「波動砲すら」宇宙戦艦ヤマト 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
波動砲すら
実写映画版を一回観たことがあるだけで、さよなら丸の内東映特集で観る今回がおそらく初ヤマト。
こういう話だったんだな。
まずそもそもヤマトがかなりデカい。で、そもそも乗組員が結構多い。それすら知らなかった。
生存者60人、死者40人くらいということがラストシーンの文字情報として示されあんだけ終盤で攻撃されまくったわりに意外と生き残ってるのねと感心。
ワープの描写が人物や空間を歪めてなんとかそれっぽい表現を模索している感じがあり、さすがはるか昔に作られただけある。
今観るとなんだこれ的な表現もあるが、だからこそ歴史的価値があるのだろう。
デカいミサイルが波動砲にぐりぐり入り込んできて有能なロボット、アナライザーが配線変えてミサイル逆流させる展開は面白かった。
アナライザーは終盤でも海が硫酸でやばいことを分析してヤマトを助けてるからかなり有能。
海底火山に波動砲くらわしてめちゃくちゃ沢山の火山爆発を誘発する展開も面白かった。
「俺たちに必要だったのは戦うことじない!愛し合うことだったんだ!」的な台詞を古代が言うのだが、そりゃ勝って生きてるから言えるよなと。たぶんリアルタイムで観てると感動ポイントなのだろう。
この台詞は何かでパロディにされてた記憶があり「ここだったんだ」と笑いが先に来てしまったことを許して欲しい。
このシーン以外も。沖田艦長が地球見ながら死んだところで医者が敬礼したり、そもそも艦内で艦長が指令を出して乗組員が動く場面も、部下から出された酒を無駄にするデスラー総統のふるまいも、うぉぉんってエネルギーためてから発射する波動砲描写すら、現代から観るとどこもかしこも「色々な作品でパロディ、もしくは元ネタにされてる表現」ばかりであり。どうしても先に笑いがくるのは仕方がない。それが偉大な作品の宿命なのだろう。
人物はあまり動かなかったとしても戦艦や戦闘機は絶対動かすぞ!という作り手の信念のようなものが伝わってくる兵器の動き。
アニメが今よりはるかに地位が低かった時代、作り手が真剣にイスカンダルを目指して色々足りない中で苦労して作ったのだろうことがよく分かる。それ程動きにムラがあったし、多分余裕のない現場だったのだろう。それこそボコボコに撃たれまくって破損を繰り返すヤマトのように。
ヤマトが最終的には放射能除去装置を地球に持ち帰ってきたように、今作がボコボコに苦労しながらアニメ表現の幅を広げて当時の視聴者に持ち帰ってきてくれたのだろう。