理枝に愛情を抱く木島は、ビルの裏階段で宝石を狙う一味に、犬丸の身替りとして、拳銃を向けられた。だが宝石を中に、海堂と田所(犬丸)は醜い仲間割れを演じ、宝石もろとも、裏階段をころげ落ちた。舗道にちらばる宝石の中、むなしい死体を前に、木島と理枝は、裏街道から足を洗うことを誓うのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0ビックリ仰天のトンデモ映画だが最高に楽しい!

2023年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

ビックリ仰天のトンデモ映画で、この上なく面白かった!(笑)
井上梅次監督で田宮二郎主演の大映映画だが、東宝の司葉子主演……という珍しい組み合わせなので観てみたら、「圧倒的美人女優」+「怪しい登場人物だらけのミステリー」+「自動車暴走のスリル」などなど見どころタップリの映画であった。

有名ピアニスト崩れの木島(田宮二郎)は酔っ払い運転で大怪我して顎に傷もつ男。事故でフィアンセを殺してしまった自責の念にかられている。
そんな木島に、元子爵を名乗る男(安部徹)が声をかけてきて、「俺の妹と婚約者となる演技をして欲しい。金はたっぷり出す…」と、いかにも怪しい感じ。
その男の家に行ってみると、妹は和服でめちゃくちゃ美人の司葉子。その後、洋服姿も多数見せるが、本当に綺麗で目がハート型に…(笑)
その他、運転手の男は付け髭の成田三樹夫や登場する男たち、みんな怪しい奴だらけ(笑)

上映時間92分だが、書きたいことは山ほどある映画であるものの、ネタバレせずに記載するのは難しい感あり、この辺にしておく。

本作はカラー映画(大映スコープ)なので司葉子の綺麗さが際立っている。
一般的に「司葉子の代表作」と言えば、『紀ノ川』・『その場所に女ありて』や黒澤&小津&成瀬の出演作などになるのだろうが、『丼池』と本作『裏階段』は[勝手にベスト映画]としたい。

論理的な映画を観ようとした人には愚作に見えるかも知れないが、こうした気軽に観てハッピーになれる映画というのも個人的には大好き。
映画を観て楽しい気分になれるというのは、映画本来の楽しさであろう。
たぶん未ソフト化なので映画館で観るしかない……と渋谷に行って正解だった。

(※)評点は、映画鑑賞直後の気分(^^)

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たいちぃ

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